新型コロナウイルス感染症の発生を受け、世界は経済・地政学のシステムに生じた大きな混乱への対応に、今も追われています。
中国では、パンデミックによってデジタル化が加速し、今後3~5年で数兆ドル規模の市場が生まれる見通しです。
中国と世界の対話を深めることで、すべての人にとってより良い未来を築くために協力できます。
経済・地政学のシステムが新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって弱体化した、世界的に見ても極めて困難な状況のただ中に私たちはいます。
コモディティ価格の高騰、インフレ、国際貿易とサプライチェーンの混乱は、世界経済に影響を及ぼしただけでなく、国連の持続可能な開発目標などの重要な世界目標の達成に向けた公約や進展も妨げています。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって2年以上が経ち、世界各国はそれぞれ異なる経済・文化的環境のもとで、回復力を示してきました。しかし、世界の旅行が回復しつつある一方で、世界的な景気後退が迫っています。
世界銀行が最近発表した中国経済アップデートでは、4.3%の2022年実質GDP成長率が予測されています。これは2021年12月版より0.8パーセントポイント低い水準です。景気後退を和らげるための積極的な政策刺激策に支えられ、2022年後半には成長の勢いが回復すると見込まれています。
パンデミックからの回復に向けた中国のアプローチ
中国は新型コロナウイルス感染症への対応において、多くの主要経済国とは異なるアプローチを取り、感染対策と経済成長の両立を図ってきました。中国と世界の間で意思疎通と対話を深め、相互理解と合意形成の場を設けることが重要です。
先日開催されたニュー・チャンピオン・ダイアローグ2022では、世界経済フォーラムのコミュニティメンバーが、中国と世界の意思疎通と相互理解を深めるための行動に向けた3つの重要分野を特定しました。
1. 対話とネットワークを通じて信頼を築く
パンデミックによって、オンライン会議への適応は大きく進みましたが、対面での交流が持つ独自の価値や人間的な要素を軽視してはなりません。
異なる文化的背景を持つ人々の間に、信頼の基盤を築くには、対面での会合が欠かせません。
対面で交流する機会を増やすことは、異なる意見を持ちながらも心を開く人々のコミュニティを築き、文化間の真の対話を促進する鍵です。
2. テクノロジーを善のために活用する
技術革新は、多くの分野で世界規模のインパクトをもたらす有効な手段となり得ます。
パンデミックによる逆風にもかかわらず、中国のビジネスリーダーたちは世界各地のリーダーと同様、今日私たちが直面する複雑さを増す社会・環境・経済の課題に対する解決策を推進するため、卓越した起業家精神を発揮してきました。
ヘルスケア業界を例に挙げましょう。パンデミックは世界の医療制度を試しただけでなく、特に高齢者をケアする備えが不足していることを明らかにしました。
このことを受け、業界はテクノロジーを活用し、人工知能や個人に関するデータなどを用いて、高齢者が直面する高リスクの慢性疾患に対する予防策をさらに充実させる必要があります。
金融業界では、テクノロジーによって異なるシステムからデータを収集、測定、分析する新たな機会が生まれ、金融機関はグリーンファイナンスを活用して、脱炭素化という戦略目標を達成できます。
テクノロジーの重要な要素として、中国の政策立案者や規制当局はデータセキュリティとデータプライバシーを最優先課題としています。また、ビッグデータの業界横断的な活用を進めるとともに、中国でこれらの業界が一体的に発展するよう、関連する規制や政策を改善する動きもあります。
3. 協力に向けた共通の利益を見いだす
どのような形の協力においても、共通の利益を見いだすことが目標です。共通の利益や対話、テクノロジーなどの手段は、効果的かつ効率的な協力につながります。気候変動に関する世界的な合意には共通の利益があります。それは、地球の持続可能性を考慮した経済成長こそが、私たちが望む成長だと認識することです。
中国では、脱炭素化と排出量のピークアウトという目標によって、特に再生可能エネルギー分野やカーボンニュートラル関連産業において、関係者が協力する多くの機会が生まれるでしょう。
外国人投資家も中国の将来の成長から恩恵を受けられることが、共通の利益となります。ある専門家によると、今後3~5年で、次世代のSaaS(サービスとしてのソフトウェア)、先端製造業、不動産、電気自動車(EV)などの複数の業界に、数兆ドル規模の機会が生まれます。
例えば、中国は世界の電気自動車(EV)市場をリードしており、352万台のEVが2021年に販売され、世界全体の53%を占めました。これは、200万台増加したことを意味し、2020年と比べた販売台数の伸びは、他の全地域を合わせた増加を上回ります。
あらゆる分野で炭素排出量の削減を目指す中国は、補助金や税の免除、EVインフラへの投資を通じて、EVの製造と普及を支援しており、この傾向は今後も続くと見込まれています。
パンデミック後の世界には、国際社会に大きな成長機会があります。中国の多様な見解に耳を傾ける必要性は、実際に高まっています。より良い未来に向けて信頼を築き、共通の利益を見いだすには、世界と中国の対話が欠かせません。


