経営者、政治家、有力な思想家がアブダビに集まり、世界経済フォーラムの グローバル・アジェンダ・サミットが開かれる中、世界的な協調が成功している分野に焦点を当てることが重要です。しかし、こうした取り組みは、重要な国際問題の根本原因に切り込むには、先見性にも包括性にも欠けることが多いのが現状です。より広い文脈を考慮することが不可欠です。
危機が十分に差し迫ったものになると、国際社会はしばしばその課題に立ち向かう力を発揮します。金融危機の後にもそれを目の当たりにしました。今日もフィリピンの悲劇の後、数日間にわたる国際社会の力強い対応に同じことが見られ、私たちが大きな違いを生み出す意思と能力を持っていることが示されました。しかし、壊滅的な自然災害の後には、国際社会の関心が往々にして長続きしません。時間をかけて表面化する社会的・経済的な波及的影響を乗り越えるほど、支援の高まりや注目を長く維持できていないのです。また、将来の自然災害による被害を軽減するためのインフラ整備に向けた予防的な取り組みも十分ではなく、ましてや気候変動に対抗し、この分野における最大の長期的脅威に本当に取り組むための先を見越した課題設定も見られません。私たちは対応することには長けていますが、差し迫った危機が沸点に達する前に優先順位を定めて未然に防ぐ態勢は、依然として整っていません。
近年で最も重要な国際合意は、アサド政権の化学兵器を廃棄する取り組みでした。これには、多数の主要国や国際機関の間で複雑かつ持続的な調整が求められます。この取り組みはこれまでのところ、疑いようのない成功を収めています。しかし、この合意によって、シリアにおける暴力に対してより広く対応しようとしない外国の姿勢を強めてしまうことがあってはなりません。化学兵器による殺害と、内戦全体で10万人以上が犠牲になっている事態とを区別するのは不合理です。化学兵器をめぐる取引は、解決の見通しがまったく立たない大規模な紛争から、主要な関係国が目を背けるための口実となってはなりません。
私たちは近視眼的な姿勢を克服する必要があります。自国の国境の先を十分に見ようとしないという意味でも、将来を十分に見据えようとしないという意味でも、そうです。今年のサミットのテーマの一つが「世界的な気候合意に向けて」であることは、時宜にかなっています。これほど解決の難しい、広範囲にわたる問題に対しては、成功への明確な青写真はありません。私たちがさらに何をできるかを見極め、世界的協調の限界を現実的に捉えることが重要です。その際、進展させるために、考えを同じくする国々によるサブグローバルな連携を推し進める必要があるかもしれません。
世界経済フォーラムは、反応的で短期的な手法から脱却し、世界をより良くしていくための適切な場です。今週アブダビで開催されるグローバル・アジェンダに関する、示唆に富んだ議論を楽しみにしています。
執筆者:イアン・ブレマーは、 ユーラシア・グループ の社長であり、世界経済フォーラムのグローバル・ アジェンダ評議会「地政学リスク」の委員でもあります。「 グローバル・アジェンダ・サミット 」は、11月18日から20日までアラブ首長国連邦のアブダビで開催されます。
画像:台風ハイエン(ヨランダ)の猛威で壊滅的被害を受けたタクロバン空港で、住居を後にして米海兵隊のC-130機に乗り込むフィリピン人たち。REUTERS/Wolfgang Rattay


