現在の難民危機は、第二次世界大戦以降で最も深刻です。この問題をめぐる議論は声高で複雑な一方、事実に乏しいものです。ここでは、最も権威あるデータ、すなわち国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のデータを可視化した結果から導かれる結論を紹介します。目的は、難民と難民が国家安全保障に及ぼす影響、そして現行の国際体制の欠陥について、ありのままに客観的な全体像を示すことです。
ここでは、皆さんが知らなかったかもしれない5つの事実を紹介します。
1. 私たちには、支援を必要とする難民に対応する法的・道義的義務がある
以下の動画の可視化は、過去10年間に西アフリカ各地を移動した難民の流れを時系列で示しています。
国境を越えて動く色とりどりの点は、それぞれ一人の難民を表しており、その数は数万人に上ります。膨大な数字の洪水の中では、難民一人ひとりの経験を見失いがちです。難民とは定義上、紛争や迫害から逃れ、自国を離れる以外に選択肢のない人々です。そのため、住まいや生計手段を失います。家族と離れ離れになることも少なくありません。多くの場合、逃避行の最中だけでなく、亡命先にたどり着いた後も、暴力や差別、困窮を経験します。
2. 潜在的な脅威も含め、難民の「負担」は貧しい国々に不均衡に集中している。それでも、こうした貧しい国々の大半は国境を開いている
以下の可視化は、ここ数年に欧州へ向かった大規模な難民の流れを捉えています。シリアが世界と欧州の難民危機の震源地となっていることを示すとともに、アフガニスタンで長引く危機や、サハラ以南のアフリカ各地で新たに生じた危機にも光を当てています。
近年、記録的な数の難民が実際に欧州へ入ってきましたが、シリア難民の圧倒的多数は隣国のヨルダン、レバノン、トルコにとどまっています。世界全体では、難民の80%超が豊かな国ではなく、貧しい国々にいます。
3. 難民とテロリズムに関連があるとすれば、それは難民がテロリズムから逃れているということであり、受け入れ国でテロを実行しに来ているのではない
この可視化では、テロによる世界各地の死者を示す時系列地図に、世界の難民の流れを重ねています。データは次の資料に基づいています:世界テロリズム指数難民の定義には、逃れる理由としてテロリズムが明示的に含まれておらず、表示されているデータも相関関係を示せるほど詳細ではありません。それでも、全体として、難民の流れがテロのホットスポットから遠ざかっていることが重ね合わせから分かります。
4. 家を離れる人の数は、そう遠くないうちに増える可能性が高い。必要なのは国境封鎖ではなく、革新的な対応だ
この可視化は未来に目を向け、地球温暖化に伴う海面上昇の予測を示しています。
今世紀末までに世界の平均気温が2℃上昇するというのが、妥当な予測だと多くの専門家は考えています。その場合、バングラデシュ(およびフロリダ)のどれほどの地域が水没するかが分かります。今回も誇張は避けたいと考えますが、今後50~100年の間に、気候変動の影響によって数百万人が家を離れる可能性が高いと結論づけます。現時点で、国際体制はそれに対処する準備が整っていません。
5. 米国は難民の第三国定住を主導しており、米国が後退すれば他国も後に続くだろう
可視化からは語れない話が数多くあります。アフリカや中東から大西洋を越えて米国へ向かう点もかなり多くあります。これらは米国政府によって第三国定住した難民です。米国は一貫して、世界のどの国よりも多くの難民を第三国定住させてきました。世界の難民危機の解決に向けて動き出すには、さらに多くの国が米国にならう必要があります。


