大学進学は米国の人種間の資産格差を解消しない

Graduating students arrive for Commencement Exercises at Boston College in Boston, Massachusetts, U.S. on May 20, 2013. REUTERS/Brian Snyder/File Photo
On average, black families in the US have just five to 10 percent as much wealth as white families do.Image: REUTERS/Brian Snyder
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新たな研究によると、教育は人種間の資産格差を解消する万能薬ではない。

米国では、黒人世帯の資産は平均して白人世帯のわずか5~10%にすぎない。2015年のある研究によれば、大学を卒業した人が世帯主の黒人世帯の資産は、高校を中退した人が世帯主の白人世帯よりおよそ3分の1少なかった。それでも何十年もの間、多くの人々は、教育には人々を貧困から救い、所得を増やし、資産を築き、人種間の資産格差を縮小する力があると強く主張してきた。

大学の学位取得はアメリカン・ドリームの基本的な礎と見なされている。勤勉さと能力によって幅広い経済的流動性が生まれ、最終的にはこうした格差が是正されるという考えだ。しかし、教育の効果は、米国の深刻な人種間の資産格差を解消するほど大きいのだろうか。

成功を目指すための代償

2017年に発表された研究で、セントルイス連邦準備銀行レビュー研究者らはこの問題をさらに掘り下げ、大学の学位は時間の経過とともに白人卒業者の資産形成に寄与する一方、黒人卒業者にはそうではないと結論づけた。

Image: セントルイス連邦準備銀行レビュー

「一般の人々の間でも、学術界でも、教育を受ければ、この大きな人種間の資産格差を縮められる可能性が高まるという理解がありました。それが私たちの仮説でした。ところが、もちろん結果は正反対でした」と、研究の著者でブランダイス大学ヘラー・スクールの資産・社会政策研究所(IASP)副所長、タチアナ・メシュデ氏は述べる。

「教育を受ければ、より多くの資産を得られる可能性が高まるのは確かです。しかし、教育によって人種間の格差がなくなるわけではありません」と、共著者で博士課程の学生、リサーチ・アソシエイトのジョアンナ・テイラー氏は付け加える。

研究者らは、世帯主またはその配偶者、あるいは両方が大学の学位を持つ、大学教育を受けた世帯の調査データを分析した。1989年から2013年まで同じ人々を追跡した調査を使い、全米の黒人世帯と白人世帯の資産状況を調べた。1989年には、大学教育を受けた白人世帯の資産は、同じく大学教育を受けた黒人世帯のおよそ5倍だった。2013年までに、その資産格差の比率は3倍に拡大していた。

「アフリカ系米国人の世帯には、白人世帯にはない大学教育の費用負担があることが分かりました」とテイラー氏は言う。「黒人学生は白人学生よりも学生ローンを利用する可能性が高く、借入額も大きくなりがちです。」

その一因は家族の資産にある。白人の親は、子どもの大学の学費の一部または全額を払えるだけの資産を持つ可能性が高く、その分、子どもは学生ローンの負担を免れる。

家計を圧迫する負担

メシュデ氏とテイラー氏は、世代を超えたその他の金銭的な移転も、成人後の資産形成と維持に重要な役割を果たすことを確認した。大学教育を受けた白人世帯は、子どもにお金を渡す可能性が高く(たとえば大学の学費を払ったり、住宅の頭金に充てたりするため)、より多額を渡す余裕もあることが分かった。

一方、大学教育を受けた黒人世帯の世帯主は、子どもに加えて親を経済的に支える可能性が高い。「この国で差別が続いてきた歴史のため、黒人世帯の世帯主の親は、たとえば社会保障を受けられないことがあります」とメシュデ氏は述べる。

「白人世帯では、家族のつながりの中に経済的支援を必要とする人がいる可能性が低く、また、そのネットワークで支援できるのが自分だけという可能性も低いのです」とテイラー氏は言う。「だからといって、現在の白人世帯が非常に裕福だというわけではありません。中流階級はあらゆる方面から圧迫されており、それは白人世帯にも黒人世帯にも当てはまります。」

しかし、その圧迫が金額で何を意味するかは異なる。そして全体を集計すると、人種間の資産格差は大きく広がる。

世代から世代へ

新たに更新された研究で、研究者らは、同じ大学教育を受けた白人世帯と黒人世帯について、家族からの相続が及ぼす影響に焦点を当てた。

2017年の元の研究を更新する2018年版は、『アメリカン・ジャーナル・オブ・エコノミクス・アンド・ソシオロジー』に掲載される予定だ。

相続に関する新たな知見を分析に加えると、最初の研究で気づいたパターンがさらに明確になった。資産は白人世帯の間では次世代へと受け継がれる一方、黒人世帯の間では分散していく。

「大学教育を受けた黒人世帯では、1万ドルを超える遺産を受け取るのは約13%です。大学教育を受けた白人世帯では約41%です。また、そうした白人世帯の約16%はそのような遺産を複数回受け取るのに対し、黒人世帯では2%です」とテイラー氏は述べる。

平均額にも大きな差がある。白人世帯の相続額は15万ドルを超える一方、黒人世帯では4万ドル未満だ。

このことが意味するのは、「黒人世帯は、大学教育を受けた世帯でさえ、『人生を変える資産』を得ることがほとんどないということです。学生ローンを返済したり、家を買ったり、子どもをより良い学校に通わせるために、より良い地域へ引っ越したりできるまとまった資金のことです。白人世帯では、そうしたことがはるかによくあります」と彼女は説明する。

白人世帯で世代を超えて受け継がれるこの資産は、実際に積み上がっていく。

「資産というものは、いったん持つと簡単には離れないものです」とメシュデ氏は言う。「いったん持てば、家族のもとにしっかりと残ります。その後の人生をはるかに有利な軌道に乗せてくれます。そして、この国の資産の分配のされ方では、世代ごとにそれが再生産されます。資産について考えるとき、私たちは個人としての自分の立ち位置に目を向けがちですが、実際には家族や人脈の中で起きていることと強く結びついています。」

「教育を万人に平等な機会をもたらすものと考えていますが、明らかにそうではありません」とメシュデ氏は続ける。「問題はそれよりはるかに複雑です。人種間の資産格差の縮小に向けて黒人コミュニティを支えるには、もっと多くのことが必要です。」

では、教育によらずに人種間の資産格差を解消するにはどうすればよいのか。研究の著者らも、簡単な答えはないと認めている。

家族の資産に応じて額を決める「ベビーボンド」のような、子ども向けの初期資産を提案する研究者もいれば、税制の変更や、ペル奨学金に似た、必要性に基づく若年成人向けの生活給付金の創設を提案する人もいる。資産の再分配という問題は難しい。

「人種間の資産格差を縮小するには、実際に資産を再分配する抜本的な解決策が必要でしょう」とテイラー氏は言う。「資産には勢いがあり、少しでも持っていれば、重要な一歩を踏み出せる可能性が高まります。」

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