地政学の未来をめぐる3つのシナリオ

The domestic political situations of key players in the international arena are undergoing significant shifts, as are relations between players
The balance of power is shiftingImage: REUTERS/Arnd Wiegmann
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国際情勢を理解するには、現在が本質的に安定した時期なのか、それとも大きく変動する時期なのかを見極めることが役立つ。四半世紀前に書かれた記事の中で、急速で絶え間ない変化が続いていた当時、共著者と私は、前者を「高原期」、後者を「歴史的転換期」と表現した。

最近の一連の動きは、国際舞台の主要な複数のプレーヤーの国内政治情勢が大きく変化し、プレーヤー間の関係も変わりつつあることを示唆している。あらゆる兆候が、世界はいま再び歴史的転換期にあることを示している。

この方向性を示す動きとして、主なものを挙げると、複数の先進民主主義国で政治の中道が崩れていること、長らく続いてきた地域・国際構造に遠心力が働いていること(その一例が英国のEU離脱を問う国民投票である)、ロシアと中国で権威主義が強まっていること、そして最後に、決して軽視できない米国の道徳的指導力の失墜がある。

こうした背景のもと、今後20年間に戦略的関係はどのように変化すると考えられるだろうか。短期から中期にかけての主要な論点は、第二次世界大戦後の秩序の形成に大きく関与した大国と、その秩序に異議を唱え、新たなパラダイムを築こうとする大国との関係である。この関係がどの方向に向かうのかは、今後5年から10年以内、おそらくはもっと早く明らかになるだろう。考えられる結果は大きく3つある。

1つ目は、現在の西側主導のパラダイムが、現在の弱点と分裂を克服し、新たな民主主義革命に向けた余地と機運を生み出すというものだ。その過程で、異議を唱える大国がうまく統合されるよう促す環境を築く。これを「自由主義的国際主義の再生」と呼ぼう。第二次世界大戦終結以来続いてきたパラダイムを刷新したものだ。

2つ目に考えられるのは、西側主導のパラダイムに異議を唱える国々が、その矛盾を利用することに成功し、おおむね平和的に、長年求めてきた多極世界の基盤を築くという結果だ。その中心はロシアと中国だが、それだけではない。19世紀の「列強協調」にちなんで、これを「21世紀の列強協調」と呼ぼう。

3つ目の結果は2つ目に似ているが、決定的な違いが1つある。多極化を推進する勢力の台頭が暴力的なものとなり、紛争が連鎖的に拡大して世界のより多くの地域を巻き込む。列強協調が弱体化し、国家間紛争が危険な水準に達して最終的に破綻した時期に広がった、戦略上の無秩序状態に近い状況が生じる。新たな世界的紛争の時代を意味するこの状況を、「地政学的メルトダウン」と呼ぼう。

こうした動きを促す要因として、重要なものが5つある。

第1の要因は、主要な当事国の経済的持続可能性である。各国の経済モデルが、ハードパワーとソフトパワーの施策を維持するのに十分な富を生み出し続けられるかどうかが問われる。

PwCの調査は、世界の経済的影響力が大きく移り変わると予測Image: PwC『2050年の世界』

第2の要因は、これらの国々が国民間の格差を縮小できるかどうかである。格差は国境を越えて存在するが、新たな世界秩序を形づくる主要な当事国では、特に大きな意味を持つ。

第3の要因は、競合する国々の統治能力に関わる。従来、統治を主導してきた民主主義国家は、その役割を手放しつつあるのだろうか。権威主義国家は、支配集団が政治を独占する新たなパラダイムを築き、最先端技術を使いこなす力によって社会を効果的に導けるのだろうか。それとも、ここ数十年に私たちが知ってきたものとは大きく異なりながらも、なお民主主義の範疇にあるとみなせる、新しい形の民主主義パラダイムが世界に生まれるのだろうか。

次に、軍事上の飛躍的進展の可能性がある。それにより、ある国の指導部が、他の挑戦者を抑え込める立場にある、あるいは既存の体制に対抗する重大なリスクを取れると判断する可能性がある。第一次世界大戦の潜水艦、第二次世界大戦の核兵器を考えてほしい。

最後に、不確定要因となるのは、国際社会の主要国が、社会のすべての主体が直面する環境問題の深刻化にどう対応するかである。現代の環境の実情に十分厳格に対応しなければ、深刻な気候上の危機が起きる可能性が高まり、従来の戦略的考慮事項が重要性の低い位置に追いやられるか、あるいはそれらと組み合わさって、これまでにない次元の戦略的複雑さを生み出すことになる。

以上が、今後20年間の世界情勢の全体像を理解するための私の概念的枠組みである。

これは、未来を形づくる最も重要でありながら不確実な要因を探るシリーズの一部である。世界経済フォーラムが、エキスパート・ネットワークと協力して企画・編集している。

デイヴィッド・ローは、NATO政策企画局の元局長であり、ジュネーブ軍統制民主的管理センターのシニアフェローを務めた。世界経済フォーラムの制度的ガバナンス評議会の元メンバーでもある。執筆記事はこちらからご覧いただけます。

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