第二言語は若いうちに学び始めるほうがよいとよく考えられています。しかし、研究によれば、必ずしもそうとは限りません。実際、第二言語を学び始めるのに最適な年齢は、その言語をどのように学ぶかによって大きく異なります。
幼い子どものほうが言語学習に優れているという考えは、子どもがごく幼いうちに、驚くほどの能力で母語を話せるようになるという観察に基づいています。
2桁の小さな数を足したり、自分で靴ひもを結んだりできるようになる前に、ほとんどの子どもは母語を流暢に話せるようになります。その流暢さは、大人の言語学習者がうらやむほどです。
若ければ常に有利とは限らない理由
1960年代に提唱された2つの理論は、今なおこの現象の説明に大きな影響を与えています。
「普遍文法」理論は、子どもは人類に共通する言語規則を本能的に知った状態で生まれてくると提唱します。英語やアラビア語など特定の言語に触れると、子どもはその規則に沿って詳細を補うだけでよく、そのため言語習得は速く、効果的に進みます。
もう一つの理論は、臨界期仮説として知られ、思春期を迎える頃に、子ども時代に私たちが効率よく言語を学べた仕組みを利用できなくなるとしています。これらの理論には異論が唱えられてきましたが、それでもなお影響力を保っています。
しかし、これらの理論が示唆することとは裏腹に、言語学習の成果に関する研究は、若ければ常に有利とは限らないことを示しています。
言語を学び、教える状況によっては、年長の学習者のほうが幼い子どもより成果を上げることがあります。すべては、その言語をどのように学ぶかによります。
幼い子どもには言語に浸る環境が最適
第二言語が使われる環境で、日常的に生活し、学び、遊ぶことは、幼い子どもにとって理想的な学習環境です。研究では明確に示されています。幼い子どもは、それぞれの言語に十分触れる機会があれば、複数の言語を同時に流暢に話せるようになります。豊かな言語インプットに触れられるこの環境では、できるだけ幼いうちに学び始めるのが望ましいといえます。
中学校に上がる前後の子どもには教室での学習が最適
学校の語学授業で学ぶのは、まったく異なる状況です。一般的な授業形態では、週に1回以上、1時間程度のレッスンを受けます。
豊かな言語インプットにほとんど触れずに学習を成功させるには、メタ認知スキルが必要ですが、こうしたスキルは通常、思春期初期になるまで身につきません。
この学習スタイルでは、メタ認知スキルの発達と、卒業までに確保できる連続した学習年数のバランスを最大限に考慮すると、小学校高学年から始めるのが理想的です。
大人には自学自習が最適
もちろん、自分で第二言語を学び始める大人もいます。学習書を買ったり、オンライン講座に申し込んだり、アプリを購入したり、対面またはオンラインの会話クラスに参加したりすることがあります。
このような環境で学習を成功させるには、通常は成人になるまで身につかないさまざまなスキルが必要です。その一つが、自ら意欲を保つ能力です。そのため、自分で進める第二言語学習は、年少の学習者よりも大人のほうが効果を上げやすいといえます。
教育にどう生かせるか
子どもに第二言語を教え始める時期について、これは何を示しているのでしょうか。言語能力の発達という観点では、答えはかなり明確です。
豊かな言語使用に触れる機会を多く提供できるなら、幼児期に始めるほうがよいでしょう。第二言語を学ぶ機会が従来型の語学授業に限られるなら、小学校高学年から始めても幼児期と同じくらい効果が期待できます。
一方、言語学習を自分で進める必要がある場合は、学習者が成人してからのほうが成功しやすいでしょう。

