広告業界は低炭素型のライフスタイルへの需要をどう喚起できるか

The image shows Times Square full of advertising hoardings to illustrate how advertising has the power to persuade people to adopt low-carbon lifestyles
Advertising has the power to persuade people to adopt low-carbon lifestylesImage: Photo by Luca Bravo on Unsplash
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  • 地球の気候は危機に瀕しており、修復不能となる瀬戸際に達しつつある。

  • しかし、私たち全員が低炭素型のライフスタイルに切り替えれば、地球をより健全な均衡状態に戻す時間はまだ残されている。

  • 広告・マーケティング業界には、人々に低炭素型のライフスタイルを取り入れるよう促す力がある。この機会を手遅れになる前に生かさなければならない。

今年の気候週間は、混乱のさなかに開催される。壊滅的な干ばつや森林火災、洪水が地域社会を襲い、ウクライナでの戦争、エネルギー価格の急騰、生活費危機が起きた一年だ。私たちは変化への適応に慣れつつある。そうせざるを得なかったのだ。しかし、専門家は今後20年以内に地球の気温が摂氏1.5度の閾値を超えると予測しており、もはや事後対応では間に合わない。気候危機に立ち向かうため、大胆な行動を起こさなければならない。

現在、世界の経済圏の90%がネットゼロ目標を掲げ、数百社の企業も同じ約束をしている。しかし、これまでの気候戦略は、人間が果たす重要な役割を過小評価してきた。私たちが生きる生態学的時代である人新世は、人間の活動によって引き起こされた。需要側の緩和策と行動喚起が不可欠だ。世界の人々を化石燃料に大きく依存するライフスタイルから脱却させ、植物由来の食品、電気自動車、再利用可能な包装など、気候に配慮した代替策への需要を生み出さなければならない。

正しく取り組むために、時間を無駄にする余裕はない。広告・マーケティング業界と、私たちが支援する消費者ブランドが力を合わせ、私たちの最大の強みを解き放たなければならない。それは、人々の考え方、感じ方、行動に影響を与える力だ。

気候変動はコミュニケーションの課題

デービッド・アッテンボロー卿は、こう述べて要点を明確にした。「この先10年間に私たちが行うことは、その後の数千年に深い影響を及ぼす……これはもはや科学の課題ではない。コミュニケーションの課題だ」。もちろん、気候変動の解決策を見つけるには科学、技術、イノベーションが大きな役割を果たすが、創造性やマーケターの影響力を発揮するスキルも必要だ。

持続可能な別の未来について、人々を惹きつけるビジョンを描き、世界中の人々に新しい生き方を促さなければならない。ブランドと協力し、人々の行動、習慣、日課、振る舞いを変えていく必要がある。ここで、世界の広告・マーケティング人材が極めて重要な役割を果たせる。何しろ、それが私たちの仕事だ。私たちの業界には、共感を生み、人々の行動を促す説得力のあるメッセージを伝えられる、戦略的思考を持つ人材やクリエイティブ人材が集まっている。

SDIS 2022 - 気候変動の音とはこういうものだ - 英語
SDIS 2022 - 気候変動の音とはこういうものだ - 英語
29:27

勢いが重要

人々が主導する低炭素の未来の種は、世界的な新型コロナウイルス感染症のパンデミックのさなかにまかれた。通勤や航空移動が減る一方で、多くの人が自らの消費習慣をより意識するようになった。例えば、サーキュラーエコノミーを掲げるブランドスリフト(不要になった衣類やアクセサリーを再販売するプラットフォーム)は、在宅勤務なら仕事用の服をたくさん持つ必要がないと人々が気づくにつれて人気が高まった。この変化を理解するため、気候変動・社会変革センター(CAST)は、パンデミックが英国民のライフスタイルや行動に及ぼした影響について、大規模な調査を実施した。その調査によると、2020年10月時点でも気候変動への懸念は高く、気候変動対策への支持は同年5月の調査時よりさらに強まっていた。

これは明るい兆しだったが、新型コロナウイルス感染症の脅威が弱まった今、こうした支持は後退している。多くの世界市場が再開し、パンデミックに伴う一時的な減少からCO2排出量が再び増加したと、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「気候変動の緩和」報告書は述べている。だからこそ、需要側の緩和戦略に改めて注力することが急務なのだ。十分な数の消費者がすばやく習慣を変えれば、IPCCは2050年までに排出量を最大70%削減できると考えている。地球が逃す余裕のない機会であり、マーケターはそれを生かすうえで有利な立場にある。

持続可能な暮らしを手間なく選べるようにする

収益性と持続可能性を両立させるには、ブランドが顧客に代わって大きな手間を引き受けなければならない。特に、物価上昇と差し迫る景気後退に直面する今日の消費者にとっては重要だ。経営コンサルティング会社アクセンチュアは最近の世界報告書で、人々は持続可能性に関する個人的価値観と現実的な事情(費用、手軽さ、利便性)をすり合わせる中で、一貫性を欠くことを許容していると指摘した。同社の調査によれば、消費者の60%は、世界で起きているあらゆることの影響で自分の優先事項が変わり続けていると答え、経営幹部の88%は、顧客のニーズの変化が企業の対応能力を上回る速さで進んでいると考えている。

持続可能性を指針とし、真に目的を重視する企業であれば、消費者は持続可能な選択をする必要がない。そのブランドから購入するだけで持続可能な行動をしていることになる。パタゴニアはその好例だ。耐久性と快適さを備えたアウターウェアの生産から、サーキュラーエコノミーのプラットフォームであるウォーン・ウェアに至るまで、同社の事業には持続可能性が深く根付いている。中古衣料を扱うこのプラットフォームは、消費者に「新品ではなく中古品を買おう」と呼びかけている。先週、広く報じられたように、パタゴニアのCEO兼創業者イヴォン・シュイナードは、環境保護活動に年間最大1億ドルを助成することを目指して信託を設立し、会社を地球に「贈与」した。消費者へのメッセージは明快だ。パタゴニアで何かを買えば、その購入を通じて気候変動との闘いに直接貢献できる。

IKEAも持続可能な消費の先駆者だ。同社は「知らぬ間に活動家」キャンペーンを展開し、入浴ではなくシャワーを浴びるといった家庭での行動を環境データと結びつけ、持続可能な暮らしがいかに簡単かを示した。また、過剰消費を促すことで知られるブラックフライデーを「バイ・バック・フライデー」へと変える仕掛けを打ち、顧客にその日にサーキュラーエコノミーの一員となり、IKEAの家具を返品または中古で購入するよう促した。

今こそ行動の時

私たちの業界は、人々の考え方を変え、行動に影響を与えるために存在しており、それを得意としている。私たちには変化を先導する大きな機会がある。この機会をつかむには、大胆で勇気ある経営者が必要だ。企業と消費者のニーズを地球のニーズと両立させる意思を持つリーダーである。そうして初めて、IPCCとデービッド・アッテンボロー卿が私たちに突きつけた課題、すなわち行動変容を加速させ、持続可能な低炭素型ライフスタイルへの需要を生み出すことに応えられる。

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