欧州の移民問題を解決する経済的アプローチ

A man raises his hands during a protest in support of a new EU migration policy, a day before an EU leaders' meeting, in Brussels, Belgium December 13, 2017. REUTERS/Eric Vidal TPX IMAGES OF THE DAY - RC1DFC498000
Desire for change: A demonstration to support a new EU migration policy in BrusselsImage: REUTERS/Eric Vidal TPX IMAGES OF THE DAY - RC1DFC498000
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欧州の機能不全に陥った移民制度に対する長期的な解決策を講じるべき時が来たことは明らかだ。感情論ではなく、経済的な観点からこの問題を捉える解決策である。今日、これが最もはっきり表れているのはドイツだ。アンゲラ・メルケル首相は、党がかろうじて政権を維持してから3カ月以上たっても連立政権を樹立できず、9月24日の選挙で圧勝を逃す一因となった反移民感情の余波をいまも受けている。しかし、周知のとおり、この問題を抱えているのはドイツだけではない。

欧州全域で需要に応じた移民制度を導入すれば、解決策となり得る。シェンゲン圏全体に標準化された制度を整備する必要がある。受け入れ国の需要を原動力とすることで、反移民勢力が声高に「失われた」と主張する国境管理の一部を取り戻せるだろう。外から来た人々に仕事を奪われ、地域社会が圧倒されるのではないかと恐れ、増え続ける流入を抑える力もないと感じている人々にとって、この制度は懸念の緩和に大いに役立つはずだ。しかし、世論への好影響以上に重要なのは、各国のニーズに合わせて移民を受け入れられる点である。欧州出身者では埋められない具体的な求人がある限り、あらゆる技能水準の人々を受け入れる。これにより、移民が社会に長期的に統合される可能性も高まる。

このアプローチにより、欧州から発信されている移民政策をめぐる相反する姿勢や混乱を招くメッセージが明確になるだろう。ただし、効果を上げるには、難民や庇護を求める人々のニーズに対応する別の制度と並行して運用する必要があることを強調したい。欧州全域で需要に応じた移民制度は、移民の経済的側面に焦点を当て、経済発展を維持するために十分な労働力を確保するという、高齢化する欧州の課題などへの解決策を探るものだ。移民は解決策になり得る。欧州経済を軌道に乗せ続けるには、年間およそ50万人の移民が必要だ。しかし現在、EU全域でこの課題に効果的に取り組む体系的な方法は整っていない。

歴史的に、欧州は人々の移住を積極的に促す世界の他地域と比べ、優秀な労働者を引きつける魅力に乏しいと見られてきた。実際、欧州の現在のアプローチでは、米国へ向かう移民より教育水準の低い移民を引きつける結果となっている。国の経済的ニーズと移住希望者の技能を照合する需要主導型の移民制度があれば、移民が社会により円滑に溶け込む道が開かれるだろう。

実施に向けて

では、この欧州全域で需要に応じた移民制度は、具体的にどう機能するのだろうか。まず、地域主導で運用し、地域レベルで求人を特定する必要がある。地域社会で暮らす人々以上に、現場でどのような仕事が必要かを知る人がいるだろうか。このアプローチなら、住民は自らの生活に直接影響する決定に関われると感じるため、反発が生じる可能性を抑えられる。同時に、国レベルでの協力も欠かせない。地域全体で同じ規則を適用しなければ、移民は要件を満たしやすい国に申請するだけになってしまう。

移民問題はあまりにも長い間、解決されずにくすぶり続けてきた。新しい方法を見つける時であり、迅速に行動する必要がある。まず、選別的な需要主導型制度をすでに導入している国(米国、カナダ、オーストラリア)のアプローチと、ドイツやフランスなど欧州の主要国における現在の慣行について情報を集めるのが有益だろう。難民ではない移民を、他国はどのようにうまく受け入れているのか。どのような効果的な制度を導入しているのか。また、欧州の労働市場を明確に把握するとともに、今後生成・分析するデータを支える大規模なデジタル基盤も必要になる。

労働力の効率向上から明らかな恩恵を受ける民間部門は、このプロジェクトへの資金拠出にあたり、政府と緊密に協力する必要がある。幸い、ビッグデータの時代にあって、情報を分析する費用が法外な額になるとは予想されていない。プライバシー法に違反しないよう、市民社会にも関与してもらう必要がある。迅速に、しかし慎重に行動し、現実と同じくらい人々の受け止め方にも注意を払わなければならない。

たとえば、移民の移動の自由という繊細な問題に対処しなければならない。移民を特定の「承認済み」地域だけに押し込めていると少しでも受け取られることは、何としても避けるべきだ。一方で、移民と受け入れ国の双方にとって制度が効率よく機能するよう、対策を整える必要がある。移動は段階的に進める必要があるため、国境を越える移動を管理する仕組みも欠かせない。一案として、移民に対し、最初に就労する欧州の都市に一定期間(例:3年間)とどまることを求める方法がある。その後は国内全域での居住が認められ、10年後にはEU内のどこでも自由に暮らし、働けるようになる。

反移民感情にあおられる歴史的背景や現在の議論を踏まえると、この段階的な実施は不可欠だ。プロジェクトを成功させるには、社会への周知と受け入れが欠かせない。初期目標として、欧州全域で具体的な求人を得た移民を年間2万~5万人受け入れることが考えられる。彼らの成功事例や社会への円滑な統合は、移民に対する既存の否定的な見方を変え、この問題に体系的に取り組む利点を示す助けとなるだろう。こうした文化的変化が起きた後、経済成長予測や労働市場に合わせて受け入れ人数を段階的に増やせる。

このプロジェクトがうまくいく可能性は十分にあると確信している。試してみるか、これまでずっとやってきたことを続けながら、違う結果を期待するかのどちらかだ。よく言われるように、それこそが狂気の定義である。

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