デジタル変革、より正確には第4次産業革命は、ビジネスと政府に飛躍的な進歩をもたらし、両分野に大きな発展の機会を生み出してきました。世界経済のあらゆる側面と各地の文化を変えつつあり、政府が腐敗を防ぐための重要な手段にもなり得ます。
「私たちは、生活や仕事、互いとの関わり方を根本から変える技術革命の瀬戸際に立っています」と、世界経済フォーラムの創設者兼会長クラウス・シュワブはフォーリン・アフェアーズ誌に2015年に語りました。
「その規模、範囲、複雑さにおいて、この変革は人類がこれまで経験したことのないものとなるでしょう。」
世界の労働力において、この革命は、女性に加え、退役軍人や障害のある人々の包摂を進める原動力となり得ますし、そうあるべきです。本人にはどうにもできない事情で現在労働市場に参入できず、遠隔でしか貢献できない、真に優れた人材がいます。
『雇用の未来レポート2016』は、3年後の今、さらに意義深い声明で締めくくられています。「ジェンダー平等を支持する道徳的な論拠は、大部分において受け入れられました。ビジネス上、経済上の論拠も、ますます理解されるようになっています。第4次産業革命は、これから訪れる変化への備えの中心に、職場における女性の平等な参画を据える、前例のない機会をもたらしています。」
女性をはじめとする人々をより多く労働力に取り込む価値は、十分に記録されています。より包摂的な労働力が、より強い企業、政府、経済を生み出すことは、一貫して示されてきました。また、研究では、人材へのアクセス拡大が企業と政府双方の生産性向上につながることも示されています。
広く引用されているマーサー社の2015年の報告書「多様性が重要な理由」によると、人種・民族の多様性が上位25%の企業は、それぞれの国の業界中央値を上回る財務収益を上げる可能性が35%高く、ジェンダーの多様性が上位25%の企業は、それぞれの業界中央値を上回る財務収益を上げる可能性が15%高いことが分かりました。
しかし残念ながら、こうした調査結果から期待されるほど、変化のペースは速くありません。マーサーが2018年に発表した追跡調査報告書によると、
「2015年の調査対象企業346社(大半は米国と英国に拠点を置く)では、経営幹部チームに占める女性の割合は平均でわずか2ポイント増の14%、民族的・文化的多様性は1ポイント増の13%でした。さらに、多くの企業は、成長と価値創造の目標を支えるためにインクルージョン&ダイバーシティ(I&D)を最も効果的に活用する方法を、いまだに把握できていません。」
では、こうした恩恵を世界規模で得るために、より包摂的な労働力をどのように実現できるでしょうか。答えは、第4次産業革命を推進する力、すなわちテクノロジーにあります。透明性という重要な要素を通じて、企業が求める解決策を生み出せるのです。
透明性は文字どおり、あらゆるジェンダー、人種・民族、文化の人材を活用する、効果的で成功する労働力を生み出す通貨です。また、企業と政府機関を結び、事業目標の達成に必要な人材を的確に確保できるようにします。
透明性がこれほど重要なのはなぜでしょうか。簡単に言えば、透明性によって、世界規模で包摂的な労働力を成功させるために不可欠な3つの要素、すなわち信頼、参加、説明責任が実現します。この3つの特性により、包摂的な労働力は世界経済を加速させ、収益を生み出すことができます。
元SEC委員長のルイス・アギラールは、2014年のハーバード・ロー・スクール・フォーラムの記事で、「透明性がなければ、説明責任を果たすことは難しい」と述べています。
今日、テクノロジーを通じて得られる透明性により、場所を問わず、すべての労働者が自らの仕事に説明責任を負います。企業や政府は誰でも、その仕事を容易に確認し、支払った対価に見合う「成果物」を受け取れているか把握できます。
透明性は労働者間の協力も大幅に促進し、参加と生産性を高めます。今日の世界では、同じ部屋にいる場合も5,000マイル離れている場合も、テクノロジーによって人々は肩を並べて働けます。これは、中堅企業のCEOを対象としたIBMの世界調査にも表れていました。この調査では、より開放的で透明性の高い協働環境の重要性が最優先事項として、2年間でほぼ倍増したことが分かりました。
説明責任と協力が高まれば、労働者と雇用主の双方にとって信頼も深まります。2014年エデルマン・グローバル信頼度調査の回答者の82%超が、信頼を築くにはCEOが透明性を保つ必要があると述べました。透明性は、真実を語ること、従業員と関わること、困難な時期に姿を見せることなど、信頼を生む他の行動よりも高く評価されました。
透明性を通じてこうした環境をつくることで、政府や企業が、人材の所在地、ジェンダー、抱える課題にかかわらず、必要な人材を的確に確保できる真に包摂的な労働力の実現に向けた基盤が整います。
しかし、透明性は世界社会にとってさらに大きな価値があります。納税者に対する政府の説明責任を確保するための重要な手段です。不正を減らし、過大請求で失われる資金を節約できます。その資金は、新たな雇用や教育の機会を生み出すために活用できます。
『世界競争力レポート 2015-2016』によると、「腐敗は、資源を最も効率的な用途に配分する妨げとなり、主に5つの経路(うち3つを引用)を通じて成長を損なう。人材が生産的な仕事ではなくレント・シーキングに誘導されるため、人的資本の配分がゆがむ。税収が失われる。政府職員が公共の福祉の促進よりも、賄賂を強要できる機会を基準に支出を配分する誘惑に駆られ、不適切な公的支出が生じる。」
この重大な問題への取り組みを主眼とするのが、業界横断型の協働である腐敗防止パートナーシップ・イニシアチブ(PACI)です。同イニシアチブは「腐敗防止と透明性をめぐるビジネス界の主導的な発信者」となりました。この取り組みにテクノロジーがもたらした価値は、いくら強調してもしすぎることはありません。「PACIは、官民協力、責任あるリーダーシップ、技術の進歩を柱に、世界の腐敗防止分野でCEO主導の中核的なプラットフォームとして機能しています。」
米国では30州の議員が、政府契約業者に請求対象時間の透明性ある検証を義務づける法案を提出しています。これにより納税者の資金を守り、仕事の世界におけるデジタル変革を加速させ、より柔軟で包摂的な働き方を実現できます。
総じて、テクノロジーが透明性を推進する原動力となり、健全性を促進し、不正を減らし、より包摂的な働き方を広げることは明らかです。
国際通貨基金(IMF)が2018年6月に発表した論文「デジタル革命の長期と短期」は次のように述べています。「ギグエコノミーによって、ルールの見直しが進んでいます。たとえば、Uberの時代に自営業者であるとはどういう意味でしょうか。混乱を最小限に抑え、恩恵を最大化するため、デジタルデータと国際課税、労働政策と不平等、教育と競争に関する政策を、新たな現実に合わせて調整すべきです。」
仕事の未来は、透明性と包摂によって切り開かれます。テクノロジーの進歩により、それは確かなものとなりました。実現を待つのではなく、デジタル変革を活用して社会全体に恩恵をもたらす時です。まずは女性から始めましょう。
シルビナ・モスキーニは、TransparentBusinessの社長兼共同創業者、SheWorks!のCEO兼創業者であり、Tech for Integrity Communityのメンバーです。



