各国・企業が優秀な人材を争奪、世界的な人材獲得競争が激化

Employees climb up an electricity pylon next to a windmill to carry on a routine inspection at a wind power plant in Mingguang, Anhui province July 8, 2013. Picture taken July 8, 2013. REUTERS/China Daily (CHINA - Tags: BUSINESS ENVIRONMENT ENERGY TPX IMAGES OF THE DAY) CHINA OUT. NO COMMERCIAL OR EDITORIAL SALES IN CHINA - GM1E9790W6U01
A worldwide “war for talent” is being waged.Image: REUTERS/China Daily
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第二次世界大戦の終結以降、貿易と資本の流れは歴史上どの時点よりも自由化されてきた一方、労働者の移動は依然として厳しく制限されている。しかし、世界的な知識経済において、高技能労働者の獲得競争に加わらない国は後れを取ることになる。

世界の人々の3%超が出生国の外で暮らしている。世界人口に占める移民の割合は過去60年間ほぼ安定しているものの、その構成は変化した。人材需要のグローバル化により、低技能移民に対する高技能移民の割合は劇的に増加した。この変化には明確な地理的傾向もある。高技能移民の約75%が居住しているのは、米国、英国、カナダ、オーストラリアである。70%超にあたるシリコンバレーのソフトウェアエンジニアは外国生まれだ。しかし、今日の先進国が明日の後発国になる可能性も十分にある。

移民の流れの構成を変えている要因は多い。第四次産業革命、輸送・通信コストの低下(高技能移民は、技能の低い移民よりも目的国まで長距離を移動する傾向があること)、出身国における教育機会の不足などが挙げられる。しかし最大の要因は、今日の知識経済において人的資本が重要な役割を果たすという認識が広がっていることだ。

世界規模で「人材争奪戦」が繰り広げられ、世界の人材プールをうまく活用する企業が先行している。現在、ほとんどの多国籍企業は、将来有望な幹部候補に他国で働いて国際経験を積むよう求めており、国際的な移動経験を上級管理職への就任要件としている。グーグル、マイクロソフト、アルコア、クロロックス、コカ・コーラ、マクドナルド、ペプシ、ファイザーなど、世界経済を代表する企業の中には、移民出身のCEOを擁するところもある。

Image: ハーバード・ビジネス・レビュー

人口動態も世界の移民動向を左右する重要な要因だ。先進国の大半で高齢化が進む一方、多くの発展途上国では若者の割合が上昇している。インドでは65歳の人1人に対して20歳の人が4人いるが、西欧ではその比率は1対1だ。同時に、高所得国の平均所得は低所得国の70倍に達する。こうした人口構成と賃金の格差が相まって、移民を促す強い動機となっている。

世界的な人材獲得競争を受け、当初、先進国は高技能専門職を呼び込むための特別ビザを設けた。しかしその後、これらの国々では移民に対する政治的な世論が否定的に転じた。移民は受け入れ国の自国民労働者にとって脅威と見なされるようになったが、実証的な証拠は、移民が労働者を押しのける影響はごく小さいことを示している。例えばシリコンバレーでは、移民によって賃金や技能に対する収益が低下したことはない。

移民が受け入れ国の公的財政に及ぼす悪影響もごく限られている。移民は当初、受け入れ社会に純費用をもたらす場合があるが、その額は小さく、受け入れ国で生まれた子どもの就学にかかる費用よりも短期間で済む。さらに重要なのは、高学歴の移民が先進国の公的財政に実際にプラスの貢献をしていることだ。こうした労働者は、公共財や公共サービスの利用額を上回る税金を納めている。

世界的な人材移動は、出身国を世界市場に結びつける助けとなるため、出身国にも利益をもたらす。これは、公共投資の少なさ、研修や設備の不十分さ、技術ライセンスや知的財産の購入に充てる資金の乏しさによって、発展途上国の企業が直面する課題の一部を補う。もちろん、知識経済における生産性向上のために、長期的な手段として移住が最適とは言えない。しかし短期的には、技術の普及を加速させる。

世界経済の統合と交流を促すもう一つの強力な要因はインターネットであり、世界的な人の移動に代わるものと見る人もいる。インターネットによって一部の労働を遠隔で提供できるようになったものの、ディアスポラのネットワークに取って代わったわけではない。情報通信技術の発展により、従来のディアスポラとのつながりの重要性は低下したが、ICTの革新はこうしたつながりによっても支えられてきた。例えば、インドとディアスポラとのつながりを通じた知識や技術の交換により、同国は従来の発展段階を飛び越えることができた。

総じて、世界は貿易と資本移動の拡大から多大な恩恵を受けてきた。今こそ、人材移動の恩恵を享受するときだ。貿易や金融・資本と異なり、移民は依然として厳しく制限されている。経済成長は、雇用機会の確保と労働に対するより高い収益に大きく左右され、それらには国内外での移動が必要であるにもかかわらずだ。

政策担当者には、世界的な人材移動を促進するための手段が数多くある。この問題は多面的であり、官民の連携をさらに進める必要がある。企業や大学は世界的な人材獲得競争の最前線にいるが、国際的なガバナンス機関、多国間開発銀行、市民社会団体も重要な役割を担う。テクノロジーも同様だ。ビデオ会議、デジタルプラットフォーム、オンライン労働市場などのツールにより、今では人材が仮想的に移動できる。

各国・企業が優秀な人材を争うなか、世界的な人材獲得競争は今後も加速する。中国やインドをはじめとする中所得の非OECD諸国は、高技能労働者にとってますます重要な移住先となっている。これらの国々が成長するにつれて、先進国の世界経済における影響力はさらに低下するだろう。競争はすでに始まっている。

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