北半球の夏の終わりになると毎年、北米の沿岸部を破壊しようと海上に迫る恐ろしい存在についての報道を耳にするようになる。
今年これまでに、アーリーン、ブレット、シンディ、ドン、エミリー、フランクリン、ガート、ハーヴィー、イルマ、ホセ、カティア、リー、そして今やマリアが、いずれも大西洋で猛威を振るってきた。
ハリケーンシーズンに次々と現れる熱帯暴風雨の名前は、まるで米国の人々が、個性や病理まで備えた映画の悪役たちを知っていくような気分にさせることがある。ハーヴィーは「ヒューストンを引き裂き」、イルマは「大西洋に居座った」。こうした傾向は特に2017年に顕著で、例年より多くの熱帯暴風雨に名前が付けられている。
ハリケーンの名前はどのように決められるのか?
熱帯低気圧(熱帯の海上で発生する暴風雨システム。たとえば熱帯暴風雨、ハリケーン、台風)に名前を付ける慣行は、米陸軍と海軍の気象予報士が太平洋を横断する暴風雨の動きを追跡する必要があった第二次世界大戦中に広まった。
米国国立ハリケーンセンター(NHC)は1953年に暴風雨への命名を公式に開始した。その責任はその後、ジュネーブに本部を置く世界気象機関(WMO)に移った。
第二次世界大戦以前、ハリケーンは発生した日や位置座標から、暴風雨の際立った特徴に至るまで、さまざまな方法で識別されていた。人名は、複雑で多様な気象用語よりも覚えやすい。名前を使えば、気象観測所、沿岸基地、船舶の間で暴風雨に関する情報をより迅速に交換でき、同時に発生している複数の暴風雨を区別しやすくなる。
暴風雨システムは、熱帯暴風雨の強さ(最大持続風速39マイル/時以上)に達すると命名される。各シーズンの熱帯暴風雨には、先頭がそれぞれ異なる文字となる名前が付けられ、「A」からアルファベット順に進み、伝統的に男性名と女性名が交互に使われる。
NHCが暴風雨の名前を選ぶわけではない。WMOの厳格な手順に従っており、そこでは事前に選定された6年分の大西洋と太平洋の暴風雨の名前リストが用いられる(つまり、7年ごとに繰り返される)。リストの名前が変更されるのは、ハリケーンの被害があまりに甚大であったり、経済的損失があまりに大きかったりして、将来同じ名前を使うのが不適切となる場合に限られる(たとえばカトリーナとサンディは、どちらも再使用されない名前となった)。暴風雨の名前がリストから外された場合、WMOの国際委員会が年次会合で新しい名前を選ぶ。
同じ年に、同じ頭文字のハリケーンが2つあるのはなぜ?
ハリケーンのマックスはメキシコ上空で勢力を失い、その翌日、大西洋海域でハリケーンのマリアが発生した。
これは間違いではない。大西洋海域と太平洋海域では別々のアルファベット順リストが使われているため、マックスとマリアが同時に渦巻くこともある。
ハリケーンの名前がアルファベットの最後まで達するとどうなるのか?
WMOはQ、U、X、Y、Zで始まる名前を使わないため、各シーズンでハリケーンに使える名前は実際には21個から始まる。
1シーズン中に21を超える熱帯低気圧に名前が付けられた場合、追加の暴風雨名にはギリシャ文字(アルファ、ベータ、ガンマなど)が使われる。過去20年間に大西洋のハリケーンシーズンでギリシャ文字の名前が付いた暴風雨が発生したのは1度だけだ。2005年には最後の熱帯暴風雨ゼータまで達し、破壊的なハリケーン、カトリーナも発生した。近年の気象記録において、最も暴風雨が多かったシーズンだった。
ハリケーンシーズンがアルファベットの最後まで達しなければ、翌年は新しいリストの「A」から再開する。熱帯低気圧は、名前を付けてもらうために定められたハリケーンシーズン中に発生する必要はない。今年12月31日にハリケーンが発生すればリストの次の名前が付けられるが、1月1日に発生した場合はアルベルトと呼ばれる。
今年のハリケーンシーズンは例年より活発なのか?
気象専門家は、2017年の大西洋ハリケーンシーズンについて、例年より多くの暴風雨に名前が付くと予測した。弱いエルニーニョ、平均を上回る海面水温、弱い鉛直ウィンドシアーが重なったためだ。
これまでのところ予測は的中しており、今年のシーズンは記録上最も活発なシーズンの一つになりそうだ。本日(9月19日)時点で、大西洋では命名された熱帯低気圧が13個発生し、そのうち7個がハリケーンになった。コロラド州立大学の熱帯気象学者フィル・クロッツバッハによると、記録が残る中で、同じ時期までに大西洋で7個以上のハリケーンが発生した年はほかに8回しかない。
大西洋のシーズンは6月1日から11月30日まで、太平洋のシーズンは5月15日から11月30日まで続く。8月下旬から9月上旬に海水温が上がるとハリケーンの活動が活発になり、シーズンのピークは平均して9月10日となる。
マリアは2017年9月16日に命名された。この図は、過去21回の大西洋ハリケーンシーズンにおいて、その日までに発生していた命名済み暴風雨の数を示している。
2017年の進み具合は、記録的なハリケーンの年となった2005年に非常に近い。2005年は大西洋シーズンのこの時点で、命名された暴風雨が15個発生していた。北米では今年、2005年シーズン全体と同数の大型ハリケーン(カテゴリー3以上)がすでに発生している。
今年は、過去20年間で最も活発だった太平洋のハリケーンシーズンに並ぶか、それを上回るペースでもある。
大西洋と太平洋を合わせて見ると、2017年のハリケーンシーズンは記録を更新する勢いだ。この図は、9月16日までに両海域で発生した命名済み暴風雨の総数を示している。
9月16日時点で命名された暴風雨システムが28個に達し、2017年はこの時点で、過去に最も活発だったハリケーンシーズンである2012年と2005年を上回るペースで進んでいる。2012年末までの命名済み暴風雨は合計36個だった。2005年には記録的な42個が発生した。ハリケーンシーズンはまだ約40%残っており、2017年は2005年を上回るペースで進んでいる。
上の図が示すように、シーズンの活動は周期的で、気象条件に応じて命名される暴風雨システムの数は時間とともに増減する。気象専門家は、活動が低調な時期に入りつつある可能性があると考えているが、それは破壊的で人命を奪うハリケーンが発生しなくなるという意味ではないと注意を促している。




