なぜ、そしてどのように企業リーダーは意思決定に大気質を取り入れるべきなのか

Leading companies are integrating air quality into operations.
Leading companies are integrating air quality into operations.Image: Unsplash/Wonderlane
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  • 健康と経済に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、大気質は企業戦略で十分に取り上げられていない。

  • 先進企業は排出量の追跡、汚染削減に向けた協働、製品ラインの革新を通じて、大気質を事業運営に組み込んでいる。

  • 大気質を戦略に組み込む企業は、人材の獲得、投資家の信頼、規制への備え、そしてサステナビリティを主導する立場の確立において利益を得られる。

アウトドアウェアブランド、パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードが、同社は「私たちの故郷である地球を救うために事業を営む」と宣言したことは、気候変動の時代に企業のリーダーシップを再定義できることを示す転機となった。

この大胆な方針を実行したことで、パタゴニアはTIMEのリストに選ばれ、世界で最も影響力のある企業の一つとなった。また、目的を重視する企業活動の新たな基準を打ち立てた。

今日、先見性のあるリーダーたちは、科学、データ、インパクトを自社の戦略と個人の戦略に積極的に取り入れている。この姿勢は、持続可能な成長、人々のウェルビーイング、レジリエントな経済の実現を目指す国連の継続的な2030アジェンダに完全に合致している。

しかし、大気質は極めて重要な役割を果たしているにもかかわらず、認識されていない。粒子状物質、二酸化窒素、オゾンなどの有害物質が大気中に存在すると、人の健康、生態系、資材に損害をもたらす。

大気汚染は環境と公衆衛生に関わる緊急課題だ。年間800万人を超える早期死亡の一因となり、世界の国内総生産の推定5%に相当する損失をもたらしているにもかかわらず、企業の経営会議ではほとんど見過ごされている。

世界人口の99%が安全でない空気を吸っている今、大気質を炭素や気候と並ぶ企業の意思決定課題として正当に位置づけるべき時だ。それは、21世紀のリーダーシップにふさわしい、戦略的で倫理的、かつ商業的にも賢明な考え方を反映する。

見過ごされる大気質

実際、健康と経済に甚大な影響を及ぼすにもかかわらず、大気質の悪化は、企業戦略において相応の注目を集めてこなかった。生産性を低下させ、欠勤を増やし、病欠日数を押し上げる。

歴史的に、大気質は戦略的な機会ではなく、規制上の障害や計画上の厄介事と見なされてきた。

たとえば、自動車、海運、重工業では、大気汚染対策は規制遵守のために義務づけられているものの、戦略上不可欠な取り組みではなく、コスト負担として扱われることが多い。

建築環境では、大気質評価が環境影響評価における形式的なチェック項目として扱われることが多く、曝露を減らしたり、近隣で暮らし働く住民や従業員の健康を改善したりする実際の設計・運営上の判断が見過ごされる場合もある。

「スポーツ」の分野でさえ、栄養や睡眠のデータはトップレベルのパフォーマンスに欠かせないものとなっている。それでも、肺機能と持久力に直接影響する汚染された空気は、依然として評価指標から外されている。

企業のリーダーシップ

それでも、進展を示す心強い兆しがある。クリーンエア連合、大気汚染フットプリント・パートナーシップ、より強い行動を求める投資家、そして企業サステナビリティ報告指令などの枠組みの進展を受け、大気汚染による排出量を炭素排出量と併せて追跡・報告し始める企業が増えている。

組織の排出量を把握することは、その削減に向けた第一歩だ。気候とクリーンエア連合、ストックホルム環境研究所は、企業が大気汚染物質の排出量を定量化できる実用的なガイドを開発した。

海運大手のマースクが同連合に参加し、事業全体とバリューチェーンにわたる排出量の測定方法を先駆的に開発する取り組みに貢献した動機の一つが、これだった。

さらに踏み込むことを選ぶ加盟企業もある。たとえばイケアは、インド北部の農家と協力し、稲わらを再利用して刈り株の野焼きを抑えるという有意義な取り組みを進めている。野焼きは、同地域のPM2.5汚染の大きな発生源となっている。PM2.5は、2.5マイクロメートル以下の粒子状物質で構成される。

その成果として生まれた製品シリーズFÖRÄNDRINGは、環境イノベーションがサステナビリティ、公衆衛生、ブランド価値にまたがる共通の価値を生み出せることを示している。

大気汚染は長距離を移動する一方、きわめて局地的でもあり、通りや時間帯によっても変化する。企業の対応では、異なるニーズと規模に対処する必要がある。リアルタイムのモデリング、曝露に基づく分析、地域ごとの排出量追跡は、民間部門でクリーンエアを推進する企業の標準的なツールになり得る。

…意思決定に大気質を組み込む企業は、明確な優位性を得るだろう。

排出量から曝露へ

大きな影響力を持つ経営幹部が主導し、さらなるインパクトと思想的リーダーシップを生み出すには、クリーンエアを戦略上の優先課題であり、先見性のあるガバナンスの表れとして認識しなければならない。

企業は排出量だけでなく曝露に注目することで、これまで見過ごされてきた領域を把握できる。AirTrack Enterpriseなどのツールは、混雑した市街地を移動する通勤者にも、ディーゼル発電機の近くで作業する現場エンジニアにも、画期的な手段を提供する。

こうした知見により、組織は受動的な報告にとどまらず、曝露を考慮したルート計画、より賢いスケジュール調整、大気質の実績に優れたサプライヤーの戦略的な選定を通じて、積極的に健康被害を減らせる。

CEOが大気質の指標を役員報酬や業績評価に組み込めば、組織内でこの取り組みをさらに後押しできる。

その成果は、従業員と顧客の健康改善、事業運営のレジリエンス向上、ブランドへの信頼強化、そして環境衛生を意思決定の中心に据えるリーダーシップだ。

経営会議の優先課題としての大気質

投資家の期待が高まり、健康を重視する消費者の目が厳しくなるなか、意思決定に大気質を組み込む企業は明確な優位性を得るだろう。大気質を積極的に戦略に取り入れることで、企業は次のことが可能になる。

一方、この分野が成熟するにつれ、早期に取り組む企業は、ブランドと市場で格段に大きな優位性を獲得するだろう。

基準となる大気質

気候の不安定化、急速な都市化、公衆衛生への圧力の高まりのなかで、大気質は、企業が本当に持続可能であるかどうかを最も明確に示す指標の一つとなるだろう。それは理念だけでなく、実践における持続可能性を示す。

健康、人事、リスク管理、コンプライアンス、サステナビリティ、経営戦略が交わるところに大気質の課題があると理解する、新世代のビジネスリーダーが登場している。健康を守り、野心的な気候変動対策を進めるため、この課題をCEOの議題の中心に正当に位置づける時だ。

イヴォン・シュイナードが私たちに思い起こさせるように、「地球は今や私たちにとって唯一の株主であり、ほかのすべてを正しく行ったときにのみ利益が生まれる」。

科学的知見は明らかだ。必要な技術はすでにあり、何もしないことにはコストが伴う。さらに、競争上の機会も現実に存在する。企業は先導するのか、それとも後れを取るのか。

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