世界は深刻な経済的危機に直面していると専門家が指摘

Inflation is causing rising prices around the world.
Inflation is causing rising prices around the world.Image: REUTERS/Hannah McKay
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  • 最近の調査によると、世界経済の見通しは「暗転」したと主要エコノミストらが述べている。

  • 回答者の64%は、2023年に世界的な景気後退が起きる可能性は「やや高い」と答えている。

  • 2022年は、特に欧州と米国をはじめ、世界の多くの地域でインフレ率が高止まりすると予測されている。

  • この状況は深刻な生活費危機の一因となっており、調査対象のエコノミストの少なくとも80%が、2023年を通じて賃金の上昇は物価上昇に追いつかないと予測している。

世界経済の見通しは「暗転」し、世界は「深刻な経済的危機」に直面していると、世界経済フォーラムの「チーフエコノミスト見通し」調査は述べている。

調査報告書は、世界銀行の予測を引用している。それによると、2022年は、今世紀の変わり目以降で世界の貧困が最も深刻な年の一つとなる見込みで、コロナウイルスのパンデミックに見舞われた2020年に次ぐ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は引き続き各国経済の成長に影響を及ぼしており、ウクライナでの戦争は世界経済に深刻な混乱をもたらし、根強い高インフレを助長している。

世界的な景気後退への懸念が強まる

報告書によると、世界各地で経済成長の見通しが引き下げられ、回答者の64%が、世界的な景気後退が起きる可能性は少なくとも「やや高い」と考えている。

調査回答者の大半は、世界的な景気後退を予想している。Image: 世界経済フォーラム

調査対象者のほぼ90%は、ウクライナでの戦争、高インフレ、エネルギー供給への脅威を理由に、欧州の成長は弱い、または非常に弱いと予想している。欧州全域で、来年の成長見通しはさらに悪化すると予測されている。

2022年の中国では、調査対象者の67%が成長は弱い、または非常に弱いと予想している。新型コロナウイルス感染症対策の制限と不動産セクターへの懸念が重しとなっている。一方、2023年には経済が持ち直すと見る回答者が増え、66%が緩やかな成長または力強い成長を見込んでいる。

調査対象者のほぼ65%が、2022年の米国では緩やかな成長、またはそれ以上の成長を予想しているが、2023年に楽観的な見通しを示す回答者は37%に減る。金融引き締めが続く可能性が、これを左右する主要因とみられている。

エコノミストの10人に4人は、中央アジアの2023年の成長は弱いと予想しており、その割合は2022年の2倍に上る。サハラ以南アフリカでは、2022年に成長が弱いと予測する回答者は43%だが、2023年には大幅に増えて60%となっている。

一方、世界の他の地域では状況はそれほど深刻ではない。報告書によると、中東・北アフリカ(MENA)地域では、71%が緩やかな成長、またはそれ以上の成長を予想している。これは、同地域のエネルギー輸出国にとって好調な年となったことにも表れている。

南アジアでは、エコノミストの大多数が2022年と2023年の両方で緩やかな成長を予想している。ラテンアメリカでは、2022年の残りの期間よりも来年に緩やかな成長を見込む人の割合が高く、50%から56%に上昇する。

多くのチーフエコノミストは、南アジアの成長を予想している。Image: 世界経済フォーラム

急騰するインフレとの闘い

調査によると、極めて高いインフレ率が世界経済の成長見通しを弱める主な要因となっている。回答者の大半(93%)は、米国と欧州でインフレが高止まりすると予想している。中国とMENA地域を除き、年末まで世界のほとんどの地域で「高水準のインフレ率」が続くと調査は予測している。

米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行による金融引き締めは、チーフエコノミストの来年の予測に影響を及ぼしたとみられる。調査対象者のうち、来年のインフレ率が米国では緩やか、または低水準になると予想する人は57%、欧州では52%だった。回答者のほぼ80%は、金利上昇が「効果的」または「非常に効果的」だと考えていると答えた。

