貧困と幸福度の指標が見落としている、もう一つの重要な要素

Fishermen cast their nets beneath the skyline of Mozambique's capital Maputo in this file picture taken November 2009. At Bobole, a bustling refreshment stop on Mozambique's north-south highway, brightly-painted kiosks lined with bottles offer drinks to thirsty travellers while hawkers sell bananas, paw-paws and carrots in a typical African roadside scene. But memories remain fresh of when Bobole lay in the "death corridor" of a civil war that cost nearly one million Mozambicans their lives until it ended two decades ago. In 2013 a series of hit-and-run raids by opposition Renamo gunmen about 600 km (375 miles) further north has rekindled fears of a return to all-out conflict in what has become one of Africa's economic growth stars.
The authors argue that measures of well-being and poverty ignore the environment, and that this must change.Image: REUTERS/Mike Hutchings
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自然がなければ、人間は健康にも幸福にもなれない。それにもかかわらず、自然界が完全に荒らされても、経済成長や貧困に関する通常の指標には、ごくわずかな変化すら表れないことがある。

国連の大規模な環境会議では最近、人々が自然に見いだすさまざまな価値や、自然が人間社会にもたらすものを評価する取り組みの開始が検討された。しかし、社会の進歩を測る指標を拡充し、自然が人々の幸福と繁栄、特に貧しい人々の幸福と繁栄に果たす役割を明確に含めなければ、こうしたハイレベルの議論は実を結ばない。

自然は人々の幸福にさまざまな形で関わっている。自然は食料、きれいな空気や水といった基本的なニーズを満たし、環境上の危険から私たちを守ってくれる。また、特に緑地にアクセスできる幸運な人々にとって、身体的な幸福と精神的な幸福の双方と自然には明確な関係がある。

こうした実用的な役割に加えて、世界各地から得られた証拠は、自然が人々の自己認識に、より根本的な形で寄与していることを示している。自然は、幸福を形づくるものの不可欠な一部である。山頂に立ったときの畏敬の念を呼び起こす瞬間、美しい川を見渡す息をのむような眺め、広大な開けた土地を横断するときに感じる自由などに、そのことを感じる人もいる。

経済指標の問題点

自然から多くの恩恵を受けているにもかかわらず、進歩と幸福を測る指標は依然として狭く、目に見えて測定できるものに焦点を当てている。第二次世界大戦の終結以降、最も広く用いられてきたのは国内総生産(GDP)であり、経済の状態や人々の幸福を示す有用な概況と見なされている。こうした数値がしばしば覆い隠すのは、自然の役割のように貨幣経済では測られないものの、日常生活に欠かせず、将来の繁栄を支えるうえで重要となり得る要素である。

代替指標もある。広がりを見せているものの一つが包括的富指標(Inclusive Wealth Index)で、人間と自然の幸福をより幅広く測る指標を考慮する。直近の評価では、従来のGDPの数値は1992年から2010年までの成長を大幅に過大評価していたことが示唆された。国際開発の分野では、国連の人間開発指数と「多次元貧困指数」はいずれも、物質的な生活水準に健康と教育の指標を組み合わせ、より幅広い課題を捉えている。しかし、自然の役割は依然として十分に取り入れられていない。

自然を無視すると、ゆがんだ逆説が生じる。測定上のGDPは、環境に甚大な被害をもたらす災害が起きた結果、実際には増加することさえある。災害後の清掃や修復によって経済活動が生まれるためだ。一方、環境の損失そのものは経済指標に表れない。国は原生林をすべて伐採して豊かになることもあり得る(実際にそうした国は多い)が、それに伴う生息地や野生生物の喪失は国民経済計算に反映されない。

政府は引き続き、主要な指標に基づいて意思決定を行っている。そこには、経済的繁栄を示すGDPや一人当たり所得、そして貧しい国では貧困の規模や発生率が含まれる。しかし、改善の余地はある。私たちの現在進行中の研究では、環境要因を調整した多次元貧困指標の開発に取り組んでいる。自然にアクセスできない人々は、一般により貧しいという認識に基づくものだ。

私たちの研究によれば、こうした欠落している環境面を考慮しなければ、貧困の複数の側面や根本的な要因を不完全に評価することになりかねない。その結果、貧困層の特定も、何が彼らを貧困にしているのかの理解も部分的なものとなるおそれがあり、貧困に適切に対処するうえで課題となる。

現状の仕組みは、人々、特に貧しい人々の利益にかなわず、自然を過小評価することで将来の繁栄も脅かしている。現在の手法から恩恵を受けているのは、通常、環境破壊(その事実は認識されない)で利益を得る世界のエリート層だ。

不利益を受けるのは、生計を自然に大きく依存する人々や、環境の変化に特に弱い人々である。自然を評価する場合でも、通常は金銭価値に換算される。その結果、自然を小さな商品単位に切り分け、最高額を提示する買い手に売る能力と意思のある人々が優遇される。これは、自然には別の価値がある、あるいは自然そのものに価値があると考え、自然の美しさや、自然が多くの人にもたらす純粋な喜びを大切にする人々の見方を考慮していない。

人々の多様な見方や願いを顧みないことの帰結は、近年の欧州や米国の政治情勢にも表れている。自然は私たちの幸福にとって重要であり、人々は自然との関係をさまざまな形で捉えている。このことを認識するのは、より包摂的で公平かつ持続可能な社会を築くための重要な一歩である。

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