最近の国連報告書は、5地域の国々が排出削減と気候変動への適応に向けて目標をどのように更新しているかを示している。
例えばイラクは、緩和策による排出削減目標の一つを13%から15%に引き上げている。
排出削減を目指す中で、産業の脱炭素化は世界的な大きな課題となる。世界経済フォーラムは、進捗の追跡と監視を支援するプラットフォームに取り組んでいる。
各国は気候変動に関する公約をさらに意欲的なものにできると、国連開発計画(UNDP)は述べている。
同機関の「2022年 世界的な意欲の現状:地域別スナップショット」では、5地域の気候目標に関する進捗、隔たり、傾向、機会を取り上げている。
このスナップショットは、次の支援を受けた120を超える国と地域を対象としている。UNDPの「Climate Promise」は、開発途上国が温室効果ガスの排出削減と気候変動への適応に向けた目標を強化できるよう支援する取り組みだ。
各国には、国が決定する貢献(NDC)と呼ばれる目標を5年ごとに提出し、その意欲を高めていくことが奨励されている。
UNDPによると、すべての国で、女性、若者、その他の脆弱な立場にある人々を含む、より多くの人々や地域社会を国の気候目標の策定に参加させることで、目標をより意欲的なものにできる。
5地域に関する主なポイントを紹介する。
アフリカ、気候変動への適応計画を強化
アフリカの人口は10億人を超え、46か国にまたがり、そのうち33か国は脆弱国と見なされている。年間排出量は世界の温室効果ガス排出量のわずか7%強で、その約4分の1をナイジェリアと南アフリカが占める。一方で、気候変動の影響を最も強く受ける地域の一つだ。
4億人を超える人々が安全な飲料水を利用できず、気候変動によって状況はさらに悪化すると予想される。人命の損失、食料生産の減少、生物多様性の低下も、この地域が直面する気候変動の脅威だ。
UNDPは「Climate Promise」を通じて、アフリカの44か国による第2世代の国が決定する貢献の提出を支援した。これらの国はすべて気候変動への適応目標を強化し、91%が緩和策による排出削減目標を引き上げている。その中には、地域で排出量が最も多い南アフリカとナイジェリアも含まれる。
例えば中央アフリカ共和国は、温室効果ガス排出量を2030年までに12%から25%削減すると約束した。これは当初の公約のわずか5%からの引き上げだ。達成に向けた変更には、更新後の目標の対象に運輸、鉱業、土地利用、住宅の各部門を加えることが含まれる。
アジア太平洋地域の気候変動対策への意欲
世界人口の半数を超える人々がアジア太平洋地域に暮らしており、同地域は世界の温室効果ガス排出量の42.4%を占める。地域内41か国のうち、11か国は排出量の多い国で、全体の40.8%を排出している。アジア太平洋地域には、脆弱国が9か国、小島嶼開発途上国が17か国、世界の後発開発途上国が11か国含まれる。
UNDPによると、2000年から2018年までにアジアで発生した自然災害の82%は、異常気象が原因だった。孤立した太平洋の島嶼国は特に脆弱だ。
UNDPが「Climate Promise」を通じて支援するアジア太平洋地域の27か国のうち、78%が緩和目標を、89%が適応目標を引き上げている。
約10か国が、緩和と適応の取り組みの資金確保に向け、資金調達・投資計画を策定している。バングラデシュは部門ごとの緩和策の費用を試算し、カンボジアは早期警戒システムや災害削減策に必要な投資を検討した。
アラブ諸国、適応策を加速
アラブ諸国地域の19か国と1地域には、世界の後発開発途上国のうち4か国と、主要な石油・ガス生産国が複数含まれる。地域の人口は3億9,400万人で、世界の温室効果ガス排出量の5.4%を占めている。
気候変動により、水ストレスはさらに深刻化すると予測されており、すでに人口の84%が影響を受けている。農作物の栽培地も縮小しており、1990年から2015年にかけて、地域内の半数を超える国で少なくとも45%減少した。
イラク、ヨルダン、レバノン、モロッコ、ソマリア、スーダン、チュニジアのアラブ諸国7か国は、UNDPの「Climate Promise」を通じた支援を受け、第2世代の国が決定する貢献を策定した。7か国すべてが適応への意欲を高めた。各国の計画では、気候変動緩和への意欲も「明確に高まった」。
例えばイラクは、緩和策による排出削減目標の一つを13%から15%に引き上げた。同国の改定版「国が決定する貢献」には、電力部門の変革を支援するため、出力規模の大きい再生可能エネルギー発電設備を12ギガワット導入する提案が含まれる。
洪水と干ばつが欧州・中央アジアの行動を促す
欧州・中央アジアは54か国にまたがり、世界の温室効果ガス排出量の15.4%を占める。欧州連合、カザフスタン、ロシア、トルコ、ウクライナ、英国を合わせると、そのうち11.5%を排出している。
西バルカンの「壊滅的な洪水」から中央アジアの長期的な干ばつまで、地域内のすべての国が気候変動の影響を目の当たりにし、実感しているとUNDPは述べている。
UNDPの「Climate Promise」を通じて支援を受けた欧州・中央アジアの18か国のうち、12か国(67%)が「国が決定する貢献」を更新するか、新たに策定した。
地域で排出量の多いカザフスタンとウクライナは、緩和目標を引き上げた88%の国々に含まれるとUNDPは述べた。さらに82%が気候変動への適応に関する公約を強化した、または強化する計画を持つ。
アルバニア、トルコ、セルビアなど西バルカン諸国では、より持続可能な経済への移行を誰にとっても公平なものにしたいという考えが強まっている。これらの国々では、再生可能エネルギーへの転換に必要なグリーン雇用の評価や、石炭依存度の高い地域・コミュニティの分析などが行われている。
ラテンアメリカ・カリブ海地域、気候目標をさらに強化
ラテンアメリカ・カリブ海地域は、33か国にまたがり、人口は6億5,000万人に上る。同地域は世界の温室効果ガス排出量の8.1%を排出し、そのうちアルゼンチン、ブラジル、メキシコ、ベネズエラが5.7%を占める。干ばつ、洪水、氷河の融解などの気候変動は食料と水の安全保障に影響し、人々の移住を余儀なくさせ、地域全体の貧困と不平等を悪化させているとUNDPは述べている。
ラテンアメリカ・カリブ海地域では20か国が「国が決定する貢献」を強化した。これはUNDPの「Climate Promise」を通じて支援を受けた国の80%に当たる。
例えばコロンビアは、緩和策による排出量51%削減を約束した。前回の20%からの引き上げだ。同国の148の緩和策と30の適応目標には、2030年までに森林減少を年間5万ヘクタール以下に抑えることが含まれる。
重工業の排出削減
排出量と気候目標に関するデータを集めることで、各国や各部門は最も対策が必要な分野を把握し、変更を加え、進捗を監視できる。
世界経済フォーラムとプロフェッショナルサービス企業アクセンチュアによる新たな追跡イニシアチブが、ネットゼロ産業トラッカーだ。この取り組みは、産業の脱炭素化の進捗を「包括的かつ一貫して」追跡することを目指す。産業は世界の温室効果ガス排出量の30%超を占める。
「産業が脱炭素化しなければ、ネットゼロの未来は実現しない」と、両者は述べている。
ネットゼロ産業トラッカーは、鉄鋼、セメント、アルミニウム、アンモニア、石油、天然ガスの6つの重工業に焦点を絞っている。
産業が排出量を削減し、エネルギー効率を高めている状況を測るための標準指標を設けている。また、技術の進展、支援へのアクセス、低排出製品への需要も追跡する。










