危機がついに終息した後、経済政策はどのような姿であるべきか?

危機がついに終息した後、経済政策はどのような姿であるべきか?
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世界金融危機の発生から7年が経った今も、危機を受けてマクロ経済政策に関する私たちの見方をどう変えるべきか、検討が続いています。現状を整理するため、IMFは2つの会議を開催しました。1回目は 2011年、2回目は 2013年で、議事録を2冊の書籍として刊行しました。書名は「危機の余波」と「何を学んだのか?」です。

3度目の検証を行う時期が来たようです。研究は進み、政策は試され、議論は白熱してきました。しかし、私たちは本当に大きく前進したのでしょうか。新たな枠組みに近づいているのでしょうか。こうした問いに取り組むため、ラグラム・ラジャン、ケン・ロゴフ、ラリー・サマーズと私は、3回目となる会議「マクロ政策を再考するIII:前進か混乱か?」を企画しています。会議は4月15~16日にIMFで開催されます。

近年の議論の多くは(当然ながら)当面の政策課題を中心にしてきました。金融危機やソブリン危機の際にどのような措置を取るか、実効下限制約下で何をするか、量的緩和をどう設計するか、財政再建をどのようなペースで進めるべきか、といった問題です。

これに対し、会議では、(願わくば)政策金利が再びプラスとなり、ほとんどの国が成長し、債務対GDP比を安定させた後の政策の枠組みに焦点を当てます。

言い換えれば、危機がついに終息した後、マクロ政策はどのような姿になるのか、また、なるべきなのでしょうか。

議論の出発点として、いくつかの問いを挙げます(後日のブログで、会議で出された回答をまとめたいと思います)。

金融規制

金融危機は、金融システムにおける過剰なレバレッジと、銀行・ノンバンク双方の貸借対照表の広範な相互連関性および複雑さが相互に作用した結果であることが、今では十分に理解されています。つまり危機は、大規模で未検知のシステミックリスクの存在を明らかにしました。それ以来、システミックリスクの理解と評価を改善するため、多大な努力が払われてきました。問い:現状はどうでしょうか。システミックリスクのある側面(例えば、銀行部門のレバレッジと、銀行・ノンバンク間の相互連関性や銀行部門外のリスク)には、測定しやすいものがあるでしょうか。ストレステストの経験をどう評価すべきでしょうか。また、危機以降、ドッド=フランク法、ヴィッカース委員会、金融安定理事会などを通じて、システミックリスクを減らす十分な進展があったでしょうか。

マクロプルーデンス政策

マクロプルーデンス手段、すなわち状態に応じて変化する規制は、新たに登場した政策手段です。標準的な例は、住宅市場の状況に応じて調整できる融資比率(LTV)の上限です。適切に用いれば、マクロプルーデンス手段を設計し、対象を定めることで、金融リスクの多様な側面に対処でき、財政・金融政策は従来の役割に専念できる、というのがその論拠です。

しかし実際には、話はそれほど単純ではありません。

実験が増えているにもかかわらず、どのようなマクロプルーデンス手段を開発すべきか、どう使うべきか、またその効果がどれほど確かなのかについて、私たちは依然として模索しています。問い:住宅価格の高騰、金融機関の一部における資本不足、特定の金融市場での流動性の急減など、さまざまな種類のリスクに対処する手段をすでに持っているでしょうか。あるいは開発できるでしょうか。

これらの手段を適切に用いるには、相当な知識が必要なだけでなく、政治経済上の問題も生じます。住宅ブームのさなかに融資比率を引き上げるのは、政治的に難しいかもしれません。問い:こうした問題を踏まえ、マクロプルーデンス手段をいつ使うべきでしょうか。それとも、より厳格な、状況に左右されない金融規制を採用すべきでしょうか。具体的には、資本比率を変動させ、いつ調整するかを決めるべきでしょうか。それとも変動させることを断念し、高水準で一定の資本比率を目指すべきでしょうか。

最後に、金融規制もマクロプルーデンス手段も、金融関係者が適応し、規制を回避する方法を探る動きを促す可能性が高いことは明らかです。問い:このいたちごっこにおいて、マクロプルーデンス規制当局は勝てると期待できるでしょうか。それとも、規制や手段はますます複雑化し、逆効果になり得るのでしょうか。

金融政策

危機が始まる前から、中央銀行の使命を単一(物価安定)とすべきか、二重(物価安定と経済活動の安定)とすべきかについて、見解は大きく分かれていました。危機はこの議論を激化させました。実際、中央銀行には、前者の2つに金融安定を加えた三重の使命を持たせるべきだという提案も出ています。問い:金融規制やマクロプルーデンス手段だけでは金融安定を完全に確保できないという、きわめて現実的な前提に立つとき、金融政策は金融安定を考慮すべきでしょうか。そうなら、どのようにでしょうか。金利やその他の金融政策手段によって金融リスクを減らせるでしょうか。マクロプルーデンス手段と金融政策は、どのように連携させるべきでしょうか。両方を中央銀行の責任下に置くべきでしょうか。そうする場合、経済の非常に特定の部門に影響を及ぼし得る手段を持つ中央銀行は、完全な独立性を維持できるでしょうか。

中央銀行が設定する金利のゼロ下限制約(現在明らかになりつつあるように、わずかなマイナスとなる下限)は、起こりそうになく、仮に到達しても容易に対処できる理論上の珍事だと考えられていました。下限に達した場合、中央銀行は将来の金融政策を発表することで予想インフレ率を引き上げ、大幅なマイナス金利を実現できるとされていました。これは単なる願望にすぎなかったと、私たちは学びました。ゼロ下限に達することはあり、インフレ期待を操作するのは容易ではなく、脱却に非常に長い時間がかかる可能性もあります。問い:再びゼロ下限に達するのを避けるために、何かできることはあるでしょうか。長期停滞や、低い、あるいはマイナスの均衡実質金利への懸念、ひいてはゼロ下限に達する可能性の高まりは、正当なものでしょうか。

