米国の金利はなお上昇すると予想すべきか?

米国の金利はなお上昇すると予想すべきか?
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米連邦準備制度理事会(FRB)の新たな政策声明は、例年どおり、投資家が金利の引き上げ時期やペースについて手掛かりを求めるなか、今後数日間にわたり細部まで綿密に分析されるだろう。注目すべきは、「patient(忍耐強く)」という語が見当たらず、FRBが早ければ6月にも政策金利を引き上げる可能性を示唆したことだ。しかし、個々の文言よりも、声明が公表される状況のほうがはるかに多くを物語っている。

実際、今年、米国の金融政策をめぐる不確実性は、金融市場の変動を引き起こす最大の要因となってきた。結局のところ、利上げが米国のイールドカーブに及ぼす潜在的な影響は、世界中のあらゆる資産の価格形成に大きく響く。

しかし、投資家がイールドカーブの再評価リスクを過度に重視していることを示す要因が三つある。第一に、経済情勢を踏まえると、FRBは利上げの過程で慎重な姿勢を示す可能性が高い。第二に、FRBが迅速に行動したとしても、リターンを求める投資家の需要が利回りを下支えする。第三に、市場の技術的な特性により、米国債への強い需要が確保される。

まず、関連する経済情勢から見てみよう。現在のコンセンサスは、米国経済が着実に成長しており、先行指標はさらなる拡大を示し、労働市場のデータも予想を上回っているというものだ。雇用創出は堅調で、非農業部門雇用者数は2月に29万5,000人増加し、失業率も再び低下して、わずか5.5%となった。

しかし、FRBがなお懸念する指標もある。個人消費支出(PCE)デフレーターは、2%の目標を大きく下回ったままだ。来週発表されるコア消費者物価指数は、前年比でわずか1.7%の上昇にとどまると予想されている。原油安が総合CPIからコアCPIに波及すれば、さらに低くなる可能性もある。また、実質賃金の伸びは2%未満であり、消費支出の持続的な加速を支えるために必要だとFRBが判断する水準を下回っている。

5年間のブレークイーブン・インフレ率が1.9%という、すでに控えめなインフレ期待に加え、ドルは今年に入って約10%、昨年初め以降ではほぼ25%上昇している。通貨高がデフレ圧力をもたらすこと、そしてFRBが一般にデフレを許容しないことを考えれば、利上げにあたってFRBが慎重になると考える十分な理由がある。

FRBがデフレ圧力を無視してより速いペースで利上げしたとしても、世界の他の地域で得られる利回りがあまりに低いため、中長期金利はなお一定の水準にとどまる可能性が高い。ドイツ国債の利回りは、現在、年限8年までマイナスだ。欧州周縁国では、欧州中央銀行が1兆1,000億ユーロ(1兆3,000億ドル)の量的緩和プログラムを進めるなか、10年債利回りが1%に近づいている。また、日本の10年債利回りは0.4%を下回る。

新興国への融資も、魅力的とは言い難い。最もリスクの高い国でさえ、外貨建て利回りは低い。実際、ウクライナへの軍事介入を受けて西側諸国から厳しい経済制裁を科されているロシアでさえ、10年債の年利回りは6%未満だ。

世界の大半で利回りがこれほど低いなか、投資家は米金利の上昇がもたらす相対的な割安投資の機会を活用しようとするだろう。米国が安全資産としての地位を持つこと、さらに米金利の再評価があれば、それは間違いなく経済の再活性化を反映するはずであることを考え合わせれば、米国債への需要は非常に強くなるだろう。この状況では金利の上昇は抑えられ、債券市場が無秩序に急落するリスクも和らぐ。

金利が過度に上昇しそうにない最後の、技術的な理由は、中央銀行による長年の買い入れと米国の財政赤字の縮小によって、米国債が希少になっていることだ。実際、いわゆる「レポ」取引、すなわち売り手が後日、やや高い価格で買い戻すと約束して米国債を売却する取引は大幅に減少した。こうした取引の残高は、危機前の5兆ドルから現在は2兆5,000億ドルに減っている。リスク回避的な行動、投資家のレバレッジ解消、銀行規制の強化が重なり、米国の2年物および5年物レポ金利はいずれも、断続的にマイナス圏に押し下げられてきた。

米国の金融政策が世界市場に大きな影響を及ぼすことは疑いないが、米金利の方向性をめぐる懸念は行き過ぎている可能性がある。FRBはもはや忍耐強くあると約束していないかもしれないが、現在の金融環境を踏まえると、投資家は当面、大幅な利上げを予想すべきではない。

本記事は、 Project Syndicateとの協力のもと掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが本記事の見解を支持することを意味しません。

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著者:Alexander FriedmanはGAMの最高経営責任者。

画像:ワシントンで、警備用のバリケードの向こうに見える米連邦準備制度理事会の建物。REUTERS/Gary Cameron

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