経済・金融の世界から最新ニュースをお届けする、今週のまとめです。
主な経済ニュース:規制当局がファースト・リパブリックを接収し、米銀不安が拡大。米国とECBが追加利上げ、IMFはアジア経済の見通しを引き上げ。
1. 規制当局によるファースト・リパブリック接収で米銀不安が拡大
米規制当局はファースト・リパブリック銀行を接収し、その資産をJPモルガン・チェースに売却した。これは今週、2008年の金融危機以降で最大の米銀行破綻を収束させるために行われた。今回の措置は、3月にシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行が破綻して始まった、長引く銀行混乱に終止符を打とうとするものだ。
ファースト・リパブリックは、預金者が中小銀行からJPモルガンのような大手銀行へ資金を移すなか、銀行セクターへの信頼危機の影響を特に受けた米地方銀行の一つだった。その後も何とか営業を続けていたが、投資家は再び資金を引き揚げた。同行が先週、第1四半期に1,000億ドルを超える預金流出があったと公表したためだ。
その後、注目はロサンゼルスに本拠を置く銀行、パックウェスト・バンコープに移り、株価は急落した。同行が戦略的選択肢について、提携候補や投資家との協議を始めたと発表したためだ。これにより銀行危機が悪化するとの市場の懸念が再燃し、他の地方銀行の株価も下落した。
「預金流出への懸念や、中小銀行の資産分散の不足をめぐる不安が広がるなか、銀行危機がさらに悪化する可能性への懸念が強まっている」と、金融サービス会社ハーグリーブス・ランズダウンのマネー・アンド・マーケッツ部門責任者、スザンナ・ストリーター氏はロイターに語った。
米国のジョー・バイデン大統領は、納税者に負担を負わせずに預金者を保護したとして、ファースト・リパブリックの救済措置を称賛した。一方で、同大統領は大手銀行と地方銀行に対する規制・監督の強化も改めて求めた。
このニュースと同時に発表されたギャラップの新たな調査では、米国の成人の約50%が、銀行に預けている資金の安全性を懸念していることが分かった。
2. 米国とECBが追加利上げ――利上げは終わりに近づいているのか?
米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は今週、ともに政策金利を0.25パーセントポイント引き上げた。ただし、米国は歴史的な利上げ局面が今回で最後となる可能性を示唆している一方、ECBはさらなる引き上げが見込まれるとしている。
米中央銀行は翌日物の政策金利を5.00~5.25%に引き上げた。これは16年ぶりの高水準だが、今回の決定に際し、政策声明から追加利上げを「予想する」との文言を削除した。この変更によって、政策決定委員会が再び利上げする可能性がなくなるわけではない。しかし、パウエルFRB議長は、高インフレが続く一方で景気減速の兆しも見られ、銀行による厳しい信用引き締めのリスクも迫る経済において、さらなる利上げが必要かどうかは、現時点では未確定だと述べた。
ECBは金利を3.25%に引き上げた。予想通りの決定であり、賃金と物価の上昇圧力が強まるなか、さらなる措置がなお必要になる可能性があるとしている。50ベーシスポイントの利上げを3回連続で実施した後、今回の引き上げ幅は縮小したが、同行は昨年7月以降、合計375ベーシスポイントの利上げを実施している。これは、これまでで最も速い引き締めペースだ。
今回の利上げの数日前に公表されたユーロ圏の銀行統計では、融資需要が10年以上ぶりの大幅な落ち込みを示した。これは、これまでの利上げが経済に浸透し、ECBの政策が成長を抑制し始めていることを示唆している。
会合を前に、政策当局者の間では25ベーシスポイントと50ベーシスポイントのどちらを引き上げるかで意見が分かれていた。より小幅な引き上げを支持する根拠となったのは、ユーロ圏経済が前四半期にほとんど成長せず、銀行が融資へのアクセスを厳しくして信用収縮のリスクが高まっていることだ。基調的なインフレ率も上昇が止まっている。少なくとも、現時点ではそうだ。
