北極の夏季海氷の最後の一片は、わずか23年で融け去ると予想されている。これは従来の予測より30年早い。
近年、海氷域が急速に縮小したことを受け、科学者たちは、2040年の夏に凍てついた北極が終わりを迎えると考えている。「北極評議会」の報告書による。
北極圏に領土を持つ8カ国の科学政策グループによると、過去30年間で夏季海氷の最小面積は半減し、その体積は4分の3減少した。この変化は、この地域に直接利害関係を持つ国々にとどまらず、重大な影響を及ぼす。
一方、北極評議会は、海氷が消失すれば海運が増えると予測している。地球の最北部を横断する航路を使って北欧から北東アジアへ航行すれば、スエズ運河経由と比べて航海距離を5分の2短縮できる。
しかし、夏であっても北極海は荒れやすく予測が難しい。地球温暖化が進めば、さらに不安定になる可能性がある。航海距離が短くても、決して容易な選択肢ではない。
したがって、夏季海氷の消失による恩恵は限られる一方、リスクはそれをはるかに上回る。
地球上の風は、北極・南極と熱帯地域の気温差によって部分的に生じている。北極の温暖化が熱帯より速く進むことで、この気温差は縮まり、風速が弱まるだろう。その結果、北半球のジェット気流が乱れ、異常気象が増える可能性がある。
海流も弱まる可能性がある。現在は、北へ移動する表層水が冷えて沈み、南へ戻る流れが生じることで、メキシコ湾流の形成が促されている。この過程が妨げられれば、インドのモンスーンから太平洋のエルニーニョのパターンまで、あらゆるものに影響が及びかねない。
パリ協定に署名したすべての国が公約を守ったとしても(実現は難しいとみられている)、今後数十年間に大気中に蓄積すると予想される二酸化炭素の量は、北極の夏季海氷を完全に消失させるのに十分となる可能性が高い。




