炭素価格は電力部門のCO2排出量を削減するのか?

炭素価格は電力部門のCO2排出量を削減するのか?
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近年、政策立案者は、気候変動の原因と考えられている炭素汚染物質を削減する方法について、さまざまな案を検討してきた。その一つが、発電事業者のCO2排出に「炭素価格」または「炭素税」を課し、発電所の所有者が大量の二酸化炭素を排出する化石燃料、特に石炭を使うコストを高める方法である。

『電力市場における炭素削減コストの推定:シェール革命を用いた顕示選好アプローチ』(NBERワーキングペーパー第 20795号)で、著者の Joseph A. Cullen と Erin T. Mansur は、米国で歴史的なシェール革命が始まって以降の実際の天然ガス価格を含む複数の情報源のデータを用い、炭素価格が電力部門のCO2排出量を実際に削減し、その効果は天然ガス価格が低いときに最も大きくなることを示している。

炭素価格制度は、国内の複数の州や世界各国ですでに導入されている。炭素価格プログラムの基本的な考え方は、炭素コストの新たな負担が、電力網で最も汚染度の高い発電事業者に不釣り合いに大きな影響を与え、炭素排出削減のインセンティブとなるというものだ。短期的には、企業は「燃料転換」、つまりコストを下げるために別の発電所を使うことができる。たとえば石炭火力発電所からガス火力発電所に切り替えることで、炭素排出量を23~42%削減できる。

米国環境保護庁、連邦エネルギー規制委員会、エネルギー情報局、カナダ国家エネルギー委員会などの価格、生産、消費、排出データを用い、著者らは、2005年から2012年にかけて米国のシェール層からのガス生産が歴史的に急増して以降に起きたような天然ガス価格の劇的な下落に、電力産業の炭素排出量がどう反応したかを検証する。炭素価格も安価な天然ガスも、石炭火力発電所が歴史的に持っていたコスト上の優位性をほぼ同じ仕組みで弱める。すなわち、よりクリーンに燃焼し、供給量も増え続ける天然ガスと比べて石炭を割高にすることで、排出量が実際の炭素価格にどう反応して減少するかを示す。著者らは、シミュレーションシナリオではなく「観察可能な行動」に基づいて知見を導くことを目指している。

著者らの推計では、二酸化炭素1トン当たり10ドルの価格によって、CO2排出量は4%減少する。注目すべきことに、排出量を10%削減するには二酸化炭素1トン当たり60ドルの価格が必要となる。これは、短期的に排出量の削減目標をさらに大きくするほど、達成コストが増していくことを示唆している。

さらに著者らは、天然ガス価格が低いとき、炭素価格が排出削減により大きな効果を発揮することを示している。燃料価格が業界予測に沿って推移する場合、炭素1トン当たり20ドルの価格でCO2排出量は6%減少すると著者らは予測する。一方、ガス価格がシェールガス以前の典型的な水準に戻れば、同じ炭素価格による排出量の削減はわずか1%にとどまる。

著者らによれば、場合によっては、炭素価格を「比較的穏やかな」水準に設定することで、政策立案者は費用に見合う大きな効果を得られる可能性がある。たとえば炭素1トン当たり20ドルの価格なら、ほぼ直ちに排出量を6%削減できる。電気料金の上昇に直面した消費者が消費を調整し、企業がよりクリーンな新しい発電設備の建設を選択すれば、長期的にはさらなる排出削減も可能となる。

「炭素価格が汚染をもたらす企業に短期的にどう影響するかを理解することは、長期的にこの手段の有効性を示すうえで重要な一歩だ」と著者らは結論づける。「より長い時間軸では、新たな発電設備の建設や、消費者が新たな均衡電力価格に適応することで、さらに大きな排出削減が期待できる。」

この記事は、 NBERとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:Jay FitzgeraldはNBERに寄稿している。

画像:上海中心部で赤信号により停車する車両。REUTERS/Carlos Barria

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