ただし、他の地域では楽観的な見方が弱いようだ。「世界の他のほとんどの地域では、来年インフレ率が低くなると予想する回答者はごくわずかです。しかし、2022年から2023年にかけて、『高い』から『緩やか』へと予測が明確に移行しています」と著者らは述べている。

報告書は、現在の金融引き締めに伴う欠点も指摘している。過去10年間で大幅に増加した公的債務の負担を、さらに増やす可能性があるという。低所得国で債務不履行が起きるリスクについては、調査回答者のほぼ全員(95%)が懸念している。

食料とエネルギーの安全保障が危機に

報告書が引用する世界銀行のデータによると、2022年7月には125カ国を超える国で食料価格のインフレ率が5%を上回った。こうした影響は、低・中所得国の90%と高所得国の80%超で見られた。

世界の食料安全保障についても悲観的な見方があり、回答者は今後3年間に世界の広い地域で危機にさらされる可能性があると考えている。特にサハラ以南アフリカとMENA地域は脆弱だという。一方、南アジアや中央アジアの一部でも食料安全保障が問題になると予想する回答者が少なくない。

世界食糧計画(WFP)は、2021年に53カ国で深刻な食料不安が生じ、約1億9,300万人が影響を受けたと報告した。この人数は2022年末までに2億500万人を超えると予想されている。

インフレ率は米国と欧州で最も高くなると予想される一方、食料不安はサハラ以南アフリカで最も深刻になると予測されている。Image: 世界経済フォーラム

エネルギー安全保障について、報告書の著者らは次のように述べている。「天然ガス価格は2022年8月に4カ月連続で過去最高を更新し、年初から130%、前年同月比では約250%上昇した。」

特に欧州では、政府が家計や企業を支援するために数十億を投じている。しかし著者らによると、これは過去の危機に際して国が多額の支出を行い、すでに高水準にある公的借入をさらに増やすおそれがある。

生活費危機

調査対象のチーフエコノミストは「ほぼ一致して」、2022年と2023年には賃金が物価上昇に追いつかず、その期間に低所得国と高所得国の双方で実質賃金が低下すると予想している。

ユーロ圏全体では、2022年第1四半期に実質賃金が前年同期比1.7%低下した。報告書の著者らは、「2020年の新型コロナウイルス感染症の発生による経済ショックに次ぎ、これは世界金融危機以前から続くインフレ調整後賃金への最も深刻な打撃だ」と述べた。

調査によると、基本的な生活水準への脅威は、社会的混乱のリスクを高める可能性がある。回答者のほぼ80%は、物価上昇によって低所得国で社会不安が引き起こされると予想している。報告書は、2022年版「世界平和指数」によれば、世界の政治的不安定は2008年の金融危機以降で最も高まっていると指摘している。

OECDも低成長と高インフレを予測

別途発表された中間報告書「OECD経済見通し:2022年9月」も、世界経済の見通しは「暗転した」と結論づけており、ロシアがウクライナで軍事行動を開始する決定を下したことで、状況はさらに悪化したとしている。

OECDは、2022年後半も経済成長は低調にとどまり、2023年にはさらに減速すると予測している。また、主要経済国ではインフレが低下し始めるものの、ほぼすべての国で中央銀行の目標を大幅に上回る水準にとどまると見込んでいる。エネルギー不足を避けるには、供給源の多様化と需要の削減が必要だと述べている。

「インフレが急上昇し、実質賃金が低下するなか、世界的な生活費危機は、社会で最も脆弱な人々に最も深刻な打撃を与えています」と、世界経済フォーラムのマネージング・ディレクター、サーディア・ザヒディは述べている。

「政策立案者は難しい立場に置かれています。しかし今、インフレを抑えながら成長への影響を最小限に抑え、最も支援を必要とする人々に直接支援を届けるため、財政政策と金融政策を適切に組み合わせることが不可欠です。これほど重大な局面はありません。」

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