企業が人材を貸借対照表と同じくらい重要視すべき理由

An employee arranges bobbins at a textile plant in Haian county, Jiangsu province, China November 28, 2017. China Daily via REUTERS ATTENTION EDITORS - THIS IMAGE WAS PROVIDED BY A THIRD PARTY. CHINA OUT. TPX IMAGES OF THE DAY - RC1D8928ACA0
A majority of retired CEOs wish they'd put more thought into human capital, a recent survey foundImage: Reuters
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私たちは、疑問は多くても明確な答えはほとんどない世界に生きています。不確実性が新たな常態となり、明日がどうなるかを見極めながら、重要な決断を下すことが求められています。

たとえば、仕事と人材の未来、そして自動化や技術の進歩、人工知能がそれに及ぼす影響を考えてみましょう。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートによる最近の報告書によると、あらゆる職業の約60%で、業務の少なくとも30%が技術的には自動化可能です。つまり、今後10年で大半の仕事が根本的に変わるということです。私たちは単に仕事をこなすのではなく、役割を担う必要があります。

Image: マッキンゼー・グローバル・インスティテュート

何が起こるかを正確に予測するのは非常に困難ですが、未来には人的資本への要求がさらに高まり、効果的な採用や人材管理の実践を通じて、従業員の潜在能力を引き出す組織の力も、いっそう問われると私は考えています。

多くの組織が財務資本に充てる時間や経営陣の注力は、人的資本に投じる時間や労力を大きく上回っています。しかし、PwCPwC、フォーチュン500、KPMGの年次CEO調査が示すように、人材は世界中の経営者が直面する最大の課題の一つとして、調査のたびに挙げられています。最大の後悔を尋ねると、退任したCEOの大多数が、人材に関する問題で、より迅速かつ大胆な決断を下せなかったことを挙げます。この状況は変えなければなりません。

Image: PwC

同時に、ほとんどの人事部門は、今日の組織を支える準備すら十分でなく、まして明日の組織に関わるあらゆる人材課題には対応できません。人事部門は、予測可能な環境、確立された働き方、そして競争もグローバル化も今ほど進んでいない人材市場を前提に設計されました。課題は誰もが認識していますが、人材という難題を乗り越え、「人材第一」の企業を自負できる組織はごくわずかです。

もちろん、言うは易く行うは難しです。最良の人材の採用を例に考えてみましょう。アーネスト・オボイルとハーマン・アギニスによる2012年の報告書によると、労働者の上位1%は平均的な労働者の10倍の生産性を発揮します。この報告書は、学界やビジネスからスポーツまで、さまざまな分野における人間のパフォーマンスを分析しています。

人材分析と、各社のリーダーシップモデルに基づく充実した360度フィードバックを通じて従業員の上位5%を見極めることは、困難でありながら極めて重要な取り組みです。その人たちが誰かを把握しているとして、組織に最大の価値をもたらす機会にそうした「スター」を配置することは、重要であるだけでなく、競争優位を最も長く支える源泉となることも少なくありません。

それでも、これまで人材管理の大半は、科学というより芸術に近いものでした。

私が、間もなく刊行されると知って期待を寄せた理由の一つは、『Talent Wins』が、マッキンゼーのグローバル・マネージング・パートナーであるドミニク・バートン、世界的に著名な経営アドバイザーで作家・講演者のラム・チャラン、そしてコーン・フェリーの副会長デニス・キャリーによる書籍だからです。CEOが参考にできる実践ガイドとして、優秀な人材の採用、育成、定着のあり方を変える現場の実践例を紹介しています。ブラックストーンによる人材と価値創出の結びつけ方、ジョンソン・エンド・ジョンソンによる人事プロセスの自動化、ハイアールによる意思決定の迅速化に向けた事業運営モデル全体の再設計など、さまざまな企業から得られた知見も取り上げています。

この本は、課題の多くが適応を要するものとなり、比較的安定した業界の組織でさえ大きな変化と流動性に直面する未来に向けて、人的資本の実践を前進させる必要があるという私の固い信念を強めてくれます。

マジッド・アル・フタイムのCEOに就任して最初に下した決断の一つは、人材に関する取り組みを優先することでした。その第一歩として、人事部門の名称と考え方を「人的資本」へと改めました。小さな変更でしたが、「人材」を財務資本と同等に位置づけ、私の優先事項を示すものです。

事業を将来に備えさせるうえで最大の課題は、「学び方を学ぶ」ことです。仕事固有の要件に左右されるのではなく、自らの適応能力を上回る速さで変化する世界で、生産性と関連性を保つという必要性に基づいて学ぶことです。

どうすればよいのでしょうか。チームメンバーに機敏な考え方を根づかせ、学び、適応し、自らを再創造する意欲を育むのです。そうすることで、組織が長期的に単に生き残るだけでなく、繁栄する可能性を高められます。今ほど、ダーウィンの「生き残るのは最も強い種でも、最も賢い種でもなく、変化に最もよく適応する種である」という説が当てはまる時代はありません。

技術と知識の普及に加え、グローバル化の進展によって、かつてないほど変化の速い事業環境が生まれました。人的資本の実践は、明日の世界で勝ち抜くために求められる水準にまったく追いついておらず、変革が必要な時を迎えています。

組織が繁栄を続け、未来を形づくる資格を得るには、最も重要な資産である人材の潜在能力を最大限に解き放つしかありません。要するに、すべての企業は、適切な人材を確保し、変化を受け入れ、明日に向けて絶えず自らを再創造することに全力を注がなければなりません。

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