電気自動車は電力網にどのような影響を与えるのか?

電気自動車は電力網にどのような影響を与えるのか?
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プラグイン電気自動車(PEV)には、内燃機関も備えたプラグインハイブリッド車や、純電気自動車など、さまざまな種類があります。適切な電源構成であれば、PEVは従来の内燃機関車と比べてCO2排出量を大幅に削減できますが、乗用車全体に占める割合は依然として0.1%未満と、ごくわずかです。しかし、PEVの割合はここ数年増加しています[1]。PEVの購入を促す政策が取られているノルウェーでは、2014年に新規登録された車両の総数のうち、純電気自動車が12.5%を占めました[2]。

電力網の観点から見ると、PEVの増加は課題となる可能性があります。人々の習慣や日々のスケジュールにより、特定の時間帯に需要がピークに達し、電力網の混雑や電圧の低下を招くおそれがあるためです。

しかし、PEVは単に負荷を増やすだけではなく、システムに柔軟性をもたらす可能性もあります。車両は通常、時間の大半(平均で90%超)にわたって駐車されており、バッテリーの充電に必要な時間は、駐車されている時間より一般にかなり短いものです。そのため、利用者に悪影響を及ぼすことなく、充電時間を容易にずらすことができます。さらに、車両のバッテリーに蓄えた電力を電力網へ送り返すこともできます(これはビークル・トゥ・グリッド、すなわちV2Gと呼ばれます)。たとえば、需要のピークを賄うために利用できます。V2Gの難点は、バッテリーの充放電サイクルが増え、劣化が早まることです。そのため、利用者にはバッテリーの消耗に対する何らかの補償が必要となります。一方、バッテリー技術がさらに進歩すれば、たとえば新素材(ETH-News「バッテリー電極用ガラス」を参照)によって、V2Gの魅力は高まるでしょう。PEVの充電の柔軟性を活用するには、運転者の快適性とプライバシーが守られるよう、適切なソフトウェアとハードウェアのソリューションを用いることが重要です。

電力網の動向

エネルギーシステムが再生可能エネルギー源への依存を強めるにつれて、電力網に求められる要件も変化しています。太陽光発電と風力発電は通常、出力を制御できず、分散型で、変動します。スイスでは、水力発電以外の再生可能エネルギーによる発電量が2011年から2013年にかけて40%増加しました[3、4]。電力の需要と供給は常に一致していなければならないため、再生可能電力の増加に伴い、電力網の需給バランスを保つ、より柔軟な資源が必要になります。PEVは日々の変動を補う短期貯蔵を担う可能性がありますが、季節変動の調整など、より長い期間には別の種類の貯蔵が必要です。

もう一つの動向は、これまで主に高圧送電網で使われていた通信技術が、配電網でも広く使われるようになっていることです。通信・制御機能を強化したこの種の電力網は「スマートグリッド」と呼ばれます。スマートグリッドは通信技術を活用し、太陽光パネル、風力タービン、バッテリーなどの分散型資源をより適切に統合することで、より持続可能で信頼性の高い電力網を実現します。

したがって、PEVとスマートグリッドの相互作用により、通信網、電力網、交通網の相互依存性が生まれます。この分野の研究には、全体を見渡す学際的なアプローチが必要です。

充電(および放電)の柔軟性の活用例

PEVの柔軟性を活用すれば、電力網の運用者が設備投資を先送りできるため、長期的には電力網への投資コスト、ひいては電気料金を抑えられます。たとえば、運用者は大きな負荷がかかっている変圧器の交換を待つことができます。電力網は、最悪の負荷状況にも対応できる規模でなければなりません。PEVを利用して負荷のピークを抑えたり、余剰の太陽光発電電力を吸収したりすることで、極端な負荷状況や電圧の問題を緩和できます。私たちの研究グループは現在、EU資金提供プロジェクト「 PlanGrid EV」でこの課題を調査しています。

電力網の周波数調整にも、PEVがもたらす柔軟性を活用できます。このサービスは、需給のバランスを保ち、システム周波数を公称値(欧州では50 Hzなど)に十分近い状態に維持します。スイスにおける電動モビリティの影響を調査するプロジェクト「 THELMA」で得られた私たちの結果によると、2035年までにPEVは必要な調整予備力の35%から73%を供給できる可能性があります。

PEVの普及拡大は電力網に課題をもたらす可能性がありますが、周波数調整や電力網への投資の先送りなどに活用できる貴重な資源にもなります。ただし、PEVの充電(および放電)の柔軟性を活用するために設計するシステムは、PEV利用者に受け入れられるものでなければなりません。また、PEVのような柔軟な負荷がスマートグリッドに参加できるよう促す、適切な政策や規制も必要です。

さらに詳しく

[1]電気自動車イニシアティブ(Electric Vehicle Initiative)、 世界EVアウトルック2013。

[2]ノルウェー道路連盟(OFV)(2015年1月)。「Bilsalget i 2014」[2014年の自動車販売](ノルウェー語)。 (閲覧日:2015年1月14日)

[3]スイス連邦エネルギー庁、『Schweizerische Statistik der erneuerbaren Energien(再生可能エネルギーに関するスイス統計)』—2011年、2012年版。(PDF、ドイツ語)

[4]スイス連邦エネルギー庁、『Schweizerische Statistik der erneuerbaren Energien(再生可能エネルギーに関するスイス統計)』—2013年、2014年版。(PDF、ドイツ語)

この記事は、 チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)との協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:Marina Gonzalezは、チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)電力システム研究所の博士課程学生です。

画像:エストニアのタリンで、タリンからモンテカルロまでの電気自動車ラリーの開始を前に充電されている日産リーフ。REUTERS/Ints Kalnins

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