政治的な反乱や暴動は温暖な天候と関連づけられてきましたが、これまで、平和的で民主的な政治行動に及ぼす可能性のある影響については、ほとんど研究されていませんでした。オープンアクセス誌『Frontiers in Psychology』に掲載された新たな研究により、米国における気温の変化と投票行動の関連が明らかになりました。
「ある選挙から次の選挙までの州レベルの気温上昇は、州レベルの投票率の上昇や、現職政党への得票増加に関連していることがわかりました」と、ヤスパー・ファン・アッシェ氏は述べています。同氏はベルギーのヘント大学、発達・人格・社会心理学部でこの研究を行いました。
「1960年から2016年までの米国大統領選挙すべてについて、各州の投票行動データを収集し、投票日と前回の選挙日の最高気温の差と比較しました」とファン・アッシェ氏は説明します。「気温が10C上昇するごとに、投票率は1.4%上昇することがわかりました。」
また、気温の上昇によって、一部の有権者が小規模政党(緑の党、リバタリアン党、無所属)に投票するよう促されたことも明らかになりました。一方で、より暖かい天候は、現政権に投票するよう一部の有権者をより強く促すこともわかりました。
「投票を予測する『お決まりの要因』と比べれば、こうした影響はかなり小さいものの、接戦では役割を果たす可能性があります」とファン・アッシェ氏は述べています。
研究では、その一例として2000年の大統領選挙を詳しく取り上げています。研究結果を当てはめると、気温がわずか10C(1.8oF)上昇していれば、フロリダ州でゴア氏が勝利し、ジョージ・W・ブッシュ氏に代わってアル・ゴア氏が第43代米国大統領になっていた可能性があると、ファン・アッシェ氏と共著者らは示唆しています。
ファン・アッシェ氏は、自身の研究結果が投票行動に影響し得る他の要因によるものではないことを強調しています。
「重要なのは、投票行動と投票率の関係が、影響を及ぼし得る『お決まりの要因』を考慮しても変わらなかったことです。たとえば、大統領が再選に出馬できるかどうか、現職大統領が再選されたかどうか(リンドン・ジョンソン大統領とジェラルド・フォード大統領は副大統領を務めていました)、大統領支持率、大統領の所属政党が直近2年間に議会で多数派だったかどうか、州の国内総生産(GDP)の変化などを考慮しました。」
研究では、絶対的な気温ではなく、気温の変化(前回の選挙日と比べた投票日の気温上昇または低下)を分析しました。絶対的な気温は結果に影響を及ぼす可能性があるためです。カリフォルニア州では30oCは通常の気温ですが、アラスカ州では暑い気温です。さらに、絶対的な気温は投票行動に影響を与え得る他の要因とも結びつく可能性があります。たとえば、気候が暑い国ほど貧困率が高い傾向があります。
今後の研究がさらに深く掘り下げ、投票行動に影響を及ぼす要因についての理解を深めることが期待されています。
「投票行動については多くの研究がありますが、人々の投票先に影響する、一見すると非論理的な要因にはほとんど注意が払われてきませんでした。今後の研究では、より小さな分析単位(市や郡など)を対象にしたり、影響の一部を説明し得る感情(怒りなど)を取り入れたりすることで、理解を広げられる可能性があります」とファン・アッシェ氏は結論づけています。


