ダボス2022:NATO事務総長イェンス・ストルテンベルグの特別演説

Jens Stoltenberg, NATO Secretary-General, addressed the World Economic Forum's Annual Meeting.
Jens Stoltenberg, NATO Secretary-General, addressed Davos 2022.Image: World Economic Forum
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2年間この集まりがなかった後、ダボスに戻り、対面で皆さんにお会いできてうれしく思います。

半世紀にわたり、世界経済フォーラムは世界の人々を一堂に集めてきました。世界が直面する最も重要で困難な問題について、考えや知見、解決策を交換するためです。今日、ダボスのこの精神がこれまで以上に必要です。

プーチン大統領のウクライナ侵略戦争は、欧州の平和を打ち砕きました。これは、欧州の安全保障だけでなく、世界秩序にとっても転機となる出来事です。

ロシアの侵略に対し、NATOには二つの基本的な任務があります。ウクライナを支援すること、そして戦争の拡大を防ぐことです。

長年にわたり、NATOとNATO加盟国はウクライナを支援してきました。とりわけ米国、カナダ、英国、そしてトルコも支援しています。数万人のウクライナ兵に装備を提供し、訓練を行ってきました。

こうした支援が戦場で日々もたらしている効果を、私たちは目の当たりにしています。ロシアの侵攻以来、国連憲章に明記された自衛権をウクライナが行使できるよう、数十億ドル相当の兵器やその他の支援を提供し、支援を大幅に強化してきました。

NATOの主な責任は、すべての加盟国を守り、この戦争が拡大してさらなる死と破壊をもたらすのを防ぐことです。ロシアの残虐な侵攻に衝撃を受けたかもしれませんが、驚くべきことではありません。この侵攻は、かつてないほど正確に予測されていた軍事侵略の一つでした。

NATOでは情報を共有し、プーチン大統領の計画を警告するため、何カ月にもわたり公表してきました。ロシアによるウクライナ攻撃は、モスクワが政治的目的を達成するために軍事力を行使してきた長年のパターンの一部です。グロズヌイの破壊。ジョージア侵攻。クリミア併合。アレッポへの爆撃。そして今、ウクライナでの戦争です。

2014年のウクライナへの最初の侵攻以来、NATOは適応と準備を進め、防衛支出を増やし、近代的な能力に投資してきました。私たちは歴史上初めて、即応態勢を整えた戦闘部隊群を同盟の東部に配備しました。部隊の即応性を高め、宇宙やサイバー空間を含む新たな防衛領域を確立しました。

今年、ロシアが再びウクライナに侵攻したとき、NATOは備えができていました。同盟の東側に追加部隊を配備しました。現在、4万人を超える兵力がNATOの直接指揮下にあり、相当規模の航空・海上戦力がこれを支えています。バルト海から黒海にかけて多国籍部隊群の数を倍増させ、10万人の兵力を厳戒態勢に置いています。あらゆる侵略に対応し、NATO領土のすみずみまで守る準備ができています。

これは抑止です。モスクワに誤解や判断ミスの余地を与えないためです。紛争を挑発するのではなく、紛争を防ぎ、平和を守るためです。

昨年12月、プーチン大統領はNATOに最後通牒を突きつけました。欧州の安全保障体制を書き換え、勢力圏を再確立し、NATOを同盟の東部から撤退させ、NATOの拡大を終わらせるための、法的拘束力を持つ条約を要求しました。自国の国境付近でNATOの存在を減らしたいと望み、戦争を始めました。そして今、国境付近のNATOの存在も加盟国も増えています。

フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を申請する決定をしたことは、歴史的な意味を持ちます。欧州の安全保障が暴力や威圧によって決められることはないと示しています。NATOの拡大は欧州全体に自由と民主主義を広げる大きな成功だったと、すべての加盟国が認めています。ですから、すべての加盟国の安全保障上の懸念に対処する方法を見いだし、NATOの最も緊密なパートナーを自由な国々の家族に迎え入れられると確信しています。

その間も、NATOはバルト海地域で警戒を続け、加盟国はプレゼンスを強化しています。演習と部隊展開を強化し、史上初めて、米国の水陸両用即応群がNATOの指揮下に置かれました。

フィンランドとスウェーデンの加盟は、NATOと欧州連合(EU)との緊密な結びつきも強めるでしょう。欧州の安全保障と大西洋を挟んだ安全保障は、深く結びついています。今日、約6億人の欧州の人々がNATO加盟国に暮らし、EU人口の93%がNATOによって守られています。

NATOとEUの連携が一段と緊密になっていることは、現在の危機への対応に不可欠でした。

先ほどウルズラ・フォン・デア・ライエン氏が述べたように、NATO加盟国と欧州連合は、プーチン大統領の戦争遂行体制に前例のない制裁を科しました。スイスから韓国まで各国が私たちに加わり、制裁を科しました。また、数百社に上る国際企業がロシアから撤退しました。

こうした大規模な制裁は、この紛争から得られる重要な教訓の一つを思い起こさせます。長期的な安全保障上の必要性を、短期的な経済的利益と引き換えにしてはならないということです。

ウクライナでの戦争は、権威主義体制との経済関係がいかに脆弱性を生み得るかを示しています。エネルギーなどの重要な物資の輸入に過度に依存すること、人工知能などの先端技術を輸出することで生じるリスク、そして5Gなどの重要インフラを外国に支配されることで損なわれる強靱性です。

これはロシアについての話です。しかし、中国についても同じです。中国は私たちと価値観を共有しない、もう一つの権威主義体制です。そして、ルールに基づく国際秩序を損なっています。

国際貿易が大きな繁栄をもたらしたことは間違いありません。私自身、そして今日ここにいる多くの人々が、よりグローバル化した経済の推進に懸命に取り組んできました。しかし、経済上の選択が安全保障に影響を及ぼすことを認識しなければなりません。自由は自由貿易より重要です。利益よりも、私たちの価値観を守ることのほうが重要です。

来月、マドリードで開催されるNATO首脳会議で、NATOの指導者たちは、より危険で競争の激しい世界に向けて同盟をさらに強化し、適応させるため、大胆な決定を下します。

ウクライナのこの紛争は、欧州と北米がNATOのもとで結束し、世界各地の志を同じくするパートナーと協力して、価値観を守り、平和と繁栄を促進することの重要性を浮き彫りにしました。

ダボスの精神にのっとり、皆さんにも期待しています!

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