2030年、インドの消費はどう変わるのか:10のメガトレンド

A woman checks her mobile phone at a traffic junction in Kolkata, India July 5, 2017. REUTERS/Rupak De Chowdhuri - RC17240A8A40
India will be home to more than one billion internet users by 2030Image: REUTERS/Rupak De Chowdhuri
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今後10年間で、中国、インド、東南アジアなどの急成長する消費市場における消費は、第4次産業革命と、10億人を超える初めての消費者によって形を変えていく。

急成長する消費市場における消費の未来は、ベイン・アンド・カンパニーとの共同プロジェクトであり、世界人口の40%超を占める新興市場に焦点を当てている。2017年に中国を調査した後、2018年はインドに注目した。

インドは世界で最も急成長している経済の一つである。2030年までに、消費支出は4倍に拡大する見通しだ。インドは世界で最も若い国の一つであり続け、10億人を超えるインターネット利用者を擁することになる。新たなインドの消費者はより豊かになり、支出意欲も高まる。そして、前の世代とは異なり、非常に明確な嗜好を持つようになる。

2030年のインドをめぐる以下の10のメガトレンドは、企業や政策リーダーが未来のインドを思い描くうえで役立つ。これらのトレンドは、世界経済フォーラムとベインがインサイト・レポート「急成長する消費市場における消費の未来:インド」のために実施した調査と消費者アンケートに基づいている。

1. インドの中間層が本格的に台頭する

2030年までに、インドはピラミッドの底辺が主導する経済から、中間層が主導する経済へと移行する。2030年には世帯の約80%が中所得層となり、現在の約50%から増加する。中間層は2030年の消費支出の75%を占めるようになる。

2. 所得の上昇が、あらゆる消費カテゴリーの成長を促す

1億4,000万世帯が中間層に加わり、さらに2,000万世帯が高所得層に移るにつれて、必需品(食品、飲料、衣料品、パーソナルケア用品、ガジェット、交通、住宅)への支出は2~2.5倍、サービス(医療、教育、娯楽、家事サービス)への支出は3~4倍になる。中高所得層および高所得層に加わる人々によって、耐久消費財(洗濯機、冷蔵庫、テレビ、自家用車)の保有率は15~20%上昇する。

3. 消費支出の増加分の半分は購入量の増加に、残りはほぼ同じ割合で、より良いものと新しいものの購入に向かう

2030年までの消費支出増加分の半分は、今日消費されている商品やサービスを単純により多く購入するために使われる。手頃な価格の選択肢も引き続き重要だ。残りの半分は、プレミアム商品への切り替えと、既存の習慣に新たな選択肢を加えることにほぼ均等に振り分けられる。たとえば、有機食品を加えたり、新しいスキンケア習慣を始めたり、アプリを使った相乗りサービスを利用したりすることだ。プレミアム化とカテゴリーの拡大は、食(家庭での食品・飲料の消費、外食)、身だしなみ(パーソナルケア用品、衣料品)、つながりの維持(携帯電話、データ通信パック、ガジェット)における消費支出増加の大きな部分を牽引する。

4. 都市部と農村部のインドで志向が急速に近づき、アクセスの改善がその意欲を実際の支出へと変える

インターネットとスマートフォンは、インドの都市部と農村部の消費者間にあった情報格差を大きく縮めた。主要40都市以外でも、発展した農村地域や小規模な都市では、すでに所得構成が非常によく似ている。同じ所得水準であれば、どちらの消費者層も同様の生活水準を望み、似たブランド群に憧れ、テクノロジーを活用した消費にも等しく抵抗がない。農村部のインドでは、消費への強い意欲がある一方、道路、電力、組織小売、金融サービスへのアクセスの悪さがその実現を妨げている。今後、物理的・デジタルな接続性を高め、革新的な流通チャネルを活用する取り組みによって、生活の質が向上し、農村部インドの真の消費潜在力が引き出される。

5. ミレニアル世代とZ世代の嗜好が市場を大きく左右する

こうした消費者は、より多く支出する余裕と意欲を持つ一方、選択眼も鋭くなる。2030年には、インド人の77%が1980年代後半以降に生まれた世代となる。この世代は、前の世代よりも多くの商品やサービスの選択肢に触れてきた。インドの若年層は、すでに今後10年間で支出を増やす意欲が最も高い一方、衣料品から自動車まで、あらゆる消費カテゴリーで「最高水準」と考える商品を厳しく見極める。企業にとって、購買力と意欲のある消費者が増えるが、彼らは情報に精通し、自分や家族のために非常に具体的な選択をする。

6. デジタルの影響を受けた消費が当たり前になる

「つながり」の度合いによって、同じ所得水準でも嗜好に大きな違いが生まれる。所得水準を問わず、現在、デジタル接続性が最も高い消費者の50~70%が、商品発見や購入前の調査にデジタルプラットフォームをすでに利用している。2030年までに、すべての購入の40%超がデジタルの強い影響を受けるようになり、現在の20~22%から増加する。

