非公開企業は成長に伴いレバレッジを高め、特に短期債務に依存する一方、多くの上場企業は事業拡大とともにレバレッジを低下させる。
非公開企業は米国の総産出額の半分以上、雇用のほぼ3分の2を占めるが、上場企業に比べて研究が大幅に少ない。企業のライフサイクルにおけるレバレッジと、企業成長およびショックへの対応力への影響(NBERワーキングペーパー第25226号)で、Emin Dinlersoz、Sebnem Kalemli-Ozcan、Henry Hyatt、およびVeronika Penciakovaは、非公開企業のレバレッジ行動に焦点を当てている。研究者らは、上場企業と非公開企業では、借入を行うかどうか、いつ行うか、どのように行うかに重要な違いがあることを明らかにした。こうした違いは、景気後退期に企業部門がどのように振る舞うかを理解するうえで重要となる可能性がある。
研究者らは、上場企業と非公開企業の貸借対照表から新たなデータベースを構築し、米国国勢調査局の縦断的企業データベースと照合した。金融、保険、不動産、賃貸、リースの各部門の企業は対象から除外した。データベースには18万社を超える企業が含まれ、その97%は非公開企業だった。上場企業は、非上場企業より規模がかなり大きい。平均すると、上場企業は雇用者数で34倍の規模があり、売上高は64倍に上る。データベースには小規模企業と大規模企業の双方が含まれる。研究者らは分析の大半で、企業の年齢や企業レベルで観察可能なその他の要因を考慮している。
上場企業と非公開企業では、企業成長とレバレッジのパターンが異なり、そのため金融ショックに対する感応度も異なる。非公開企業は上場企業より長期資金の調達に苦労する傾向がある。成長するにつれレバレッジを高め、とりわけ短期債務に依存する。非公開企業では、規模が標準偏差1つ分大きくなると、全体のレバレッジは24%、短期レバレッジは37%、長期レバレッジは19%上昇することと関連している。非公開企業が資金調達上の制約に直面する可能性を予測するうえでは、企業の年齢より規模のほうが有効な指標とみられる。
上場企業では、企業規模とレバレッジの間にU字型の関係がある。規模の小さい上場企業では、規模が大きくなるほどレバレッジが低下し、株主資本が増える一方、非常に大規模な上場企業は長期債務の形で多額のレバレッジを抱えていることが多い。
融資が縮小し、企業が支払い能力の維持に苦しむ可能性のある景気後退期には、こうした資金調達行動が重要となりうる。研究者らは、信用収縮がさまざまな種類の企業にどう影響するかをより深く理解するため、大不況期の借入パターンを調べた。
研究者らは、非公開企業ではレバレッジの上昇が成長率の上昇と関連していることを明らかにした。これは、信用へのアクセスが企業の拡大を促すことを示唆している。この傾向は、近年の金融危機の際には他の時期より弱く、資金調達上の制約が強く作用していた可能性を示している。短期債務の少ない上場企業では成長率が高い。この関係は金融危機の際にも変化しなかったようだ。
上場企業と非公開企業では、負債による資金調達の役割と信用市場へのアクセスに違いがあり、信用が逼迫した時期の対応にも格差が生じうる。研究者らは、「上場企業と非公開企業が示すライフサイクルに沿ったレバレッジのパターンには明白な違いがあり、この2種類の企業の金融摩擦をモデル化するには、よりきめ細かなアプローチが必要である」と結論づけている。
