COVID-19により、ラテンアメリカ・カリブ海地域全体でデジタルアクセスを高める必要性が浮き彫りになりました。
高コストや、カバレッジの不十分さと地域差といった課題は依然として残っています。
ここでは、二人の専門家が重点を置くべき4つの主要分野を検証します。
COVID-19危機は、ラテンアメリカ・カリブ海(LAC)地域に 世界のどの地域よりも深刻な打撃を与え、回復力と包摂性のある復興の必要性を鮮明に浮き彫りにしました。遠隔教育、デジタル現金給付、遠隔医療、オンライン行政サービスを支えるデジタルアクセスの拡大は、この取り組みの要であり、野心的な政策・規制の枠組みと、インフラ投資の拡大の両方を必要としています。この点は、同地域が5Gの周波数オークションに向けて準備を進め、4Gの拡大を続ける中で、とりわけ重要です。
デジタルアクセスの必要性は明らかです。デジタル化は、社会的・金融的包摂や、学習および健康面の成果を高めます。成人人口の約半数が、現在銀行口座を持っていません。また、同地域では約1億7,000万人の学生が、パンデミック中の学校閉鎖の影響を受けました。さらに、71%の国々では、COVID危機の初期数か月間に非感染性疾患の治療提供に支障が生じました。
しかし、カバレッジの不十分さと地域差に加え、データおよび端末の高コストが、デジタルアクセスの妨げとなり続けており、課題は深刻です。
現在、50%未満のLAC地域の人口が固定ブロードバンド接続を利用しており、自宅で高品質な光ファイバー接続を利用できるのはわずか9.9%です。人口の87%は4Gの電波が届く範囲に住んでいるものの、実際の利用率と普及率は低いままです(37%)。また、農村部のラテンアメリカ住民で接続手段を利用できるのは10人中4人にとどまり、都市部の人口では71%です。
データプランやインターネット対応端末は、同地域の貧困層にとって手頃な価格ではありません。LAC地域では、1GBのデータプランの平均費用が月間世帯所得の2.7%に相当し(一部の国の最貧困層では8〜10%)、国際電気通信連合(ITU)の「2%の手頃さの基準」を大きく上回っています。さらに、同地域の大部分では、最も安価な基本的なスマートフォンの価格が平均世帯所得の2%の手頃さの基準を大きく上回っています。さらに、同地域の大部分では、最も安価な基本的なスマートフォンの価格が平均世帯所得の4〜12%に相当し、グアテマラとニカラグアの人々では最大31〜34%、ハイチの人々では84%にも達します。
こうしたコストの負担が脆弱な層に不均衡にのしかかるため、デジタルアクセスの不均等は、すでに世界で最も不平等な地域における新たな形態の不平等を生み出しかねません。
デジタル・デバイドへの取り組み
デジタル・デバイドへの取り組みは急務であり、特に以下の4つの分野において、コストを削減し、アクセスを拡大し、民間セクターおよび市民の参加をより一層促すための政策的措置が求められます。
第一に、LAC地域の政府は、サービス提供ならびに法制度・規制改革を通じて包摂を追求すべきです。これには、すべての市民を対象とした基盤的デジタルID制度を導入し、公的および民間のプラットフォームへの安全で信頼できるアクセスを可能にすることが含まれる場合があります。また、ネットワーク事業者間でのインフラ共有や、政府、公益事業者などが保有する「ダークファイバー」へのアクセスを促進すること、オープンアクセス、技術中立性、より高いセキュリティオプションを促進することにより、集中度の高いモバイル事業者市場における競争を強化し、イノベーションと投資を刺激すること、サービスが行き届いていない地域のネットワーク整備義務を4Gおよび5Gの周波数免許に付帯させること、さらに行政および承認手続きを合理化することも含まれます。平均して、明確で予測可能な規制を備えたLAC諸国は、ICT分野への投資を約50%多く呼び込んでいます(良好な制度と組み合わさった場合は64%多く)。
第二に、政策立案者は、デジタル利用者と事業者の双方に対し、適切な場合には直接的または間接的な財政的インセンティブを検討すべきです。需要側では、最貧困層のインターネット料金に補助金を出すこと、低価格のインターネット対応端末にかかる税金や関税を引き下げることが、貧困層を排除する価格の引き下げにつながります。供給側では、政府は最低補助金の譲許や一時的な投資税制優遇措置を用いて、ネットワーク事業者にサービスが行き届いていない地域へのサービス拡大を促すことができます。同様の取り組みは、民間企業や投資家がローカルデータセンターなど、その他のデジタルインフラを拡充することを後押しすることにもつながります。LAC地域には現在、世界のデータセンターの約4%しかなく、同地域の総データセンター容量は、北バージニア州に設置された容量よりも小さいと推定されています。
第三に、デジタルアクセスを拡大するための野心的な計画には、公的および民間の両方の投資が必要ですが、費用負担は比較的小さいものです。今後10年間で、LAC地域においてブロードバンドアクセスの普遍化に要する費用は、同地域の年間GDPの0.12%と推定されます。また、第1・第2階層の大都市圏での5G導入には0.17%、OECD諸国並みの接続性を実現するには0.62%と見積もられています。公共インフラへの投資が不足している同地域において、デジタルインフラの格差は、交通、エネルギーその他のインフラ分野の格差よりも解消のコストが低く済みます。
第四に、デジタルの拡大は、接続性だけに特化した取り組みにとどめるべきではありません。デジタルスキル研修などの補完的な施策を加速させる必要があります。技術が豊富な環境において、コンピューターおよび問題解決能力が中程度以上にある成人は、ほとんどのLAC諸国で5〜15%にすぎません(OECD諸国では29.7%)。デジタル能力の強化は、学生や労働者、さらに、デジタルインフラおよび関連分野(データプライバシー、サイバーセキュリティ、デジタル課税など)の専門知識を求める政策立案者や規制当局にとっても有益です。
デジタル変革はLAC地域に大きな可能性をもたらしますが、その多くの恩恵を引き出すには、総力を挙げた取り組みが必要です。多国間機関も支援できます。
例えば世界銀行は、ハイチにおいて約1,300の公的機関へのブロードバンド接続の提供を支援しており、コロンビア政府に対しては、ブロードバンドアクセスの拡大に向けた政策および規制の改善を支援しています。支援しています。
当面、LAC諸国の多くはパンデミックへの対応に引き続き注力することになりますが、今こそ、より環境に配慮した、回復力と包摂性の高い未来の実現を可能にするデジタルの機会を掴むべき時です。


