世界には、エネルギーにアクセスできない人が約10億人おり、そのうち4億人はインドにいます。洞察力と想像力のある人にとって、これは並外れた潜在的市場を意味します。
私は、世界の資本とエネルギー産業の収益性を結びつけようとしています。こうした人々に手頃で信頼性の高いエネルギーを提供できれば、その生活の質は劇的に向上するでしょう。そのエネルギーをクリーンで効率的なものにできれば、私たちすべての生活の質の向上にも貢献するでしょう。
過去10年間で、インドの電力部門は発電能力を倍増させ、今後5年間で90〜100ギガワットを追加する見込みです。その間に、再生可能エネルギーだけへの投資規模は100億〜120億ドルと見積もられています。こうした需要に応えるには、石炭火力発電に関連する健康および社会問題に対処する必要があります。
その障壁の一つは資金調達です。現在、再生可能エネルギーのリスクについて投資家が考えていることと、この事業で実際に得られる収益との間にはずれがあります。
Bharat Light and Power(BLP)は、風力、太陽光、バイオマス、水力発電など、あらゆる形態の再生可能エネルギーに投資しています。また、エネルギー貯蔵などの他の解決策や、クラウドコンピューティングとビッグデータを活用してクリーンエネルギー発電所をより効率的に運用する方法も模索しています。
もう一つの課題は気候変動です。2008年の金融危機以降、各国政府は地球温暖化をめぐる議論への関心を低下させてきました。ここ数年に発生した数多くの環境災害、特にハリケーンや台風の数と激しさの増加、記録的な熱波や干ばつによって、この問題が再び注目を集めることを期待しています。
インドの持続可能なエネルギーへの取り組みの一環として、私たちの目標は、今後数年間で国内の再生可能エネルギー発電能力を高め、それを国の送電網にシームレスに統合できるインテリジェントグリッドを構築することです。
これを実現するため、BLPはIBMと10年間の戦略的連携計画を策定し、同社の SoftLayerクラウド の機能を活用しています。ビッグデータと高度な分析を再生可能エネルギーと組み合わせることは世界初の試みです。インド国内のすべての風力タービンからリアルタイムのデータを収集し、それを監視して、より効率的な発電所を実現しています。この技術により、BLPはインドだけでなく、世界中のどの風力発電所のタービンでも観測、報告、分析できるようになることが注目に値します。
さらに、IBMはすでに世界の気象に関する膨大なデータを収集しているため、そのデータを当社のタービン発電量と照合し、発電量を事前に予測・計画できないか検討しています。
ビッグデータと分析を活用することで、当社の技術とその運用環境の基礎にある傾向やパターンを特定できます。インドのエネルギーインフラだけでなく、風力発電や水力発電が依存する自然環境においても、何が起きているかを簡単に把握できるようになり、場合によっては事象が発生する前に適切に対応できるようになります。
この情報の価値はいくら強調してもし過ぎることはありません。大きな問題を未然に防ぐには、何時間も前に把握する必要があります。例えば、ギアボックスや発電機の故障は、タービンが数か月間停止する原因となり得ます。これが風力のピーク時期に発生すれば、経済的に壊滅的な打撃となるでしょう。しかし、機器の詳細な監視によって問題を把握できれば、停止時間を最小限に抑え、費用対効果の高い発電を継続できます。
さらに複雑なのは、当社の風力発電所と太陽光発電所の大半が遠隔地にあり、中には車で到着するまでに数時間かかる場所もあることです。インテリジェントグリッドを構築することで、リアルタイムのモバイル「ファームビュー」を利用できるようになり、エンジニアや技術者はどこからでも、常時すべての発電所を監視できるようになります。クラウドコンピューティングにより、現場スタッフの携帯端末に情報を提供し、傾向を事前に警告できるとともに、BLPが同じインフラから、より多くの電力量を生み出す支援となります。
インドがエネルギーの需給ギャップを埋めようとするなら、大幅な投資が必要です。同国は二酸化炭素排出量が多い上位5か国の一つです。したがって、経済的、社会的、環境的な観点から、あらゆる資源を活用して、より信頼性が高く、予測可能で、ひいてはより手頃なエネルギーを生み出すことには意味があります。
クラウドコンピューティング、分析、ビッグデータ……これらの技術はゲームチェンジャーであり、受動的ではなく能動的に対応することを可能にすると考えています。また、発電の信頼性と効率を高め、より多くの再生可能エネルギーを送電網に組み込むことにも役立ち、電気の発電と消費の在り方を変革する一助となるでしょう。
著者:Tejpreet Singh Chopraは、インドのBharat Light and Powerの社長兼CEOであり、 世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーでもあります。
画像:2014年2月11日、インド西部グジャラート州ガンディーナガル近郊のRaisan村にある太陽光発電所内で、太陽光発電パネルを清掃する作業員。REUTERS/Amit Dave
