世界は「温室効果ガスの実質排出ゼロ」を達成できるのか?

世界は「温室効果ガスの実質排出ゼロ」を達成できるのか?
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2050年までに「カーボンニュートラル」な世界を実現するという呼びかけが、来年、新たな国際気候変動協定の文面に盛り込まれる可能性はあるだろうか。

今朝、リマでの気候変動協議に向けて交渉担当者に公表された、2015年の合意に向けた 主要な要素 を含む草案は、各国政府が長期的な「ゼロ排出の持続可能な開発の道筋」を採用することを提案している。

提案では、2050年までに、クリーンエネルギーへの転換、エネルギー効率の向上、森林の保護などを通じて中和できる量を超えて、世界が気候変動を引き起こすガスを排出しない状態を目指す。また、各国は2050年までの完全な脱炭素化、あるいは2100年までの排出量のマイナス化を目指すことも考えられる。

こうした選択肢のいずれかが新たな世界的気候協定の最終版に盛り込まれるのか、盛り込まれるとしてどれになるのかが決まるまでには、まだ長い道のりがある。現段階でこの文書は提案を集めたものにすぎず、今後1年かけて内容を洗練し、交渉する必要がある。

しかし、排出量を「実質ゼロ」に抑えるという考えへの支持は広がっており、気候科学もその必要性を裏付けている。

ネットゼロは「必要とされている」

最新の気候科学評価報告書をまとめた気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の作業部会で共同議長を務めたクリス・フィールド氏は、今週末、リマで開かれた関連会議で、排出量をゼロにしなければならないと述べた。

「ゼロ排出は野心的ということではありません。私たちが何をしようとも、必要なのです」と同氏は語った。

「ある意味では……それはイノベーションにとって非常に大きな力になります。私たちが見据えているのは、エネルギーシステムを上から下まで根本的に見直すことです」と同氏は付け加えた。

今すぐ野心的な排出削減を実施したとしても、約1.5℃の気温上昇はすでに避けられないと科学者たちは推定している。

気候変動による影響――異常気象の増加や海面上昇など――はすでに起きており、今後数十年の排出削減によって大きく変わることはないとフィールド氏は述べた。今の炭素排出削減によって決まるのは、今世紀後半に何が起こるかだという。

貧困に立ち向かうクリーンな成長

「 海外開発研究所の新たな論文 によると、気候変動のコストは特に貧しい人々に重くのしかかり、極度の貧困にある人々がそこから抜け出すことを一層困難にするほか、中程度の貧困層(1日2ドルで暮らす人々)を極度の貧困に追いやるおそれがある。

一部の国は、実質排出ゼロを達成するために必要な経済変革は、極度の貧困を根絶するという目標と相いれないと主張している。

しかし論文は、世界全体でも最貧国でも、実質排出ゼロへの道筋は、穏健で持続的な経済成長の実現と格差への対処に、より有効である可能性を示す強い証拠があると論じている。論文によれば、いずれも「極度の貧困ゼロ」を達成するための前提条件だ。

リマで開催された、 1世代のうちに貧困ゼロと排出ゼロを実現する方法を探るイベントで、 トラック・ゼロ・イニシアチブの責任者ファルハナ・ヤミン氏は、ほかの2つを達成するには、目標のリストに「汚職と既得権益を一切容認しないこと」も加える必要があると述べた。

「たばこ産業や医療分野では、既得権益を規制するための措置が取られてきました。しかし気候変動については、同じことをしていません」と同氏は語った。

既得権益に立ち向かう

一方、拡大するダイベストメント運動は、大学、教会、年金基金などの金融機関に対し、石油・ガス会社を含む化石燃料への投資から資金を引き揚げるよう圧力をかけている。

また、ユニリーバなど大手多国籍企業の間では、気候リスクへの対応に取り組み、サプライチェーンの持続可能性を高める動きが広がっている。

しかし、世界資源研究所のアンドリュー・スティアー所長は、排出量を実質ゼロにする取り組みを主導したい人々は、友人を失う覚悟が必要だと警告した。既得権益が損なわれ、反撃してくるからだ。

「 新気候経済 」プロジェクトの上級顧問マイケル・ジェイコブズ氏は、政治家は国内の有権者に対して責任を負っており、「国内で世論が大きく盛り上がらない限り」、ゼロ排出への移行に必要なことを実行しないと指摘した。

ゆっくりではあるが、そうした世論は形成されつつあるようだ。9月の国連気候サミットを前に、より強力な気候対策を求めて、ニューヨークやロンドンをはじめ世界各地の都市で数十万人が街頭に繰り出した。

それでも、国連開発計画(UNDP)総裁のヘレン・クラーク氏らは、新たな世界的気候協定の合意が予定されている1年後のパリ会議に向けて、圧力をかけ続ける必要があると述べた。

気候変動に関する街頭デモやその他の活動は、ベトナム戦争、アパルトヘイト、核兵器などに反対する運動ほどの規模には達していないと同氏は指摘した。

「もっとずっと大きな声を上げなければなりません」と同氏は述べた。「そうでなければ、特に緊縮財政や低成長の時期には、政府が開発か環境かの選択を迫られ、より大きく長期的な視野を考えずに開発を選ぶという、いつもの立場に戻ってしまいます。その道を進み続ければ、次の世代にかなり有害な遺産を残すことになるのです。」

市民社会団体は、新たな世界的合意に実質排出ゼロの目標が確実に盛り込まれるようにするのは、一般の人々次第だと述べている。

グリーンピース英国の政策担当ディレクター、ルース・デイヴィス氏は、「この内容が文面に残るかどうかは、私たちが政治家に働きかけられるかにかかっています」と述べた。

この記事は、 トムソン・ロイター財団 trust.orgとの協力により公開されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:メーガン・ローリング氏はトムソン・ロイター財団のジャーナリストで、人道危機、援助、気候変動、ガバナンス、女性の権利に関する最新動向を取材している。

画像:ヨーロッパ最大の石炭火力発電所、ベウハトゥフ発電所の煙突から煙が立ち上る。REUTERS/Peter Andrews。

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