北極の「最後の砦」貯蔵庫が過去最高気温を記録。何を意味するのか?

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  • 熱波により、ノルウェーのスヴァールバル諸島で夏の観測史上最高気温が記録されました。同諸島にはスヴァールバル世界種子貯蔵庫があります。

  • 一般に「最後の砦」と呼ばれるこの施設には、研究、品種改良、教育目的のために約90万点の種子が保管されています。

  • 北極圏全体で、気候変動が上昇する気温による永久凍土の融解や海氷の融解という形で影響を及ぼしています。

ノルウェー領北極のスヴァールバル諸島は、雪に覆われた人里離れた島々であり、「最後の砦」を建設する場所としてこれ以上の場所はあるでしょうか。北極点から約1,000キロメートルに位置するこの施設は、貴重な種子試料を保護するため永久凍土の中に埋設されています。しかし、異常な熱波によって、同地域の氷が解けつつあります。

スヴァールバル諸島の気温は21.7℃に達し、ここでこれまでに記録された中で最高を記録しました。従来の記録である21.3℃を上回ったもので、この時期の平均気温は5~7℃です。

「最後の砦」に深刻な危機が迫っているのか?

ノルウェー、スヴァールバル諸島にある「最後の砦」Image: REUTERS/Bob Strong

スヴァールバル世界種子貯蔵庫(「最後の砦」とも呼ばれる)は、雪に覆われた荒野に囲まれた山の奥深くにある巨大な貯蔵施設です。この施設には、世界各地から約90万点の種子試料が保管されており、飢饉や、核戦争や極端な気候変動などの破局により地球の一部が居住不能になったり、世界が壊滅的な事態に見舞われたりした場合に備えた、農業のためのバックアップ計画の役割を果たしています。

この施設は「食料安全保障のための保険契約」と評されています。

「最後の砦」の内部は、氷点下18℃以下に保たれており、予備電源がなくても種子試料を少なくとも200年間安全に保存できるだけの低温です。しかし、気候変動がこの貯蔵庫に問題を引き起こしています。

2016年は、NASAによれば観測史上最も暖かい年でしたが、気温の急上昇により、融解水が貯蔵庫の入口トンネルに流れ込むという事態が起きました。幸いにも種子への被害はありませんでしたが、浸水による高額な修理費用が発生し、自然災害や人為的災害に対して揺るぎないとされてきた貯蔵庫の評判にも傷がつきました。

気候変動に対して世界経済フォーラムは何をしているのか?

暑さが増している

報告書の予測によれば、2071年から2100年の間に、群島全体の平均気温は7~10℃上昇し、積雪期間が短縮されるとともに、地表近くの永久凍土が失われるとされています。


「最後の砦」が位置するスヴァールバル諸島で起きていることは、北極圏全体に及ぶ、より広範な変化の兆候です。北極圏は地球の他の地域の2倍の速さで温暖化しており。カナダ北極圏の一部は、予測より70年早く融解が進んでいることが、アラスカ大学フェアバンクス校の科学者らによって明らかになりました。これは、気候変動が当初考えられていたより速く進行している可能性を示すものです。

「終末審判の日の種子貯蔵庫」は、世界の種子を安全に保管する場所ですImage: ロイター

平年より暖かい夏によって、数千年にわたり凍結状態にあった永久凍土の多くが不安定化すると、氷の中に閉じ込められていたメタンなどのガスが大規模に放出され、気候変動を加速させるおそれがあります。その結果、気温の上昇により永久凍土はさらに失われることになります。

陸上と海上の氷が融解すると、ホッキョクグマやキツネなどの動物の生息地が破壊されます。これらの動物は、雪のように白い毛皮を迷彩として利用し、獲物を狙ったり捕食者を避けたりしています。また、「最後の砦」に保管されている種子にも脅威をもたらします。

「最後の砦」がある北極圏における年間の永久凍土温度変化Image: Nature

気候科学者のボリス・K・ビスカボルン博士(アルフレート・ヴェーゲナー極域・海洋研究所)は、2008年から2016年の間に北極圏の連続永久凍土の地温が0.39℃上昇したことを明らかにしました。南極でも同様の傾向が見られ、同期間に0.29℃上昇しています。

地温の上昇は、気候変動の深刻さを示す指標です。ビスカボルン博士は、永久凍土の融解により、2100年までに北極の気温が最大で0.27℃上昇する可能性があると予測しています。

スヴァールバル諸島の「最後の砦」は、世界で最も価値のある天然資源を破局から守るために存在しています。複数回の引き出しを避けたいのであれば、気候変動の根本原因への取り組みが最優先課題です。

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