気候変動に立ち向かうアラブ世界最強の武器とは?それは若者たち

Jordanian students in traditional costume take part in activities as part of the "King Abdullah II Award for Physical Fitness" project at Tlaa' Al-Ali High School sports complex in Amman October 22, 2008
Young people across the Arab world are taking up the climate action mantle.Image: REUTERS/Muhammad Hamed
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気候変動は人類が直面する最大級の脅威の一つだ。地球温暖化に関するIPCCの最新報告書は、アラブ世界を含め、気候変動の影響を免れる国はないことを示している。この地域の地質的・生態学的な特性は、水不足、食料不安、干ばつ、熱波、疾病など、多くの深刻な問題のリスクを高めている。こうした問題はすでに顕在化している。さらに、この問題への認識は非常に不足しており、とりわけ地域および世界の気候変動対策を訴えることのできる若者の間で、その傾向が強い。この惑星を受け継ぐ若者は、気候危機への人類の対応において重要な利害関係者だ。中東・北アフリカ(MENA)地域であれ、ほかの地域であれ、若者が十分に参加しなければ気候変動に対処することはできない。

Image: IPCC

こうした認識の必要性は、アラブ世界がすでに気候変動による甚大な問題に直面しているという現実とともに高まっている。MITの研究によると、「高解像度気候モデルを用いた研究では、今世紀中に気候変動の影響でペルシャ湾岸地域の一部が、前例のない致命的な猛暑に見舞われる可能性がある」。この研究は温室効果ガス排出が現状のまま推移するシナリオを詳述する一方、排出を抑制すれば、こうした「致命的な気温の極端現象」を防げる可能性も示している。

すでに手遅れだと考える人もいる。一方、環境へのさらなる損害を抑えるために行動できると考える人もいる。しかし、気候危機という問題全体はあまりに大きく感じられ、各国政府は懐疑的で、行動も遅い。中東で長引く社会問題や紛争により、多くのアラブ諸国では、世論や報道機関の議題において気候変動の優先順位が下がっている。さらに、多くのアラブ諸国に共通する半権威主義的なメディア体制が、この傾向を悪化させているようだ。編集上のタブーに触れないよう、気候変動に関する報道の大半は国際通信社の記事を転載したものだ。国内報道は乏しく、不十分な統治に関する微妙な問題に触れかねないからだ。その結果、気候変動は従来、国際交渉に焦点を当てた海外ニュースとして扱われ、地域の読者にとっての関連性は限られていた。

しかし、新たな情報技術の登場と気候変動への意識向上に対する関心の高まりは、MENA諸国における気候変動コミュニケーションに新たな経路をもたらしている。さらに、アラブ世界の人口の最大層を占める若者たちが、さまざまな方法でこの問題に関わり始めている。環境問題に対処できるよう若者を育てる方法の一つが、より効果的な環境教育だ。環境への意識を高めることで、若い世代は自らの技能や経験を積みながら、平和で持続可能な未来に積極的に貢献する機会を得られる。彼らは、国内の適応策や緩和策とともに、次のような国際交渉にも積極的に参加できる。国連気候変動会議に参加すれば、何が懸かっているのか、そして国際合意がどのように形成されるのかを理解できる。環境への強い意識と能力構築は、若者たちの結束をさらに促し、世界の舞台で一つの声として交渉する力を与える。

変わりゆく状況

かつてMENA地域は、気候変動に関する提言活動と意識の両面で、最も弱い地域の一つと見なされていた。この世界的問題をより重視するよう市民社会から求める声はほとんどなく、戦争や政情不安という形での地域の政治的不安定さが、アラブ諸国政府の議題で気候変動の優先順位を高めることをさらに難しくしていた。しかし、状況は変わった。アラブの若者の間で、気候変動を深刻に受け止めようという大きな熱意が生まれているからだ。これは、すべての人にとってより良く持続可能な未来を築くうえで明るい兆しである。

