英国ではこの3か月足らずの間に、 2度目の発生 が確認された。11月末には、比較的新しい亜型H5N8(2009年末に中国で初めて確認され、その後オランダにまで西進した)が、 ヨークシャーで確認された。
一方、米州型とユーラシア型が古くから知られる、よりなじみ深い鳥インフルエンザの亜型H7N7が、ハンプシャーの養鶏場で確認された。鳥インフルエンザとは何なのか、そしてなぜ公衆衛生当局はこれほど警戒しているのか。知っておくべきことを紹介する。
1. 多くの亜型が存在する
鳥インフルエンザは、人間のパンデミックインフルエンザや季節性インフルエンザと同じ、A型インフルエンザウイルスによって引き起こされる。人間のインフルエンザには、H1N1とH3N2という2つの亜型しかなく、それぞれ2009年と1968年のパンデミックを引き起こしたウイルス株の子孫にあたる。これに対し、鳥インフルエンザには数十の亜型があり、これまでに128種類が確認されている。そのうち69種類は、今世紀に入ってから少なくとも一度、欧州で記録されている。
インフルエンザは、もともと鳥の病気だ。人間を含め、インフルエンザに感染するほかの種には、新たな宿主に適応した変異株があるが、その祖先は最終的には、鳥の体内に潜んでいた祖先にたどり着く。現在、カモやカモメなどの鳥類の体内で静かに存在している亜型のなかには、将来、人間にパンデミックをもたらすウイルス株の祖先となるものがあるかもしれない。
2. 特に多くの亜型を運ぶ鳥もいる
小柄で美しいコガモは、赤褐色の頭に鮮やかな緑のアイパッチがある。鳥インフルエンザの運び手としては最も多く、これまでに21種類の亜型が記録されている。
ほかの鳥が運ぶ亜型はもっと少ない。もちろん、すべての鳥類を調べたとは言えない。多くの鳥にとって、インフルエンザは大きな病気の原因ではない。そのため、鳥インフルエンザの亜型の大半は「低病原性鳥インフルエンザ(LPAI)」株に分類される。
3. 養鶏農家にとっては深刻な問題
しかし、なかにはそれほど無害ではない亜型もあり、特に農場の動物にとっては深刻だ。農場の動物は何千年もの間、人間の保護下で暮らしてきたため、野生の近縁種ほど抵抗力がないことも多い。一部の亜型は「高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)」株に分類され、そのなかで最も恐れられているのが H5N1 だ。これは複数の大陸で養鶏場に繰り返し甚大な被害をもたらし、養鶏農家自身にも数百人の死者を出している。人が鳥インフルエンザに感染すると、死亡率が高くなることがある。
4. 一般の人々が心配する必要はない
農家が鳥インフルエンザに感染し、悲しい結果となった例は時折あるものの、このウイルスは 人から人へ感染することはあまりない。その理由の解明は、科学研究が活発に進められている分野だが、主な要因は、鳥インフルエンザウイルスが人間の気道の細胞に付着して侵入するのが難しいことにあると考えられている。そのため、感染するにはかなり大量のウイルスにさらされる必要がある。
そのような量にさらされる可能性があるのは、一日中、家禽と接している農家くらいだ。それでも、マスクの着用など、簡単な安全衛生対策でリスクを大幅に減らせる。そのため、人間の鳥インフルエンザ感染例の大半は、世界の貧しい地域の農家に見られる。少なくとも私たちが知る限り、現在の鳥インフルエンザ株が人間の間で流行を引き起こすことはない。
5. 今回の新しい動きは?
ハンプシャーで確認されたばかりの鳥インフルエンザH7N7は、比較的よく知られた株の一つだ。残念ながら鳥の殺処分は必要になるが、人間へのリスクはまったく予想されていない。
ハンプシャーの株は、検査が終われば、典型的な欧州型だと判明する可能性が高い。H7N7が人に感染した例は時折あり、直近では2013年8月末にイタリアで、その前には2003年2月にオランダで確認されている。
やや不可解なのは、11月にヨークシャーで確認されたH5N8だ。その前には ドイツ、続いてオランダでも発生している。H5N8は、謎の多いウイルスで、悪名高いH5N1と正体不明の別のウイルスとのハイブリッドと見られる。ウイルス学者の言葉では「再集合体」だ。5、6年にわたって西へと広がり続けている。
世界保健機関の監視対象には、H7N9とH5N6も含まれており、現在、中国で懸念を引き起こしている。確かなことが一つある。鳥インフルエンザは、そう遠くないうちに再びニュースになるだろう。
この記事は、 The Conversationとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムがその見解を支持することを意味するものではありません。
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著者:デレク・ギャザラーはランカスター大学の講師。
画像:完全防護服を着た保健当局者が、卸売り鶏肉市場近くの道路を渡るのを待っている。REUTERS/Tyrone Siu。
