気候変動対策を前進させる戦略と、企業の専門家30人へのインタビューから得たその他の知見

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  • 企業で気候変動対策に携わる専門家30人へのインタビューを通じて、取り組みの進展を妨げるものと、彼らが障壁をどう乗り越えているかを明らかにします。

  • 取り組みの影響に指標を結び付けることが、効果的な気候変動対策の戦略であることが分かりました。

  • 気候変動対策と事業の課題を結び付ければ、大規模な変革を実現できます。

次回のClimate Week NYC 2022を前に、Oliver Wymanと国際的な非営利団体Climate Groupは、世界各地の幅広い業種の大企業で気候変動への移行を先導する実務家30人にインタビューを行いました。インタビュー対象者は、それぞれの組織全体で気候変動への移行を推進する責任を担っています。並行して、気候変動への移行に取り組む100社を超える企業の実務家を対象に、定量調査も実施しました。これらの調査を通じて、気候変動対策の進展がどう受け止められているのか、さらなる前進を妨げているものは何か、そしてその障壁をどう取り除けるのかを明らかにしようとしました。私たちが耳にした話は、高揚感からもどかしさまでさまざまでしたが、そこには明確な傾向がありました。

手応えを感じている場合、気候変動対策の専門家とその企業は、気候変動への移行において自社が果たしたい役割について、明確な戦略を持っています。Scope 3を測定上の課題ではなく、自社を超えた大きな影響をもたらす機会と捉えています。もちろん指標や目標はありますが、それらは戦略を推進する手段であり、それ自体が目的ではありません。排出量だけでなく、戦略目標に向けた進捗を測定しているのです。

一方、もどかしさを感じる話では、移行に取り組むより報告業務に追われてしまうことがよくあります。理論上、指標は変革を促すはずです。しかし実際には、合意された戦略がなければ、必要な変革は根本的すぎて、こうしたインセンティブの仕組みが機能しないことがあります。その結果、組織の焦点は短期的で漸進的な取り組みに移り、必要な成果を上げられなくなります。

移行計画の策定

移行においてどのように貢献するかを起点に据え、排出量の結果を起点としないことが、必要な大きな転換を導き、適切な行動を促すうえで欠かせません。これは企業の事業課題と変わりません。部門ごとに財務目標や予算を設定すれば漸進的な成長は実現できますが、事業変革にはより戦略的な方向付けが必要です。気候変動対策では、漸進的な経営管理ツールで抜本的な成果を上げられると期待してしまうことがあります。しかし世界各地の専門家100人以上を対象とした調査では、40%が気候変動への移行は自社の事業に変革をもたらすと考えていると回答しました。

従来は、望ましい成果に対する業績指標を設定し、それを達成するための行動は事業側に委ねることがあるでしょう。気候変動対策では、それが意図しない逆効果を招くインセンティブにつながりかねません。たとえば、インタビューしたあるテクノロジー企業では、プログラムの成功によって自社の直接排出量の合計が増加したため、現在、経営幹部の報酬制度に含まれる気候変動対策のインセンティブを支給していません。顧客による排出をより多く回避できた結果であり、世界にとって有益であるものの、制度上は測定されていないためです。

これは、標準化されたScope 3排出量の測定には、製品の使用に伴う顧客の排出量が含まれる一方、たとえばビデオ通話のために自宅で使う電力などは対象となっても、ビデオ通話によって自動車での移動を避けた場合の排出削減量は含まれないためです。別の企業は目標達成に苦戦しており、そのプレッシャーから、最も大きな効果が期待できると今では考えている取り組みへの投資より、数値目標を満たすための短期的な優先事項に追われています。

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指標を気候変動対策の行動に結び付ける

IKEA最大の小売事業者であるIngkaは、異なる考え方で取り組む企業の一つです。専任の「気候測定開発チーム」を設け、予測されるフットプリントだけに注目するのではなく、「行動の影響」に指標を結び付けています。ここから得られる知見は、意味のある目標を設定できるほどの確度で、Scope 3排出量(およびScope 4と呼ばれることもある、排出回避に対するより間接的な影響)を事前に測定するのは難しい場合が多いということです。しかし、どの行動を促したいかは分かっており、学びが増えるにつれて、適切で詳細な排出量指標を設定できます。

同様の理由から、再生可能エネルギー事業者のØrstedは、インセンティブが戦略的な方向性を補強するものとなり、代わりとなるものではないよう、事業の目指す姿を形作る文化的転換を実現してから、気候変動対策に関する経営インセンティブを導入しました。

多くの組織が今、移行を進めているからこそ、この緊張関係を解消すべき時です。気候変動対策を専門のサステナビリティチームだけの責任とするのではなく、組織全体に「通常業務」の一部として組み込む動きが広がっています。この賢明な取り組みは、気候変動対策と事業の課題を結び付け、私たちが話を聞いた企業に共通するテーマでもあり、大規模な変革を実現します。同時に、組織に組み込むものが、単なる技術官僚的なコンプライアンスの文化ではなく、変革を実現する強力で明確な推進力となるようにすることが急務です。そうした推進力は課題の規模に見合うだけでなく、事業に活力をもたらします。際限のない削減と締め付けを語るより、事業の前向きで人々を鼓舞するビジョンのほうが、組織全体の人々の意欲を高めます。

気候変動対策に戦略を組み込む

戦略の重要性は明白に思えるかもしれません。しかし多くの組織では、気候変動対策は投資家からの圧力への対応として始まりました。調査では、最も強い圧力の源は投資家だと39%が回答しました。事業顧客は24%、従業員は14%、消費者は9%、政策立案者は8%でした。こうした圧力は、特に組織として対応する場合、移行に取り組む戦略よりも、排出量の指標や情報開示を重視する傾向につながることがありました。

2020年代は「実行の10年」とされ、1.5˚C目標の達成に向けた軌道を保つには、世界の排出量を半減させる必要があります。「実行の10年」を「情報開示の10年」にしてしまう余裕はありません。

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