2017年、世界が直面する3つの重要課題

Fireworks explode over the ancient Parthenon temple atop Acropolis hill during New Year's day celebrations in Athens, Greece, January 1, 2017. REUTERS/Alkis Konstantinidis TPX IMAGES OF THE DAY - RTX2X3V3
The new year is a chance to face monumental challengesImage: REUTERS/Alkis Konstantinidis
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2017年の幕開けにあたり、政府や企業の指導者たちは、世界が抱える最大級の課題の多くを解決せず、取り組まないままにしているように感じられる。

とりわけこの1年、私たちは暗い数字と深刻化する出来事の数々に直面してきた。行き場のない数百万人の難民、ブレグジットや米国選挙での予想外の決定、溶けゆく極地の氷、所得と富の格差拡大、テロの残虐行為、そしてグローバル化への反発やナショナリズム・ポピュリズム政治の台頭に関与するフェイクニュース現象である。

ダボスで再び集うにあたり、私たちが直面する課題を示す重要な問題を3つだけ取り上げたい。

第一に、画期的なパリ協定からわずか1年余りが過ぎた今、炭素排出を抑え、温暖化を制限する気候変動対策の枠組みが履行されるのか、不確実性が立ち込めている。新たに就任する政府や現職の政府の中には、協定を順守しないと明言するところもあり、地球を取り返しのつかない環境上の影響にさらしかねない。

第二に、仕事の未来は、世界の中間層に暗い見通しを突きつけている。広く参照される推計によると、2020年までに純計で510万人のホワイトカラー職が自動化によって失われる。近年のポピュリズム運動がグローバル化と貿易を標的にしてきたことは理解できるが、雇用にとってはロボット工学と人工知能(AI)の方がはるかに大きな脅威だと証拠は示している。ギグエコノミーはすでに、医療制度や年金制度をフルタイム雇用に結び付けるなど、雇用主と従業員の異なる関係モデルを前提に築かれた労働者保護に負荷をかけている。AIとロボット工学は雇用の喪失を別次元へ押し上げ、所得格差を拡大させる可能性が高い。

第三に、そして最後に、世界経済フォーラムは世界のジェンダー平等達成の予測時期を大幅に後ろ倒しし、2186年とした。実に170年も先の、到底受け入れがたい数字だ。女性の地位向上を進めないことによる社会的、経済的、金融的な機会損失は甚大だと、証拠は示している。同じ予測は2014年には、平等の達成は2095年まで実現しないとしていた。この当初の予測も容認できないものだったが、それでも一部の人には手が届く範囲に思えた。わずか2年で状況は悪化し、平等は今や完全に手の届かないものになったようだ。

リーダーシップの失敗

これらをはじめとする多くの問題が同時に限界点へと突き進み、各地のコミュニティで今見られる緊張と不安をさらに高めている。こうした問題をめぐる議論が何年も続き、証拠が積み重なっているにもかかわらず、私たちは集団として不可解なほど真剣に注意を払わず、ほとんど、あるいはまったく改善を実現してこなかったという見方がある。また、取り組むべき問題が扱われていない、あるいは手遅れになってからようやく公的・政治的な議論に上るだけだという感覚もある。

前世紀の大半、私たちは指導者に未来を見通し、課題を説明し、矛盾やジレンマ、そしてもちろん危険を乗り越えられるよう導いてくれることを期待していた。何よりも、私たちに代わって慎重かつ批判的、戦略的に考え、前途の障害を安全に乗り越えられるよう取り組むことを期待していた。

親欧州派のデモ参加者がブレグジットに抗議Image: REUTERS/Luke MacGregor

今、世界各地で深い失望が広がっている。人々は政府や大企業への信頼を失い、力強いリーダーシップを切望している。しかし、証拠に基づく議論ではなく、ナショナリズムやポピュリズム、強硬な言辞へと傾く最近の動きは、本当に私たちが求めるものなのだろうか。

新たな社会契約

私たちは今、移行期にある。既知の社会モデルから、第4次産業革命によって、はるかに未知のものとなる社会へと移りつつある。この状況を踏まえ、長期的な社会の利益について考える方法を変える必要がある。

私たちが破壊的変化の影響に、テクノロジー、グローバル化、人口動態の変化を通じて対処する中、政策立案者や企業の指導者の一部は、新たな社会契約の必要性をますます認識している。世界が変化するにつれて、既存の枠組みにはますます負荷がかかっている。

ここでいう社会契約とは、個人が市民社会の中で共に暮らすために取り交わす、暗黙または明示の合意である。法の支配、課税・移転給付、国家安全保障など、さまざまな側面を含む。重要なのは、社会契約が個人と制度のニーズ、そして公共の利益のバランスを取ることで安定を生み出すよう設計されている点だ。

新たな社会契約は、すべての市民との透明な情報共有を基盤とする必要がある。また、次の条件も必要だ。

  • 公平である:所得、ジェンダーなどの格差の拡大を公然と測定し、是正する。とりわけ、テクノロジーに関連する労働の置き換えが進む中でこれに取り組む。

  • 包摂的である:先進国と新興国における気候変動対策などを通じて、社会全体の長期的利益を認識する。

  • 市場主導である:企業が、認識されている自社の利益を超えて行動し、長期的な価値創造という自らの目的へのコミットメントに沿うよう促す。

  • 政策に支えられている:税や補助金などの経済的インセンティブに加え、市民、起業家、企業それぞれに社会的・行動的なインセンティブを活用する。

発展と前進のためには、意見の相違に直面しても勇気を示し、直感や根拠のない意見に基づく対話ではなく、事実に基づく意思決定を重視するリーダーシップが必要だ。また、多様な利害関係者を遠ざけることなく、真の変化を生み出せる指導者も求められる。

指導者に求められること

現在の状況に応えるには、21世紀の新たなニーズに応える新しい社会契約とリーダーシップの基準が生まれなければならない。この地球の長期的な繁栄を妨げる問題を、協力して断固として解決できるリーダーシップが必要だ。テクノロジーの進歩により、以前より高い透明性を実現しやすくなっている。あとは、それを良い目的に活用すればよい。

重要なのは、事実が自分自身の世界観に合わないとき、自らに問い直すこともリーダーシップの要件だという点である。意見が事実を導くのではなく、事実が意見に情報を与え、形づくるべきだ。

この点を踏まえ、先ほどの3つの課題に戻ろう。ダボスで再び集うにあたり、指導者には次のことが求められる。

  • 気候変動対策を講じなければならないと認めること。短期的な利益に影響するかもしれないが、化石燃料の消費から移行することで生まれる新たな経済機会とともに、将来を確かなものにするために必要である。

  • 労働者が自らの経済的な将来を明確に見通せるようにし、新たな労働者保護のモデルを構築するとともに、明日の仕事に就くための人材育成に投資すること。

  • 世界人口の半数に影響を及ぼす格差を縮小するため、世界各地で教育、雇用、市民社会、企業活動、政治的リーダーシップへの女性の参加を積極的に促進し、断固たる行動を取ること。

昨年のダボス会議では、第4次産業革命によって私たちが直面する課題について共通認識が生まれた。2017年の新たなリーダーシップモデルを検討するにあたり、今こそ行動に焦点を当てる必要がある。時間切れではないが、より強い危機感を持ってダボスに臨まなければならない。

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