カタールのドーハ中心部で行われた気候変動マーチに参加するアラブ青年気候変動運動の活動家たちImage: IndyAct/イッサム・アブダラ

若いアラブ人は、環境に関して特有の懸念と責任の両方を抱えている。環境リスクや危険の中には、若者に不釣り合いなほど大きな影響を及ぼすものがある。若者は、前の世代から引き継いだ悪化する環境の中で生きていかなければならない。若いアラブの人々は、遅かれ早かれ、生態系の課題に効果的に対応するため、新たな形の活動に取り組まざるを得なくなるだろう。意識が大きく変化したのは、カタールが2012年にCOP18を開催した後のことだった。これは非常に重要な一歩となり、その後、MENA地域最大の気候変動啓発・提言団体であり、15を超えるアラブ諸国に支部を持つアラブ青年気候変動運動(AYCM)が発足した。

法執行の文脈における環境責任と社会的責任の結びつきは、環境教育や市民啓発の取り組みを通じて最もよく示すことができる。若者の意識向上と参加は、法執行のあらゆる側面で重要だ。環境に関する基礎知識を理解するだけでなく、責任感と主体的な環境市民意識を育むうえでも欠かせない。

アラブ世界で環境意識を高めるうえで、環境教育は重要な役割を担う。アラブ社会の知識基盤は、環境問題に取り組み、対処する能力を支える重要な要素の一つだ。環境教育と意識啓発には、環境への配慮を盛り込むための現行プログラムの見直し、学校や大学での基礎教育・啓発プログラム、成人や地域社会を対象とした教育・啓発プログラム、専門職・技術者向けの教育・研修・啓発プログラム、そして何よりNGOを基盤とした大規模な啓発キャンペーンなど、さまざまな改革が含まれる。

したがって、環境問題に関する教育と意識啓発を拡充すれば、アラブ地域の若者に恩恵をもたらし、力を与え、能力を高めることができる。これにより若者はさらに力を得て、環境問題への地域社会の参加を生み出し、活性化する能力を身につける。若いアラブ人は、MENA地域の生活の質を実際に向上させ、人々の幸福、経済成長、健康に大幅な改善をもたらす長期的な持続可能性への取り組みやイノベーションに、より強い関心と当事者意識を持つようになるだろう。その機会は今ここにある。私たちはそれをつかむ必要がある。

若者は母なる地球を受け継ぐ者たちだ。平均余命が長いため、親の世代から引き継いだ悪化する環境の影響と、かなり長い間向き合って生きることになる。幸い、若者には新しいものを生み出し、新たな行動や活動の形を築く特別な才能がある。アラブ世界の現在の政策決定の枠組みでは、将来世代の懸念に対処するのは難しい。しかし、意思決定や政策立案の場で彼らの声が聞かれるようになるまで、そう長くはかからないだろう。

IPCCの報告書は、気候変動のリスクについてすでに分かっていたことを明確にし、課題の深刻さを浮き彫りにしている。変革の規模と速度を考えれば、新技術だけでなく、社会の組織や運営のあり方にも革新が必要となる。若者が新たな環境関連の雇用機会を活用できるよう、より一層の取り組みが求められる。革新的な技術は気候変動対策の実質的な一部であり、優秀で意欲的な若者の多くが、新たなエネルギー技術や気候に配慮した技術、制度的な手法に取り組む意欲を持っている。

こうした技術革新の仕組みづくりに再び注力し、世界各地の学生を関連分野で教育し、初期段階の資金調達に適した仕組みを整え、技術を市場に届けることは、解決策の中核をなす。気候変動と持続可能な開発への関心の高まりは、アラブ世界におけるグリーン経済成長に理想的な機会をもたらしている。グリーン教育は、若者に必要な意識をもたらすだけでなく、職場や私生活で環境に配慮した行動を取り入れることで、気候変動対策に直接貢献する機会も与える。

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