タンザニア南部の人里離れた3つの村では、インドのベアフット・カレッジで太陽光パネルの設置と保守を訓練された地元の女性6人が、帰郷から数カ月以内に少なくとも200世帯へ明かりと電力を届けた。
新たな技能のおかげで、女性たちは発言力と自立性も高め、村のエネルギー委員会のほぼ半数を占めるようになったと、取り組みに協力した UN Womenは述べている。
ベアフット・カレッジのモデルが成功したことを受け、同校は9月、 アフリカに6つの地域センターを開設するため、1,100万ドルを拠出すると発表した。ブルキナファソ、リベリア、セネガル、南スーダン、タンザニア、ザンジバルに設置する。各センターでは、読み書きのできない農村部の女性560人に、村へ太陽光電化を導入する方法を訓練する。
これは、開発途上国で女性が気候変動の緩和、つまり地球温暖化をもたらす排出量を抑える取り組みに参加する例として、よく挙げられる活動の一つだ。女性が大きな役割を果たすもう一つの分野は、よりクリーンでエネルギー効率の高い調理用コンロの利用である。
例えばガンビアは、国連気候変動枠組条約に基づく国の緩和行動計画をまとめる際、調理に使う薪を減らす方法について女性に意見を聞いたと、環境相のパ・ウスマン・ジャルジュ氏は、先週リマで開かれた国連気候変動協議の関連イベントで語った。
しかし、こうした前向きな事例はまれだ。エネルギー技術、より環境に優しい交通、森林破壊の抑制、炭素取引など、大規模な解決策に焦点を当ててきた気候変動緩和の分野で、女性の関与はいまだ限定的だと、ジェンダー問題の専門家らはペルーで述べた。
「大きな解決策をめぐる領域では、私たちが生きる権力構造のためということもあり、女性はほとんど働いていません……意思決定者の大半は男性です」と、ニューヨークに拠点を置く女性・環境・開発機構(WEDO)のプログラムディレクター、エレノア・ブロムストロム氏は述べた。変化の歩みは「非常に遅い」と同氏は付け加えた。
国連気候交渉で採択された決定をWEDOが分析したところ、緩和に関する決定のうちジェンダーに言及したものは3件にとどまった。適応に関する決定では10件だった。適応の分野では、異常気象の激化や海面上昇の影響を女性が不均衡に受けることへの認識が高まっている。
異なるニーズ
コスタリカに拠点を置くジェンダーと気候同盟のコンサルタント、アナ・ロハス氏は、視点を変えるよう促した。例えばエネルギー部門は、男性と女性の需要に最善の形で応える方法を探るよりも、供給の拡大を優先している。そうした需要に基づけば、より個々の状況に即した解決策が生まれると同氏は説明した。
さらに、バリューチェーンから取り残された人々を特定し、すでにある技能と新たに提供すべき技能を見極める必要がある。経済を低炭素型へ移行させる際に「女性を取り残さないため」だと同氏は述べた。
森林保護の取り組みも、女性のニーズを考慮できていないことが多いと、国際林業研究センター(CIFOR)の主任研究員アン・ラーソン氏は述べた。
同氏とチームが、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの約70村で、森林減少・劣化による排出量の削減(REDD)に関する初期の制度を調査したところ、女性は地域で協議されているプロジェクトについて 男性より情報を得ておらず 、プロジェクトに関する意思決定に参加する機会も少ないことが分かった。
ラーソン氏は、森林保護プログラムの影響についてジェンダーに配慮した分析を行うよう求めた。「現地で土地管理や森林利用の行動を変える話をするなら、その影響を受けるのは男性だけでなく女性もだからです」。
起業家を後押しする
では、緩和をよりジェンダーに配慮したものにするには、ほかに何が必要だろうか。WEDOのブロムストロム氏は、例えばエネルギー技術などを、労働集約度が低く、操作に上半身の筋力をあまり必要としないよう設計すべきだと提案した。
資金も変革をもたらし得る。そして、兆しは改善している。発足間もない グリーン気候基金は、初期の拠出表明として100億ドル超を集めたばかりで、ジェンダーに配慮したアプローチを取ると約束している。また、女性をはじめとする人々の参加を促す仕組みを整備する予定だ。
ハインリヒ・ベル財団北米支部の副所長リアネ・シャラテク氏は、気候資金をジェンダーの課題に応えるものにするには、気候変動が男性と女性に異なる影響を及ぼすことを認識し、その違ったニーズに合わせて資金を提供することが重要だと述べた。
世界各地の女性、とりわけ開発途上国の女性は、すでに緩和策を実施している。ただし、そうした取り組みは小規模で地域社会に焦点を当てたものが多いと同氏は述べた。
例えば国際的な気候資金は、女性起業家向けの融資枠の創設に補助金を出すことで、女性たちを支援できる。女性起業家は、文化的な偏見のために金融サービスを利用できないことが多いと同氏は付け加えた。
ナイジェリアの女性環境プログラムのコーディネーター、プリシラ・アチャプカ氏は、女性には「気候変動に対応し、適応性があり、手頃で、利用しやすく、入手可能な技術の開発に積極的に参加する権利がある」と主張した。さらに、「公正で安全なエネルギー移行から生じる可能性のある経済的機会と恩恵を享受できる」べきだと述べた。
女性がついに、緩和という男性の世界に切り込む時が来たのだろうか。
この見方を支持する声は広がっているかもしれないが、これまでの証拠が示すのは、実現はかなり難しいということだ。
この記事は、 トムソン・ロイター財団との協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。
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著者:ミーガン・ローリングは、トムソン・ロイター財団で援助と気候変動の問題を担当し、社会的・経済的・環境的正義に焦点を当てている。
画像:2011年3月2日、東京で開催された第4回国際太陽電池発電展(PV EXPO)で、太陽光モジュール供給業者Upsolarの太陽光パネル展示の隣に立つ女性のシルエット。REUTERS。
