2015年にエボラを克服できるか?

2015年にエボラを克服できるか?
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西アフリカを席巻するエボラのパンデミックは、 始まった のは2013年12月と考えられている。その1年後、WHOは、 20,000 人を超える男性、女性、子どもがウイルスに感染し、その3分の1以上が死亡したと推定している。こうした恐ろしい数字は、ほぼ間違いなく実態を過小評価している。

これは悲劇である。同時に、甚だしい不平等の表れでもある。数十年前にワクチンや治療法が開発され、国際社会がシエラレオネ、ギニア、リベリアの人々が国連開発指数で 最下位近く から自力で脱却できるよう支援する責務を真剣に受け止めていれば、エボラがもたらした被害の大半は防げたはずだからだ。

2014年の対応

あまりにも遅い出足――国境なき医師団の会長が「まったく不十分で、致命的」と評した――の後、2014年半ばに世界は対応へと動き出した。WHO事務局長は、2009年の豚インフルエンザ流行と2014年のポリオ再流行に続き、史上国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言した。これは 3度目 のことだった。

それ以降、複数の政府間機関、各国政府、慈善家が 資金面で支援に乗り出した。欧州委員会は 1億8,100万米ドル、米国は 7億5,000万米ドル、ゲイツ財団は 5,000万米ドルを拠出すると表明した。一般市民からの反応も大きかった。英国災害緊急委員会が、同組織の50年の歴史で初めて特定の疾病を対象とするキャンペーンを開始した後、 わずか2日間で400万ポンドが寄付された 。

人的資源も大規模に動員されている。アフリカ内外から数千人の医療従事者が 現地で医療を提供するために志願し 、公的部門と民間部門の研究者は、新たなワクチンや治療法の開発に昼夜を問わず取り組んでいる。流行を食い止めようと、 最も深刻な被害を受けた地域に兵士を派遣した 国もある。

この前例のない世界的な対応を見ていると、エボラが人類に知られる中で 最も致死性の高い病気ではない ことを忘れがちだ。 HIVでは毎年およそ150万人を超える人が亡くなっている。 2型糖尿病も同程度の死者を出している。また、 交通事故で負傷した後に命を落とす人も同じくらいいる。最も深刻な被害を受けた国でさえ、比較にならない。今月シエラレオネでは、 マラリアによる死者のほうが多くなる だろう。

発熱してデング熱で亡くなる子どもと、発熱してエボラで亡くなる子どもの死に、本質的な道徳上の違いがないことを踏まえれば、この一つの病気との闘いにこれほど多くの労力を注ぐことが、倫理的にも実証的にも正当化できるのかを問うことが重要である。とりわけ、それによって他の死因が一時的にないがしろにされるのであれば、なおさらだ。

冷笑的な見方をする人々は、エボラがこれほど注目される主な理由は、マラリアなど他の病気とは異なり、裕福な国々に直接的な脅威をもたらすからだと主張するだろう。北半球の多くの人々がエボラに真剣な関心を向け始めたのは、それが 米国 と 欧州に到達してからだったという点は否定しがたい。しかし、そうした見方が部分的に正しいとしても、この病気との闘いに資源を惜しみなく投じることが、倫理的にも実証的にも正当である理由は少なくとも三つある。

未知の被害

第一の理由は、とりわけシエラレオネでエボラが 驚くべき速さで広がり続けていることだ。つまり、現在の数字は、エボラが健康に及ぼす直接的な影響を大幅に過小評価している。

エボラが広がるにつれてどれほどの被害をもたらすのかは明らかでない。未知の要素が多すぎるからだ。楽観論が正しければ、2015年のエボラによる死者は2014年を大幅に下回り、2016年までには実質的に制御下に置かれるだろう。悲観論が正しければ、来年の今ごろ、シエラレオネでは他のどの単一の死因よりも多くの人がエボラで亡くなっているだろう。いずれにせよ、現在の死亡者総数は、今後数カ月にエボラがもたらす 甚大な犠牲 を捉えるには遠く及ばない。

医療従事者へのリスク

第二の理由は、エボラがシエラレオネ、ギニア、リベリアの医療体制に及ぼしている影響に関係する。患者は症状が現れている間、非常に感染力が強いため、エボラは特に 医療従事者にとって危険である 。そのため、患者の看護は危険を伴う。医療施設が不足し、防護具も足りない国では、とりわけ危険だ。

シエラレオネでエボラとの闘いを率いた シェイク・ウマル・カーン医師 を含め、西アフリカではすでに何百人もの医師がこの病気で亡くなっており、ほかの医師たちも恐怖から出勤できずにいる。患者も、ほかの患者や医療従事者からエボラに感染するのではないかと心配し、診療所に行くのをためらっている。

こうしたことの結果、エボラ患者が死亡しやすくなり、支持療法や緩和ケアを受けられずに亡くなるだけではない。他の病気やけがも 診療を受けられなくなる。したがって、エボラに多くの資源を投じるのは理にかなっている。それこそが、医療体制をある程度機能する状態に戻す唯一の方法だからだ。率直に言えば、マラリアで亡くなる人を減らしたいなら、まず医療従事者がエボラで亡くなるのを止めなければならない。

社会を破壊する力

エボラを優先すべき第三の理由は、この病気が、多くの他の病気とは異なり、社会を結びつける基盤を崩壊させる可能性を持つことだ。エボラには、いくつもの理由から、この 社会を破滅させる力 がある。

最も個人的なレベルでは、この病気によって、病人や死にゆく人を世話するという根本的な行為が非常に難しくなる。患者にとっても、その家族、友人、医療従事者にとっても、直接触れ合うことは重要だ。エボラはこうした行為に恐怖をもたらすとともに、大きな危険を伴わせる。そのため、患者に提供されるケアの質が著しく損なわれかねない。

問題は埋葬にまで及ぶ。なぜなら、 エボラで亡くなった人の遺体は、極めて感染力が強いからだ。これは、葬儀の儀礼が非常に重視され、 直接触れることを伴う文化では、特に深刻な問題となる。こうした儀礼に手を加えざるを得ないと分かれば、死にゆく人々も遺族も苦しむことになる。

恐怖は貿易を壊滅させることもある。地域レベルでは、農家が安心して農産物を市場に運び、消費者も安心してそれを買えると感じる必要がある。そうでなければ、飢餓が起こりかねない。国内および国際的には、人と物資の移動を可能にするため、 空港、海港、陸路の国境を開いたままにしておく必要がある 。そうでなければ政府は機能を停止し、国家は崩壊しかねない。

エボラはすでに最も深刻な被害を受けた国々でGDPを急落させており、2014年のリベリア、ギニア、シエラレオネにおける財政への総影響は、 5億米ドルを大きく上回った 。ウイルス流行が始まる前から極めて貧しかった国々にとって、こうした経済的損失の社会的影響は計り知れない。

私たちは闘い続けなければならない。社会を根本から崩壊させる力を持つ病気はほとんどない。エボラはその一つだ。世界は2015年、その事実に即して行動すべきである。

本 記事はThe Conversationとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:Carwyn Hooperは、ロンドン大学セントジョージ校の医療倫理・法学上級講師。Sanjeev Krishnaは、ロンドン大学セントジョージ校の分子寄生虫学・医学教授。

画像:2014年12月19日、シエラレオネ東部コノ地区の町コイドゥにある赤十字施設で、医療従事者が隔離区域に入る前に防護具を着用している。REUTERS/Baz Ratner

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