AIとデジタル技術は、世界中の若者の暮らしを変えつつある。
教育制度は、教師が理解していないテクノロジーへの対応に追われている。
AIとデジタル技術が子どもに及ぼす影響は、2024年ダボス会議で議論された。
大人になったら何になりたいですか?
これは世代から世代へと問いかけられてきた質問だ。若者たちの答えには、未来に対するある程度の確かさが反映されていた。
列車の運転士、医師、消防士、弁護士を目指す人々は、長く続いてきた産業やサービスの中で、生涯にわたって働ける仕事を思い描いていた。
人工知能(AI)の時代を迎え、若者たちは確かな見通しを得ることが難しい世界に直面している。AI、機械学習、デジタルツインなどの先端技術が、若者の暮らしのあらゆる側面を変えつつある。そこには、親世代が経験したものとはまったく異なるかもしれない仕事の世界に向けて若者を準備させる教育制度も含まれる。
ポスト真実時代の教育
教育関係者が直面する差し迫った課題の一つは、子どもたちが頻繁に利用するデジタルプラットフォームにあふれる偽情報や誤情報と、客観的な事実を見分けられるよう支援することだ。世界経済フォーラムの2024年版グローバルリスク報告書は、今後2年間に世界が直面する最も深刻なリスクとして、誤情報と偽情報を挙げている。
若者が「フェイクニュース」やその他の操作された情報を見抜くスキルを身につけることは、教育やその先で高い成果を上げるために不可欠となる。米国では、カリフォルニア州がすべての学校でデジタルメディアリテラシーの授業を導入している。支援団体Media Literacy Nowの創設者兼CEO、エリン・マクニール氏は、英国紙ガーディアンにこう語った。「今の教育で、これ以上に重要なことは思いつきません」
若者に対するAIとデジタル技術の影響は、先ごろ開催された世界経済フォーラム年次総会(スイス・ダボス)の議題となった。「教育とAIの出会い」と題したセッションで、パネリストはAI時代に教育関係者が直面する二つの重要な課題を挙げた。
第一に、スロベニアのデジタル変革担当大臣、エミリヤ・ストイメノヴァ・ドゥ氏はパネルでこう語った。「優れた教師はいますが、AIの仕組みを理解していません……まず取り組むべきなのは、教師、メンター、コーチを育成し、後に知識を伝えられるようにすることです」
第二の課題は、学生が教育課程でAIツールを使うようになる中、デジタル規律をしっかりと身につけさせることに焦点を当てた。教育分野の非営利団体Code.orgの創設者兼CEO、ハディ・パルトヴィ氏はこう語った。「若者は教育を学校制度だけのものとは考えていません。学校に通う一方で、YouTubeでも学び、学校からすべきこと、すべきでないことを告げられても、その境界を押し広げます。学校からChatGPTを使ってはいけないと言われたら、おそらく真っ先に使いに行くでしょう。重要なのは、学校制度がこの現実を認識し、後れを取るのではなく、テクノロジーを積極的に取り入れる先導役となることです。子どもたちは、学校制度の有無にかかわらず、そのテクノロジーを手にするのですから」
教室の外に広がるテクノロジーの影響
上の発言が示すように、若者は学校よりも自宅でデジタル技術に多くの時間を費やしている。
スクリーンの見過ぎやソーシャルメディアの利用がもたらす負の影響の可能性は、よく知られている。米国国立衛生研究所が2023年6月に発表した研究は、次のように指摘している。「スクリーンの過度な使用は、社会性や情緒の発達に悪影響を及ぼす。肥満、睡眠障害、うつや不安を含む精神的健康状態の問題が生じる可能性も高まる。感情を読み取る能力を妨げ、攻撃的な行動を助長し、全般的な心理的健康を損なうことがある」
ダボスで行われた「若者の脳とスクリーン」と題したセッションでは、親、規制当局、大手テクノロジー企業が、若者のより健全なデジタル生活をどのように支援できるかが話し合われた。
ミュージシャンでユニセフ親善大使のアンジェリーク・キジョー氏は、パネルでこう語った。「規制が必要です。あらゆるプラットフォームが……法律の適用を免れるとは言えません。まずはそこから始める必要があります。そして、子どもの手に携帯電話を持たせることの危険性を、親が理解できるよう支援する必要もあります」




