80年前、マハトマ・モハンダス・ガンジーは、自らが思い描き、その建設に生涯を捧げたインドについて記すなかで、理想の村とは「完璧な衛生環境」を備えた村だと述べていた。
それは単なる願望ではなかった。ガンジーは、衛生設備や衛生習慣の不備がもたらす害を目の当たりにしていた。そうした不備が引き起こす病気や、その後の栄養不良が、何百万人ものインドの人々、とりわけ子どもやその他の弱い立場にある人々の命と健康を脅かすことを知っていた。また、屋外排泄が女性や少女の安全と尊厳に及ぼす影響も見ていた。そして、こうした害は個人を苦しめるだけでなく、インドの経済的・社会的発展をも妨げていると理解していた。
今日、国民、そして世界がガンジーの誕生日を祝うなか、インドに完璧な衛生環境を実現するという彼の夢は、かつてないほど現実に近づいているかもしれない。
3年前、インド政府は屋外排泄の撲滅を宣言し、2019年までに屋外排泄のないインドを実現するという意欲的な目標を掲げて、「スワッチ・バーラト(クリーン・インディア)・ミッション」を開始した。何百万人もの人々が今なお基本的な衛生設備や衛生習慣を利用できない国では、SBMの目標は達成不可能に思えるかもしれない。しかし、これまでに達成された進歩の規模と速さは前例がない。
すでに5州、200地区の約25万村が屋外排泄のない地域(ODF)と宣言され、今後さらに増える見込みだ。衛生施設の増加も同様に目覚ましい。インド政府によると、トイレの普及率は39%から69%超に上昇した。インドでは毎時推定3,300基のトイレが建設されており、ほぼ1秒に1基のペースだ。
しかし、トイレを建設するだけでは不十分で、人々に使ってもらう必要がある。そのため、行動変容はスワッチ・バーラト・ミッションの中心的な取り組みとなっている。政府とパートナーは、地域の意識向上と行動を促す「衛生部隊」を各地に派遣している。ボリウッドのスターやクリケット界の伝説的選手もこの取り組みに加わっており、ユニセフ親善大使のサチン・テンドルカールもその一人だ。ユニセフが支援する「うんちはトイレへ」キャンペーンのような公衆衛生の取り組みは、従来の活動が成果を上げられなかったところでも浸透している。実際、屋外排泄をなくすため、インド社会全体が動員されている。
政府は万全を期している。地域、地区、州がODFであることだけでなく、その状態を維持していることも確認するため、厳格な検証制度を導入した。インド品質評議会が実施した最近の調査によると、ODFと認定された地域では、トイレの使用率が91%を超える水準を保っていた。
かかっているものは非常に大きく、とりわけインドの最年少の市民にとって深刻だ。世界保健機関は、衛生設備や衛生習慣の不備が原因の下痢性疾患により、2015年にインドで5歳未満の子ども11万7,000人が死亡したと推定している。これは世界全体の負担の22%に当たる。現在、インドの子どもの3人に1人以上が発育阻害の状態にあり、その多くは糞便への曝露による慢性的な下痢の影響が原因だ。これは身体的・認知的発達の両方に影響し、学び、ひいては生計を立てる能力を損なう。
屋外排泄の撲滅は、賢明な保健政策というだけではない。社会・経済政策としても賢明な選択だ。世界銀行が2008年に発表した調査によると、インドでは衛生設備の不備による経済的損失の総額が年間538億米ドルに達し、同時期のインドのGDPの6.4%に相当した。ユニセフが最近完了した調査では、10年間で費用と便益を比較すると、衛生環境の改善による節約額は費用の4.3倍に上ることが示された。支出したルピー1ルピーごとに4倍のリターンが得られる計算だ。
こうした経済的便益は、家族に直接影響する。同じユニセフの分析は、12州の1万世帯のデータに基づき、トイレを使用する世帯は年間平均約5万ルピー(約760米ドル)を節約していると示している。その節約額には、回避できた医療費、治療を受けに行かずに済むことで節約された時間の価値、回避できた死亡の価値が含まれる。インドの貧しい農村世帯にとって、これは大金に当たる。
とりわけ重要なのは、最貧困層の世帯で衛生習慣や衛生環境を改善することが、最も大きな即時の健康上の便益をもたらしたとユニセフの調査が示している点だ。貧困のなかで暮らす子どもは、下痢性疾患、発育阻害、死亡のリスクが最も高いためである。
インドが屋外排泄のない国になるまでには、なお大きな課題が残る。しかし、インドはそれが実現可能だと示している。そして、実現しなければならない。それはインドだけでなく、屋外排泄が命と将来を脅かすすべての場所で必要だ。
世界では、推定23億人が今なお基本的な衛生設備を利用できず、そのうち8億9,200万人が屋外排泄を続けている。これが続く限り、社会は健康状態の悪化と持続可能な成長の見通しの乏しさという代償を払うことになる。だからこそ、持続可能な開発目標(SDGs)には、あらゆる場所で屋外排泄をなくす目標が含まれている。
SDGsの約束を実現することに本気で取り組むなら、インドと世界のために、力を合わせてガンジーの夢を実現しなければならない。

