国連は、気候変動と経済的圧力が、先住民コミュニティの伝統的な食料採取技術に悪影響を及ぼしていると述べている。
これらの食料システムは、効率性、廃棄物の回避、季節への適応という点から、世界で最も持続可能なものの一つとされている。
しかし、気候変動によって、先住民コミュニティでは干ばつや野生生物の減少といった問題が生じている。
北極圏からアマゾンに至るまで、先住民コミュニティの伝統的な食料採取技術は、加速する気候変動と経済的圧力によって脅かされている、と国際連合は述べている。
さまざまな先住民族が利用する食料システムは、世界で最も持続可能なもののひとつであることが、国連食糧農業機関(FAO)による分析で明らかになった。効率性、廃棄物の回避、季節への適応の点においてそうだという。
先住民の食生活は主に身近にある再生可能な資源に依存しているため、先住民コミュニティは季節性に合わせて土地利用を調整している。つい最近まで、その食料システムには「廃棄物」という概念が存在しなかった、と報告書は述べている。
報告書は例として、フィンランドのイナリ・サーミ人を挙げている。彼らの食生活は魚とトナカイの肉に大きく依存している。
このコミュニティは土地に関する先祖伝来の知識に頼っている。伝統的なトナカイの放牧は、動物の年間移動サイクルに基づいているためである。牧夫たちは、持続可能な方法で放牧できるよう、毎年どこへトナカイを連れて行くべきかを把握している。
また、季節や気象条件に応じて漁法を調整する専門的な知識も活用している、と報告書は述べている。
しかし、こうした伝統的な慣行は、気候変動に加え、輸入加工食品の入手性の高まりによって危機に瀕している。FAO先住民族部門の責任者であるヨン・フェルナンデス=デ=ララノア氏はこう述べた。
「気候変動は、先住民とその食料システムに対して新たな重圧を加えています」と、フェルナンデス=デ=ララノア氏はトムソン・ロイター財団に電話で語った。
同氏は、先住民の食料システムが打撃を受けていると述べた。干ばつ、野生生物の減少、野生植物の消失、降雨と季節の変化、不規則な気象パターン、移動パターンの変化による影響だという。
報告書によると、イナリ・サーミ人は、冬季にはトナカイが地衣類だけでは生存できなくなったため、放牧しているトナカイに補助飼料を与え始めている。
「トナカイが本来なら氷の下で見つけられた地衣類を、もはや見つけられなくなっています。理由は非常に単純です。氷が溶けてしまったのです」とフェルナンデス=デ=ララノア氏は述べた。
報告書はまた、気候変動がカメルーン、インド、ソロモン諸島、マリ、コロンビア、グアテマラのさまざまな先住民コミュニティに与える影響についても検討している。
場合によっては、地域経済の貨幣化が進んだことで、先住民コミュニティが物々交換、食料の分かち合い、共同体による仕組みから離れていった。
金銭を稼ぐ機会が生まれたことで、一部のコミュニティは持続可能な慣行から乱獲や過剰な狩猟へと移行し、生物多様性の喪失を招いている、と報告書は述べている。
また、コミュニティは地元の市場で購入する加工食品への依存を深めている。
「市場志向型の活動の導入が加速していることは、先住民族の食料システムを大きく変えつつあります」と、FAOの首席エコノミストであるマキシモ・トレロ氏は声明で述べた。
世界的により持続可能な食料生産が求められる中で、先住民コミュニティの先祖伝来の専門知識が失われれば、世界は貴重な知識を失うことになる、とFAOは述べている。
「イノベーションと技術を伝統的な知識と組み合わせる必要があります」とフェルナンデス=デ=ララノア氏は述べた。

