中国の急速な都市化は、世界の驚異ともいえるものでした。しかし、目覚ましい成長には課題も伴いました。近隣都市間の連携不足もその一つです。開発の専門家の間で認識が広がっているように、都市がクラスターを形成し、資源の利用を調整してリスクを分かち合うことで、経済はより効果的に機能します。
これは、天津市と河北省(冀とも呼ばれます)を含む北京周辺地域に特に当てはまります。この「京津冀」地域は、全国人口の8%、経済の10%を占め、世界水準の都市クラスターとなる大きな可能性を秘めています。しかし、都市の無秩序な拡大と北京中心部への過度な依存により、地域内の能力に不均衡が生じ、将来の成長が妨げられています。ここで協調的な発展を大きく前進させれば、中国の首都の経済を活性化し、国内各地の大都市圏にも刺激を与えるでしょう。
都市クラスターの形成
世界水準の都市クラスターは、単に大規模な大都市圏というだけではありません。構成する都市や省がそれぞれ異なる役割を担い、クラスター内の主要産業を支えます。各地域は、多中心型の仕組みの一翼を担いながら、独自の専門分野の産業を育て、個々と全体の競争力を高めます。密度の高い交通網によって移動時間は4時間未満に短縮され、人材や資本をはじめとする生産要素が自由に行き来できるようになります。

各クラスターには通常、人口500万人を超える中核都市が1~2つあり、高付加価値サービスに重点を置きます。人口50万人から500万人の二次都市が3~5つあり、中核から徐々に移転する高付加価値の製造業、物流、技術開発を担います。
さらに、人口50万人未満の小規模都市が10~30あり、部品や工作機械など、重要な生産要素を供給します。この役割分担は、中核が多くの責任を抱えすぎて意思疎通や調整が滞る「大都市病」の防止に役立ちます。
北京の人口は1,900万人、天津は1,300万人です。これら中核都市を取り囲む河北省の人口は7,300万人です。この高い人口密度により、この地域はクラスターとして成長する大きな可能性を備えています。
京津冀地域の発展を進める
これまで北京地域の成長は、市場のシグナルへの対応よりも、一般的な経済目標の達成を求める政府の圧力によるところが大きいものでした。各地方政府は、専門分野の発展よりもGDP成長を推進してきました。また、教育や医療などの重要な公共資源はいまなお首都に過度に集中し、地域の他の部分の発展を妨げています。
こうした不均衡を認識した中央政府は最近、環境や社会への配慮も目標に加えました。協調的な発展はある程度実現したものの、重要な資源を地域全体に行き渡らせるには、さらに多くの取り組みが必要です。
連携と統合の改善は、まず物理的な移動のしやすさから始まります。この地域は高速道路や鉄道の接続で、発展した都市クラスターに追いつきつつあります。しかし、優先事項の決定に二次都市や小規模都市の意見を十分に反映させるには、より良いガバナンスが必要です。例えば、多中心型の環状道路はクラスターによく見られますが、中核へのサービス提供に重点が置かれてきた京津冀地域では、整備が遅れています。
次に、この地域は産業の役割分担を進めることができます。天津は先端製造業への特化に向けて着実に歩みを進めていますが、河北省は主に低付加価値生産に依存しているため、競争に必要な資源が不足しています。その結果、例えば北京の自動車メーカーは、南方の長江デルタ・クラスターから部品を輸入することを選んでいます。産業発展を支えるインフラ、教育、公共サービスに投資する資源を河北省が確保できるまでは、中核地域とうまく統合し、補完し合うことは難しいでしょう。
この点でも、政府は多くの北京の製造業者に河北省への移転を促してきました。しかし、同省は北京の支援をただ待つわけにはいきません。進出を検討する企業にとってより魅力的な地域となるよう、自らの提供価値を積極的に高める必要があります。
市場の働きに委ねる
中国の都市化と経済成長を推進するうえで、政府機関は中心的な役割を担ってきました。しかし、効果的なクラスターを育てるには、政府は少し関与を控え、市場がより大きな役割を果たせるようにする必要があります。
一般に、クラスターに対する政府の介入は、ピラミッドとして捉えると分かりやすくなります。最下層には、生産要素の流れを妨げる障壁を取り除く幅広い政策があります。その一段上には、インフラを整備し、運営コストを引き下げる補完的・支援的な政策があります。ピラミッドの頂点、すなわち最も範囲の狭い層には、融資保証、税の免除、現金給付などの補助金やその他の優遇措置があります。これらは特定のニーズに限って、慎重に用いるべきです。
したがって、政府は障壁の撤廃に注力し、特定の産業や企業への支援は例外的なものにすべきです。先進国や長江デルタ・クラスターが示すように、市場の自発的な動きは通常、政府当局者よりもうまくクラスター内の役割分担を進めます。
京津冀地域は、世界有数の都市クラスターとなり、中国が一次産品から先端製造業へと移行するなかで、その経済発展を支える可能性を秘めています。実現に向けて、政府はこれまでクラスターを築いてきた政策をさらに適応させる必要があります。

