経済危機はギリシャの高等教育にどう影響しているか

経済危機はギリシャの高等教育にどう影響しているか
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ギリシャの金融危機は、1929年以降、先進国で最も深刻なものの一つとなっている。教育への影響は現実的で厳しいものである。ギリシャにおける教育への公的支出は40%削減され、2009年以降、100校以上の学校に加え、 一部の大学も閉鎖されている。

国の将来をめぐる全体的な不確実性は、経済のあらゆる分野だけでなく、若いギリシャ人の教育上の判断にも壊滅的な影響を及ぼしている。私の 研究で明らかになったのは 、予算の制約が厳しくなる中で、大学生が何を専攻するかについての考えを変えている、ということである。

雇用機会に恵まれた職業に結びつく大学専攻、例えば医療や法律の専攻は増加しており、軍や警察の士官学校のように早期に収入を得られる課程の人気も高まっている。一方で、工学やコンピュータ科学のように学術的に難易度の高い課程は減少している。

若いギリシャ人の選択

ギリシャでは無償教育が憲法上の権利であり、すべての高等教育機関は公立である。学生は学費を支払ったり、学資ローンを利用したりする必要はない。大学入学の唯一の基準は、全ギリシャ大学入学試験(Panhellenic National Examinations)と呼ばれる一連の試験での成績である。大学に入学すると、ギリシャの学生が専攻の学位を取得するまでには4年かかる。

同僚のソフォクリス・ゴウラス(Sofoklis Goulas)と共著した最近の論文では、ギリシャ教育省が提供した未公開データを用いて、金融の混乱が特定の大学専攻への需要をどのように再編したかを検証した。ギリシャの学生は大学に出願する際、入学を希望する学科を順位付けしたリストを提出する。2003年から2011年までのデータを用いた本研究では、17歳および18歳の高校生が希望する専攻の選択が、金融危機の初期においてどのように変化したかを調べた。

良好な雇用見通しを求めて

本研究では、学生が雇用見通しの悪い大学専攻から離れ、より不安定性の低い雇用への道筋をもたらす専攻を選好していることが分かった。医学、心理学、軍事、薬学、数学、統計学、人文学、法学の学科は、良好な雇用見通しが期待されたため、2009~2011年の危機初期に非常に人気の高い専攻となった。

2003~2008年と2009~11年の間に、人文学を専攻する学生は21%増加し、心理学を選ぶ学生は45%増加した。危機以前のギリシャには、需要が低かったため心理学者がごくわずかしかいなかった。しかし、2009年以降、経済的問題を抱える人々の増加により精神的健康問題が生じ、心理療法への需要、ひいては心理学者への需要が高まった。歴史的にギリシャは世界で最も自殺率の低い国の一つであったが、 平均自殺率は35%上昇し 、その上昇は2010年から2012年の間に起きた。

2009年から2011年の間に、軍および警察関連の専攻を最も希望する学生が35%増加した。軍隊に入隊する者は入隊契約に署名し、卒業後の勤務を義務付けられるとともに、直ちに月額の手当を受け取る。

しかし、経営・マネジメント、教育、語学、歴史といった分野は危機の間に人気が低下した。例えば、2009年から2011年の間に、経営関連の専攻を希望する学生の人気は26%減少したが、これはこれらの学位から得られる期待収入が低下していることを踏まえると理解できる。

2009年以降、公共部門と民間部門の双方におけるアナリストやコンサルタントなどの経営関連の職種は、給与の大幅な削減と高い失業率により、最も深刻な打撃を受けてきた。唯一の例外は観光経営およびホスピタリティ分野の学位であり、2009年から2011年の間に10%増加した。これは観光産業が 拡大を続けているためである。

難易度の高い学位からの離脱

また、工学やコンピュータ科学など、学術的により厳格な大学専攻から学生が離れていることを示す証拠も得られた。これは、景気後退期には学術的な投資収益率が低下するという事実によって説明できる。すなわち、分野による卒業生の賃金格差が小さくなるため、学生は非常に難易度の高い専攻で消耗するよりも、難易度の低い学位へと転向するのである。

景気後退期に学生がどのような専攻を選びやすいかを把握することは、大学への資源配分を行う政策立案者にとって有益となりうる。高等教育は金融危機に対する最良の防御策となりうる。2013年12月の 報告書で、OECDは、OECD加盟国における高学歴の成人の失業率は2008年から2011年にかけてわずか1.5%しか上昇しなかったのに対し、教育水準の低い人々では4%近く上昇したと主張した。その結果、世界中で高等教育への就学率および卒業率を高める取り組みが新たに進められている。

ギリシャでは、 2015年5月には、15~24歳の51.8%が失業していた。したがって、国の需要と学生の高等教育への需要の双方を理解することが不可欠である。若いギリシャ人が何を専攻するか、そして国内で学ぶか海外で学ぶかという決定は、今後数十年の労働供給と経済構造を左右することになる。

本記事は The Conversationと協力して掲載されたものである。掲載は、世界経済フォーラムによる見解の支持を意味するものではない。

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著者:Rigissa Megalokonomouは、ウォーリック大学(University of Warwick)経済学専攻の博士課程候補者である。

画像:夕暮れ時のアテネで、アテネ大学の上にはためくギリシャ国旗。REUTERS/Alkis Konstantinidis.

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