世界経済フォーラムの「グローバルリスク報告書2022」では、短期・長期の両面で環境リスクが大きな割合を占めています。
今後10年間で深刻度が最も高いリスクのうち、3つを気候変動関連のリスクが占めています。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる連鎖的な影響が広がるなか、今後2年から10年にかけて、世界的なリスクの展望は変化します。
「グローバルリスク認識調査」の回答者のうち、世界の見通しについて「楽観的」または「前向き」と答えた人は16%未満でした。
最初の新型コロナウイルス感染症の症例が確認されてから2年が経ち、各国で感染者数が過去最多を記録しています。オミクロン株によるものですが、気候変動に伴う世界の長期的なリスクと比べれば、パンデミックの影響は小さく見えます。
これは、企業、政府、市民社会のリスク専門家や世界のリーダー約1,000人が、世界経済フォーラムの「グローバルリスク報告書2022」で示した厳しい見方です。
年次の「グローバルリスク認識調査」(GRPS)では、今後10年間の深刻度でみた世界的リスク上位10項目のうち、上位3項目は気候変動対策の失敗、異常気象、生物多様性の喪失と生態系の崩壊とされました。
社会的リスクは世界的な上位10項目の3分の1を占め、社会的結束の弱体化と生計の危機が上位5項目を構成しています。感染症はそれに続く6位です。
気候変動対策の失敗は、中期(2~5年)と長期(5~10年)のいずれにおいても、世界にとって最も重大な脅威とみなされています。社会、経済、地球に深刻な損害をもたらす可能性が最も高いリスクです。
調査回答者の大半は、取り組みが不十分だと考えています。77%は、気候変動を緩和する国際的な取り組みについて、「まだ始まっていない」または「初期段階にある」と回答しました。
リスクの見通しと世界的な格差
実際、専門家やリーダーたちは世界の見通しに必ずしも希望を持てていませんでした。GRPS回答者のうち「楽観的」または「前向き」とした人は16%未満で、大多数(84.2%)は「懸念している」または「心配している」と回答しました。
報告書によると、2024年までに、発展途上国(中国を除く)のGDP成長率はパンデミック前の予測を5.5%下回る一方、先進国では予測を0.9%上回る見込みです。
こうした世界的な格差は、気候変動への対処、デジタルの安全性向上、生計と社会的結束の回復、宇宙分野での競争管理など、共通の課題に取り組む世界の能力に影響を及ぼします。
「国内および国家間の格差が広がれば、新型コロナウイルス感染症とその変異株の抑制が難しくなるだけでなく、世界が見過ごすことのできない共通の脅威に対する協調行動が停滞し、場合によっては後退するおそれもあります」と、フォーラムのマネージング・ディレクター、サーディア・ザヒディ氏は述べています。
短期・中期・長期の世界的リスク
パンデミックの影響の全容が明らかになるにつれ、今後数年間でリスクの展望は変化します。
今後2年間について、リスク専門家やリーダーたちは、社会的結束の弱体化、メンタルヘルスの悪化、感染症、生計の危機を環境上の脅威と同程度のリスクとみています。環境上の脅威は短期から長期にわたって一貫しています。
今後5年間では、政府が財政上の優先課題の調整に苦慮するなか、債務危機や地経学的対立といった経済リスクが顕在化します。一方、長期的な上位5項目は環境リスクが占めています。
暗い予測が並ぶなかにも、より明るい結果を期待する理由はあります。「グローバルリスク報告書2022」には、新型コロナウイルス感染症のパンデミックから得たレジリエンスの教訓、宇宙分野での協力に関する提言、サイバー・レジリエンスの強化、より段階的な気候移行が盛り込まれています。
「最も混乱を抑えられる気候移行策とは、個人、社会、企業、そして地球のニーズを総合的に取り入れるものです。」