従来、所得や年齢が嗜好を左右する主な要因だったかもしれないが、今後はデジタルメディアやオンラインプラットフォームとのつながりの度合いが、消費者の嗜好を大きく左右する。同じ所得水準でも、インターネットやスマートフォンを通じてより「つながっている」消費者は、支出を惜しまず、耐久消費財を所有し、所得に応じてより良い商品へとアップグレードし、自分のニーズに最も応えるブランドをよく把握している。一方、つながりの弱い消費者は、支出を切り詰め、耐久消費財の保有を抑え、これまでと同じものを買い続ける傾向がある。

7. インドで絶えない価値追求が、電子商取引、「価格に見合う価値」を提供するブランド、カテゴリーの拡張を後押しする

インドの消費者は、機能と価格の「ちょうどよさ」を備えた、価格に見合う価値を提供するブランドを積極的に選ぶ。インドの新たな消費者は、より多く消費したいと望み、そのために必要な所得も得ているが、数万に及ぶ都市や農村の町に分散して暮らしている。オフラインの提携や需要集約事業者に支えられた、資産をあまり必要としない電子商取引モデルは、ブランドがこうした新市場を低コストで試し、開拓するのに役立つ。企業には、新たなカテゴリーへの展開によって消費を喚起する機会もある。

たとえば、特に中高所得層や高所得層の働く消費者が、家庭料理に代えてアプリを使った食事配達を利用する機会が増えることで、外食は食品・飲料支出の大きな分野になる(現在は10%超)。こうした消費者の4人に1人は、デジタル動画配信サービスに加入するため、娯楽への支出をすでに増やし始めている。手頃で革新的な選択肢は、大幅な消費支出の増加を引き出し、多くの既存カテゴリーで新たな消費形態を生み出す。

8. テクノロジーを活用した新たなビジネスモデルが、「所有せず利用する」ことへのなじみやすさと、利便性や生活の質を高めたいという願いを生かす

利用を中心とする経済の先駆けであるインドから、世界は多くを学べる。インドでは従来、自家用車を所有するより公共交通機関を利用し、新品を購入するより低価格の中古家具で家を整えてきた。レンタルやシェアリングのデジタルプラットフォームは、こうした利用志向に加え、未来の消費者の高い技術適応力にも応える。現在のボンベイ・シェービング・クラブ、アマゾン・インディアのグローサリー・パントリー、ファブ・バッグのようなサブスクリプションモデルは、少額の継続的な支出で新しいブランドや商品を利用したい、価値を重視するインドの消費者に応える。健康や学習のためのデジタルプラットフォームは、インドの消費者が最も強く望む、自分と家族の生活の質を高めたいという願いを満たす。

9. 企業、政策、市民社会のリーダーが連携し、インドの包摂的で健康的かつ持続可能な未来を築く

インドには、今後10年間に数多くの魅力的なビジネス機会がある。同時に、インドの成長物語の次の段階は、関係者が責任ある公平な成長の道筋を形づくり、他の急成長市場がそこから学ぶ機会となる。「スキル・インディア」や「イート・ライト・インディア」などの協働の取り組みの勢いを生かし、官民と市民社会の連携は、今日インドが直面する3つの重要な社会課題への対応に役立つ。すなわち、労働年齢人口の多数を占める人々に必要な技能と雇用を提供すること、農村部インドの包摂を進めること、市民と都市の健康的で持続可能な未来を築くことである。

10. インドに合わせた革新と「創業者の精神」の受容が企業の成長を支える

企業は、欧米のモデルを低コストで模倣するだけにとどまらず、インドの消費者ならではの嗜好や制約に応じて、ビジネスモデルや商品・サービスを現地化し、個々に合わせるようになる。過去にインドで持続的な成長を遂げた企業には、既存の秩序に挑む使命感、最前線へのこだわり、強いオーナー意識があった。この「創業者の精神」は、小規模企業にも老舗企業にも、今後欠かせない能力となる。起業家精神に富み、機敏な組織こそ、活気にあふれ多様なインド市場における消費機会の可能性を最大限に捉えられる。

2030年のインドは、インド国内外の既存企業や新興企業を問わず、消費者向け企業にとって成長と革新の舞台となる。インドの消費者の所得、消費意欲、認知度、技術適応力の変化は、大きな機会を生み出す。2030年のインドはまた、世界各地の急成長市場が手本とする、包摂的で責任ある成長の道筋を関係者が形づくる場にもなる。

このブログは、世界経済フォーラムがベイン・アンド・カンパニーと共同で2019年1月に発表したインサイト・レポート「急成長する消費市場における消費の未来:インド」に基づいている。

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