米国の調査によると、フリーランスで働く女性の男女賃金格差は、フルタイム雇用で働く女性よりはるかに深刻だ。
ギグエコノミーの一部の分野では、男性は女性より平均48%高い料金を請求している。
フリーランスで男女の賃金格差が最も大きい分野は、会計とコンサルティングだ。
世界経済フォーラムの「世界男女格差報告書」によると、不平等な報酬は男女格差の一因となっており、現在の進展のペースでは解消に132年かかる。
米国のフリーランス労働者を対象とした調査によると、急成長するギグエコノミーで働く女性の報酬は、男性より大幅に低い。
調査の著者らによると、自営業の女性が直面する男女賃金格差は、フルタイム勤務の女性のほぼ3倍に及ぶ。これは、賃金格差の是正に向けて多くの企業が取り組んできたにもかかわらず、進展は痛ましいほど遅いという状況にある。
ZenBusinessの調査によると、同等の仕事に対して、男性のフリーランスは女性より平均48%高い料金を請求している。
男女賃金格差が最も深刻な職種
ZenBusinessは、フリーランス向けウェブサイトUpworkで少なくとも100時間分の仕事を請求したフリーランス6,000人について、専門分野、職種、時間単価を分析した。
その結果、男性は女性より1時間あたり平均22.28ドル高い料金を請求していた。
男女賃金格差が最も大きい職種は、ソフトウェア開発やITに携わるDevOpsエンジニアだった。この職種では、男性は1時間あたり100.90ポンドを請求し、同様の仕事をする女性の3倍を超える。
格差が最も大きい分野は会計とコンサルティングで、男性の時間当たり収入は平均で33%高い。ただし、この傾向に当てはまらない職種もある。女性の人事管理者とインストラクショナルデザイナーの報酬は男性を上回るが、その差はわずかで、それぞれ1時間あたり3.26ドル、6.44ドルにとどまる。
クリエイティブ産業や、執筆・翻訳の仕事では、自営業の男女の報酬はより平等だ。しかし、この分野にも格差はある。男性のビジネスライターは、同様のコンテンツを手がける女性より、1時間あたり平均23.62ドル高い料金を請求できていた。
フリーランサーズ・ユニオンのエグゼクティブディレクター、ラファエル・エスピナル氏は、 ブルームバーグに次のように語った。「独立して働く女性がこれほど顕著な賃金格差に直面していることは、深く憂慮すべきです」
ギグエコノミーに移る人が増加
こうした不公正の影響を受ける女性は、さらに増える可能性が高い。なぜなら、ギグエコノミーが急拡大しているためだ。マスターカードは、この分野の世界市場規模が2023年までに4,550億ドルに達すると予測しており、また、2027年までに米国の労働人口の半数がフリーランスになるとの予測もある。
多くの女性は、フリーランスへの転身によって会社員として直面する障壁を取り除けると期待している。会計・請求書作成ソフト会社FreshBooksの調査では、自営業を検討している女性の70%が、そうする理由として職場での差別や企業内のガラスの天井から逃れることを挙げた。
米国の労働者も対象としたこの調査では、フリーランスの柔軟な働き方に女性が魅力を感じていることも分かった。回答者の84%は、自営業なら働く母親として仕事を続けやすいと答えた。一方、回答者の5人に1人は、顧客を獲得し維持するために、男性の同業者より低い金額を請求せざるを得なかったと述べた。
それでも、女性は報酬交渉でより高い目標を設定する必要があると、南オーストラリア大学ワークプレイス・エクセレンス・センター准教授のルチ・シンハ氏はシドニー・モーニング・ヘラルドに語った。「自分の価値を理解して交渉に臨み、他人に自信を損なわせないでください」
経済の未来にとっての「破局」
不平等な報酬は、世界各地のより広範な男女格差の一因となっているが、その解消にはまだほど遠い。世界経済フォーラムの「世界男女格差報告書2022」は、さまざまな平等指標を分析し、改善が現在のペースで進めば、完全な平等の実現まで驚くべきことに132年かかると推計している。
フォーラムのマネージングディレクター、サーディア・ザヒディ氏は次のように述べている。「……平等に向けた進展が止まっていることは、経済、社会、地域社会の未来にとって破局です。平等の実現を加速させることは、公共部門と民間部門の双方の課題の中核でなければなりません」。