ゼロ下限に直面した中央銀行は、購入対象とする資産の範囲を広げました。こうした操作は一般に量的緩和(QE)と呼ばれます。中央銀行はバランスシートの構成を変え、その規模を大幅に拡大しました。問い:景気が改善し、ゼロ下限からの脱却時期が来た場合、中央銀行は最終的に、市場の短期部分で介入する従来の方式に戻るべきでしょうか。それとも、より長期の国債や社債の売買を続けるべきでしょうか。中央銀行のバランスシートは危機前の規模に戻すべきでしょうか。それとも恒久的に拡大したままとすべきでしょうか。中央銀行がイールドカーブに沿って介入するなら、金融政策と財務省による債務管理をどう組み合わせるべきでしょうか。

最後に、危機の最中、中央銀行は多くの主体に流動性を供給することになりました。銀行だけでなく、預金を受け入れない機関や、ソブリンにも(直接・間接に)供給しました。問い:平穏な時期にも、中央銀行はこのように拡大した最後の貸し手機能を担い続けるべきでしょうか。それとも、より限定的な役割にとどめるべきでしょうか。

財政政策

金融システムが機能停止し、金融政策がもはや効かなくなったとき、ほとんどの先進国は、需要ひいては産出の減少を抑えるために財政政策に頼りました。産出の落ち込みと財政刺激策が重なった結果、債務対GDP比は劇的に上昇しました。それ以来、この比率をまず安定させ、次に低下させるためのペースが焦点となっています。今後の政策を考えると、この経緯からいくつもの論点が浮かび上がります。

「財政緊縮」の急性期は過ぎましたが、多くの論点は今後数十年にわたって残ります。問い:危険な債務水準とはどの程度でしょうか。財政余地をどう考えるべきでしょうか。財政会計では、確率的な債務持続可能性分析への依存を高めるべきでしょうか。財政再建に伴う乗数はどの程度でしょうか。信頼感への影響について、何が分かっているでしょうか。欧州連合の財政政策を規定するルールは、複雑すぎて最適でないと広く認識されています。より良いルールを設計できるでしょうか。経常勘定と資本勘定を分けるという、財政ゴールデンルールの旧来の考えを復活させるべきでしょうか。それとも、濫用される可能性が大きすぎるのでしょうか。貯蓄超過によって実質金利がマイナスとなる長期停滞期に本当に入ったのなら、政府がより大きな財政赤字を計上し、公共投資を増やすのは理にかなっているのではないでしょうか。

危機初期の財政刺激策が産出の減少を抑えるうえで重要だったことには、ほとんどの観察者が同意しています。問い:これは、マクロ政策手段としての財政政策の役割を、より真剣に受け止めるべきだということを示唆していないでしょうか。ほとんどの国では、自動安定化装置によって需要変動を和らげていますが、いわゆる安定化装置は、安定化を目的に設計されたことがありません。改善の余地はあるでしょうか。また、なぜこの点はほとんど検討されてこなかったのでしょうか。

資本流入、為替レート管理、資本規制

危機によって、国際資本フローは非常に変動しやすく、新興市場は特に脆弱だという認識が強まりました。政策担当者は、資本規制、資本フローの形成を狙ったマクロプルーデンス措置、外国為替介入など、多様な手段で対応してきました。問い:何を学んだでしょうか。これらの手段は機能するでしょうか。いつ使うべきで、マクロ政策の他の手段とどう組み合わせるべきでしょうか。先進国と新興市場では、これらの手段の使い方(および使うべき方法)に重要な違いがあるでしょうか。また、危機以降の経験は、長期的な視点も含め、資本勘定を最適な形で開放することについて何を示しているでしょうか。

国際通貨金融システム

金融危機は世界規模で展開し、国際通貨システムはかつてない試練を受けました。中央銀行はスワップラインを拡充しなければなりませんでした。IMFは流動性を供給するためのプログラムを創設しました。大規模な資本フローと大幅な為替変動を受け、通貨戦争が話題になりました。問い:現行のシステムでやっていけるでしょうか。今後、改善できるでしょうか。国内の金融規制の設計が難しいなら、国境を越える規制はさらに困難です。国境を越えた金融規制を設計・実現し、国際的な裁定取引のリスクを抑えられるでしょうか。中央銀行のスワップによる流動性供給とIMFによる流動性供給を組み合わせた現行の制度は改善できるでしょうか。為替レートのゲームのルールを再検討すべきでしょうか。ソブリン債務再編のプロセスをどう改善できるでしょうか。G20などの国際フォーラムはどのような役割を果たすべきでしょうか。

ご覧のとおり、答えるべき問いは数多くあります。会議は会場の収容人数に限りがあるため招待制ですが、各セッションはウェブキャストで配信されます。視聴や詳細情報については、 会議ウェブサイトをご覧ください。また、先に約束したとおり、会議後のブログで、会議から得られた知見の少なくとも一部をまとめ、上記の問いの少なくともいくつかに暫定的な答えを示したいと思います。

本稿は、 IMF Directとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。

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著者:オリヴィエ・ブランシャールは、計量経済学会のフェロー兼評議員、米国経済学会の元副会長、米国科学アカデミー会員です。

画像:夜明け、ロンドンの金融街カナリー・ワーフを前景にテムズ川防潮堤が見える。REUTERS/Russell Boyce

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