COP26でファースト・ムーバーズ連合が発足しました。34の加盟企業は、ゼロエミッション大型トラックや持続可能な航空燃料など、低炭素製品の購入を約束しています。
こうした製品の需要を高め、最終的にコストを引き下げることが狙いです。
参加企業には、Amazon、Apple、Scania、Boeing、Bank of America、Holcim、Trane Technologies、Delta Air Lines、Engie、Fortescue、A.P. Moller-Maersk、DP DHLが含まれます。
国際エネルギー機関は、ネットゼロ達成に必要な排出削減の半分は、現在はまだ商業利用できる段階にない技術によって実現すると推計しています。しかし、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、気温上昇を1.5℃に抑えるには今後8年間で排出量を45%削減する必要があり、こうした技術はまさに今、導入しなければなりません。
昨年11月の国連気候変動会議COP26で発表された大きな取り組みの一つは、米国の気候問題担当大統領特使ジョン・ケリー氏によるものでした。同氏は世界経済フォーラムとともに、鉄鋼、トラック輸送、海運、航空、セメント、アルミニウム、化学など、排出削減が困難な分野で新技術の導入を加速する新たなプラットフォームを発表しました。
市場価値が約6兆ドルに上るファースト・ムーバーズ連合(FMC)の34の加盟企業は、高価格であっても、低炭素セメントや鉄鋼、ゼロエミッション大型トラック、持続可能な航空燃料、直接空気回収などの製品を購入することを約束しています。需要を高め、最終的にコストを引き下げることが狙いです。
COP26でFMCは、鉄鋼、トラック輸送、海運、航空燃料について、2030年までの具体的な購入約束を示しました。残る分野でも、今年中に購入約束を発表する予定です。
発足時、ケリー氏は、FMCが排出削減は困難すぎると見なされてきた分野でのイノベーションを「一気に加速する」と述べました。そうした分野は現在、世界の炭素排出量の3分の1を占め、2050年までには過半を占める可能性があります。
「地域から地域へ、半球から半球へ、大陸から大陸へと、経済全体でこれを進める必要があります」とケリー氏は述べました。「これを軌道に乗せれば、そうでない場合に比べて何倍もの速さで進むでしょう。それが必要なのです。」
米国も取り組みを進めています。ホワイトハウスは、鉄鋼やコンクリートを含む、より環境負荷の低い製品の米国政府による購入を加速するため、複数の省庁で構成する「バイ・クリーン・タスクフォース」の設置を発表しました。米国政府は毎年、6,500億ドルを超える価値の物品やサービスを購入しています。
ファースト・ムーバーズ連合の加盟企業には、Amazon、Apple、Scania、Boeing、Bank of America、Holcim、Trane Technologies、Delta Air Lines、Engie、Fortescue、A.P. Moller-Maersk、DP DHLが含まれます。
海運分野では、船会社は2030年までに外航船の少なくとも5%をゼロエミッション燃料で運航する目標を掲げています。一方、貨物所有者は、国際輸送する貨物の容積の少なくとも10%を、2030年までにゼロエミッション燃料を使う船で輸送することを約束しており、2040年までに100%を目指します。
こうした民間部門の約束は、海運分野に大きな変化をもたらす可能性があります。国際海事機関が策定中の温室効果ガス戦略案では、同分野に求められるのは、2008年比で2050年までに絶対排出量を50%削減することにとどまっています。
Amazonの最高サステナビリティ責任者であるカーラ・ハースト氏は、同社の小売事業の気候公約には、2040年までのネットゼロ達成に向け、2030年までにAmazonの配送の50%を炭素排出量ネットゼロにする中間目標が含まれていると述べました。
同氏によると、FMCの約束は、昨年10月にアスペン研究所が立ち上げた別の協働プラットフォーム「ゼロエミッション船舶のための貨物所有者連合」の約束とも一致しています。同連合の署名企業は、2040年までに海上貨物のすべてを段階的にゼロ炭素燃料で運航する船舶へ切り替えることを誓約しています。
