世界人口の約15%を占めると推定される障害のある人々は、労働市場において十分に活用されていない人材層です。また、技術の進展、気候変動、人口動態の変化など、労働の世界が急速に変容するなかで、さらに周縁化されるリスクが高まっています。その結果、各国がこの課題に対処するためのさまざまな措置を講じない限り、既存の不平等が拡大する可能性があります。
欧州連合(EU)では、障害のある人々の60%が就労していますが、障害のない人々では82%です。米国では、障害のある人々は37%で、障害のない人々の77%と比べて低くなっています。平均すると、障害のある労働者は障害のない労働者より賃金が低く、教育、テクノロジー、社会保障など、生活に不可欠なものへのアクセスをしばしば拒まれています。
一方で、障害のある人々が雇用機会をより得やすくなるよう、ダイバーシティとインクルージョン、人事、アクセシビリティに関するものを含め、方針や慣行を見直す企業が増えています。
「The Valuable 500」キャンペーンは、2019年にダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会で始まりました。国際労働機関(ILO)のグローバル・ビジネス・アンド・ディスアビリティ・ネットワークの支援を受けるこのキャンペーンは、500社のCEOに対し、障害を取締役会の議題に取り上げるよう呼びかけています。それ以来、240社を超える企業がこの取り組みに賛同しました。今年のWEF年次総会では、障害のある人々のインクルージョンに向けて、さらに行動を起こす必要があるとの圧倒的な合意が得られました。
しかし、こうした取り組みと並行して、進捗を把握し、2030年持続可能な開発アジェンダで私たち全員が掲げた「誰一人取り残さない」という約束を実際に実行できているか確認する仕組みが必要です。その鍵となるのは、障害の有無別に分類されたデータです。
国ごとに定義が異なることや、秘密保持などに関する問題があるため、これは複雑だと見なされることがあります。
幸い、障害のある人々を特定する方法については国際的な合意があり、インクルージョンの格差を追跡できる、信頼性と比較可能性のある統計を得ることができます。
合意されたこの手法、すなわちワシントン・グループの設問セットを使えば、労働力調査などの一般的な調査に6つの簡潔な質問を加え、特定の状況における障害のある人々を特定できます。国際労働機関はこれを発展させ、各国が障害のある人々の状況や、労働市場への参入を妨げる根本原因について、より詳しい情報を得られるモジュールを作成しました。
ILOの「仕事の未来に向けたILO創立100周年記念宣言」において、ILOの187加盟国の政府、労働者代表、使用者代表は、ILOが「障害のある人々に対し、労働の世界で機会と待遇の平等を確保する」ために取り組みを進めなければならないと宣言しました。
ILOは、障害のある人々のインクルージョンに関する議論を推進することに取り組んでいます。言葉だけに終わらせないためには、進捗を測定し、継続的に把握することが不可欠です。