世界の主要中央銀行の多くは、これまでの大幅な利上げを経て、現在は25ベーシスポイント刻みで金利を引き上げている。今週は複数の中東の中央銀行がFRBに続き、金利を25ベーシスポイント引き上げたほか、香港金融管理局も同様の措置を取った。
3. 世界の経済ニュース:注目の話題を短く紹介
国際通貨基金(IMF)はアジアの経済見通しを引き上げ、中国の景気回復が成長を下支えするとの見方を示した。ただし、根強いインフレや、西側諸国の銀行セクターの苦境に端を発する世界市場の変動が、潜在的なリスクになるとも指摘した。
IMFはさらに、日本の金融政策の方向性をめぐる「不確実性」に警鐘を鳴らした。超低金利からの転換があれば、世界の金融市場に大きな影響を及ぼす可能性があるとしている。日本銀行は先週、金融政策の包括的な検証を発表し、金利を「現行またはそれ以下の水準」に維持するとの約束を取り下げた。
米国の債務不履行リスクが高まっている。ジャネット・イエレン財務長官によると、早ければ6月1日にも政府の支払い資金が不足する可能性がある。政府の現在の債務上限は31.4兆ドルに設定されており、政治的な対立によって引き上げが阻まれている。米国の債務不履行は前例がなく、世界経済を揺るがすことになる。
スーダンの紛争は同国経済に壊滅的な打撃を与えている。国内の交易路を寸断し、輸入を脅かし、現金不足も引き起こしている。工場、銀行、店舗、市場は略奪や損壊の被害を受け、電力や水道の供給も滞っている。住民からは、物価の急騰や生活必需品の不足が報告されている。
韓国の年間消費者物価上昇率は3カ月連続で鈍化し、4月には14カ月ぶりの低水準となる3.7%に達した。中央銀行は、この低下傾向がしばらく続くと予想しており、金融引き締め局面は終わったとの市場の見方を裏付けている。
オーストラリアの中央銀行は今週、政策金利を引き上げ、市場を驚かせた。インフレ率が極めて高く、そのためさらなる引き締めが必要になる可能性もあると説明し、金利を25ベーシスポイント引き上げた。利上げの長期休止が予想されていた。政策金利は現在3.85%で、2012年初め以来の高水準にある。
ドイツのサービス業の活動は、4月に1年ぶりの速いペースで拡大した。HCOBサービス業購買担当者景気指数(PMI)は、3月の53.7から56.0に上昇した。需要と新規受注は3カ月連続で増加し、輸出も大幅に伸びた。
パキスタンのインフレ率は、4月までの1年間で過去最高の36.4%に上昇した。主因は食料価格の上昇だ。南アジアで最も高い水準で、3月の35.4%から上昇した。
世界銀行の総務会は、マスターカードの元CEO、アジェイ・バンガ氏を選出した。インド生まれの金融・開発の専門家である同氏は、気候変動やその他の世界的危機に対処するため、世界銀行の改革を担うことになる。任期は5年。
4. アジェンダで金融・経済の関連記事を読む
世界が深刻な経済的不確実性と雇用見通しの混乱に直面するなか、「成長」とは実際に何を意味するのだろうか。世界経済フォーラムの「グロース・サミット2023」で、各界のリーダーや専門家は、包摂的で、持続可能かつ強靭な成長が自らや地域社会にとって何を意味するのかを語った。
2022年には、ベンチャーキャピタル資金全体の4分の1超が気候テクノロジーに投じられたとPwCは報告している。ただし地域差があり、資金の多くは米国と欧州に集中している。より迅速なグリーン移行に向けた資金調達をめぐる議論で、世界経済フォーラムのグロース・サミット2023はこの点を取り上げた。
コンサルティング会社ベインによると、経済の不確実性に備え、企業はさまざまな事態を想定する必要がある。ストレステストからバランスシートの強化まで、企業が検討すべき対策を紹介する。