「ネットゼロを約束した貨物所有者にとって、こうした購入者主導の取り組みが足並みをそろえていると分かることが重要です」とハースト氏は述べました。「需要を示すシグナルを送る必要があります。」
海運分野の約束から恩恵を受けるもう一社がMaerskです。同社は12月、フィーダー船1隻と大型外航コンテナ船8隻の建造資金として、5億ユーロのグリーンボンドを発行しました。これらの船は2023年と2024年までに、カーボンニュートラルなメタノールで運航できるようになります。
Maerskの最高経営責任者、ソレン・スクー氏は、昨年9月の世界経済フォーラムのパネル討論でこう述べました。「鶏が先か卵が先かという状況を解決しようとしてきました。現在、船が使っていないため、海運向けのグリーン燃料を生産する人はいません。同時に、燃料を買えないため、グリーン船を建造する人もいません。しかし、私は需要と市場を生み出すことを強く信じています。最終的に12隻となる船を発注し、2025年までに50万トンのグリーン燃料を確保する必要があります。」
同氏は、燃料は従来型の最大3倍の価格になるものの、最終顧客が負担する割増分は「ごくわずか」だと付け加えました。また、Maerskの上位顧客200社の半数以上が科学的根拠に基づく排出削減目標を設定しており、AmazonやWalmartのような大口顧客は低炭素物流を求めていると述べました。
スウェーデンの電力会社Vattenfallの最高経営責任者、アンナ・ボリ氏は、同社が連合を通じて航空、トラック輸送、鉄鋼分野のグリーン技術を購入することを約束したと述べました。これらの取り組みはいずれも、Vattenfallが2040年までにネットゼロを達成するという公約に不可欠です。
「既存のビジネスモデルにとどまるリスクを、私たちは大幅に過小評価しています。状況は変化しており、業界や企業をまたいで新たなビジネスモデルが生まれるからです」と同氏は述べました。
「新技術の導入で先行することは難しいかもしれませんが、対応が遅れすぎれば壊滅的な結果を招く恐れがあります。」
同氏によると、Vattenfallは鉄鋼メーカーのSSAB、スウェーデン国営鉱山会社LKABとともに、グリーン水素を使った鉄鋼をすでに生産しているHYBRITのパートナーです。ファースト・ムーバーズ連合の別の加盟企業であるVolvo Carsは、この鉄鋼を購入することを約束しており、早ければ2026年に商業顧客向けに供給されます。
恩恵を受ける見込みなのは、フランスのエネルギー企業Engieとノルウェーの肥料会社Yara Internationalも同様です。両社は西オーストラリア州ピルバラで、世界初の産業規模の再生可能水素プロジェクトの一つを共同開発しています。現地の太陽光発電設備と10メガワットの電解装置を使用し、オーストラリア政府から4,250万豪ドル(3,030万米ドル)の資金提供を受けます。2023年完成予定のこのプロジェクトでは、海運向けのグリーンアンモニアも生産します。
「ファースト・ムーバーズ連合は、まさに今必要なものです」とYara Internationalの社長兼最高経営責任者、スヴェイン・トーレ・ホルセター氏は述べました。「肥料生産を再生可能エネルギーに切り替えるという、私たちが進めている移行を考えると、このプロジェクトの規模は、これまでに世界で設置された電解装置の合計容量に匹敵します。先行者利益は必要ありませんが、市場に規模をもたらしてコストを下げるため、先行者による不利益がない状態を望んでいます。」
グリーン水素を推進するもう一人は、オーストラリアのFortescue Metals Groupの最高経営責任者、アンドリュー・フォレスト氏です。同社のネットゼロ達成に向けて、グリーン水素の生産量を2030年までに1,500万トン、2040年までに5,000万トンへ拡大する計画です。
COP26で同社は、アルゼンチンで84億ドル規模のグリーン水素インフラ事業を発表しました。また、英国の大手建設会社JCBと水素販売会社Ryze Hydrogenとの間で、同社の世界全体のグリーン水素生産量の10%を供給する契約を結びました。
「化石燃料に代わる現実的な選択肢を世界に示すため、グリーン水素の購入予定者と生産者を結集し、2億トンのグリーン水素を生産する連合を立ち上げようとしています」とフォレスト氏は述べました。「それを実現するには2億トンという臨界規模が必要だと考えており、達成可能だと思います。世界中に、私たちのような企業が進めるプロジェクトがあり、協力すれば実現できます。」






