イランおよび中東全域での紛争により、ここ数か月でエネルギー市場は大きく揺さぶられました。
中国の対応は、エネルギーの多様化と再生可能エネルギー技術への数十年にわたる投資が、同国のレジリエンスを高めてきたことを示しています。
「この危機は、中国がこれまで進んできた道が正しいと、改めて確信させるものにすぎません」と、中国のエネルギー市場と地政学の専門家、エリカ・ダウンズ博士は述べました。
イラン戦争は、ここ数年で世界のエネルギーシステムにとって最も大きなショックの一つとなっています。
世界の石油貿易にとって重要な要衝であるホルムズ海峡の封鎖により、エネルギー供給が混乱し、価格が急激に変動したほか、世界各地でエネルギー安全保障への懸念が高まっています。
その影響が最も深刻に及んでいるのはアジアです。多くの経済圏が依然として中東からのエネルギー輸入に大きく依存しています。しかし中国は、長年にわたるエネルギーの多様化、戦略的計画、エネルギーシステムの構造的変化のおかげで、ショックを比較的うまく乗り切っています。
先月、中国・大連で開催された世界経済フォーラムのイベントで、コロンビア大学グローバルエネルギー政策センターの上級研究員で、米中央情報局(CIA)の元エネルギーアナリストでもあるエリカ・ダウンズ博士に、中国の長期的なエネルギー構想と、中東紛争が同国のエネルギー転換をどのように変えつつあるかについて話を聞きました。
博士の話を紹介します。
中国が「エネルギー大国」になるとは、どういう意味ですか?
「『エネルギー大国』という言葉が私の注意を引いたのは、2026~2030年を対象とする中国の第15次五カ年計画に盛り込まれたときでした。新しい言葉ではなく、それ以前から中国で議論されていました。しかし、五カ年計画に初めて盛り込まれたという事実は注目に値します。
「中国のアナリスト、政府関係者、メディア評論家による分析や論評をもとに私が理解したところでは、これは基本的に、中国が必要とする中核的なエネルギー技術をすべて自ら掌握する、ますます自給自足でレジリエントなエネルギーシステムを構築することを意味します。中国は、ホルムズ海峡を通るエネルギーの流れが数か月にわたって途絶えた今回のような外部からのエネルギーショックを、今後も乗り切れる態勢を維持したいと考えています。
「これはまた、中国のアナリストが世界のエネルギー安全保障のあり方が変化していると捉えていることも反映しています。具体的には、物理的な天然資源を掌握することがエネルギー安全保障の源となる状況から、重要技術を掌握することがその源となる状況へ移行していると見ています。」
中東での戦争は、中国のエネルギー転換にどのような影響を与えていますか?
「この戦争は、そうした目標を後押ししています。中国はこれまでのところ、このエネルギー危機を非常にうまく乗り切っていることに注目すべきです。同じように高価格や現物の供給不足に直面しているアジアの他の国々と比べても、そう言えます。そのため、中国はこの危機に非常に落ち着いて対応しているように私には見えます。
「ホルムズ海峡を通るエネルギーの流れが途絶えたにもかかわらず、それを乗り切れたことで、エネルギー安全保障の面で20年以上にわたって中国が取り組んできたことのすべてが、基本的に正しかったと証明されたからだと思います。これには、国境を越える石油・天然ガスパイプラインの建設、大規模な石油備蓄の拡充、国内のエネルギー構成の多様化、輸送を含むあらゆる分野の電化が含まれます。こうした取り組みによって、中国は石油需要の増加を回避できています。
「今後を見据えても、この危機は、中国がこれまで進んできた道が正しいと改めて確信させるものにすぎません。」
中国が再生可能エネルギーと化石燃料を利用するのは、矛盾ですか、それとも意図的な戦略ですか?
「中国政府関係者は、この状況への対応として、新たな生計の手段が完全に整う前に、従来の生計の手段を捨てることはしないと述べています。化石燃料から秩序ある形で移行したいという意向を、非常に明確に示してきました。
「つまり、中国は、いずれ再生可能エネルギーまたは非化石エネルギーを24時間利用できるようになるために必要な取り組みを進める間、化石燃料に依存し続けると見込まれます。中国は再生可能エネルギーによる発電容量を大幅に増やしてきましたが、再生可能エネルギーの蓄電設備をさらに建設するなど、電力システムを変革する必要があります。」
クリーンエネルギー投資は、中国と新興市場との関係でどのような役割を果たしていますか?
「2013年に一帯一路構想が発表されて以来、中国がその枠組みのもとで行う投資の種類は変化してきました。当初は、注目を集める非常に大規模なインフラプロジェクトがいくつもありました。港湾や鉄道のほか、大規模で高額な石炭火力発電所などが含まれていました。
「こうした投資からの転換は、2020年に発表された中国独自の二酸化炭素排出量のピークアウトとカーボンニュートラルの目標に関係しています。さらに2021年には、中国の習近平国家主席が、海外で新たな石炭火力発電所を建設しないと表明しました。それ以降、海外でクリーンエネルギー技術をさらに展開・輸出し、クリーンエネルギー関連資産をより多く建設する方向への転換が確かに見られます。
「もう一つ見られる変化は、海外に製造施設を建設する中国企業が増えていることです。特に太陽光発電で顕著で、エネルギー貯蔵や風力タービンではその度合いはやや小さくなります。その一部は米国の関税を回避するためであり、また一部は顧客に近い場所に拠点を置くためです。
中国はエネルギー転換と気候危機をどのように捉えていますか?
「中国は非化石エネルギーの役割を今後も拡大していく方針です。それが気候変動への懸念だけによるものだとは思いません。もちろん、そうした懸念は確かにあります。中国は気候変動が現実のものであると認識し、抑制されなければ中国に悪影響を及ぼすことも理解しています。
「しかし、ここにはエネルギー安全保障の側面もあります。中国は可能な限りエネルギー自給を実現したいと考えており、非化石エネルギーは、石油やガスではできなかった形でそれを可能にします。」

