健全な地球と健全な経済が表裏一体である理由

A visitor places her hands on a "Tangible Earth", a digital globe which real time global metrological data is fed through the Internet from about 300 places in the world, is displayed at an exhibition pavillion inside the media centre for G8 Hokkaido Toyako Summit in Rusustu town, on Japan's northern island of Hokkaido July 6, 2008
We may soon have bigger things to worry about than economic growth.Image: REUTERS/Yuriko Nakao
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人類文明が今直面している集団的危機の本質と深刻さを理解しなければ、そこから投げかけられた問いに答えることはできません。気候変動、環境劣化、広範な生物多様性の喪失という現在の制御不能な軌道を速やかに止めて逆転させなければ、世界経済は、それ自体として負の影響を被ることになります。

経済成長を阻害するのは「地球を守ること」ではありません。むしろ、自然破壊の加速は世界経済を損なうだけでなく、やがて地球上の多くの生命体、そして私たち人類自身を脅かしかねません。

この事実に対する科学的コンセンサスはほぼ全会一致であり、その負の経済的影響も明確になりつつあります。これは以前の危機とも類比できます。冷戦の最盛期に、アイゼンハワー大統領の経済顧問が、核戦争が米ドルに与え得る影響について大統領に説明に訪れた際、大統領はこう答えたと伝えられています:「ちょっと待ってくれ、諸君、[核戦争が起きた場合]我々はドルを立て直すことなどしないだろう。ミミズを掘って食いつなぐことになるのだからね。」

気候変動は長い期間にわたって進行しているように見えるかもしれませんが、地質学的なスケールで見れば、それは一瞬の出来事として起きています。経済成長は重要ですが、厳しい現実として、アイゼンハワーと同様に、この危機を回避しなければ、私たちは経済成長とは別のことに関心を向けざるを得なくなるでしょう。

したがって根本的な問いは、主要な制度、とりわけ四半期ごとの利益や次の選挙結果でそれぞれ動く企業と政府、そして自身の生活と暮らしに正当な関心を寄せる世界の一般市民にも極めて短期的な誘因が働いている中で、この数世代にわたる危機から、地球と、それとともにある経済を、どのように守るかということです。

人類共通の利益のために長期的な判断を下すよう、リーダーシップをどのように後押しできるでしょうか。この闘いを理解して共に取り組めるよう、世界の一般市民をどのように教育し、行動を促せるでしょうか。そして、グリーン移行の機会が実現されるだけでなく、すべての人々の間でより公平に広がり、不平等や不安定さの拡大につながらないようにするには、経済をどのように再構築すればよいのでしょうか。

端的に言えば、私たちは自らの未来と地球の未来をどのように確保するのでしょうか。

特に重要な行動の道筋は三つあります。

1) 経済成長に加え、人間と環境の幸福のより広い指標も踏まえて、経済成長をより適切に捉えられる、より包括的な指標を開発すること。

2) 経済のすべての主体に対し、現在のイノベーションの道筋を転換させ、中核となるビジネスモデルに必要な環境移行を主流化するよう促すこと。

3) 自然との調和のうちに生きるための新たなビジョンを描き、その実現に向けた共通の決意を呼び起こせる賢明なリーダーシップ。

GDPが人間の幸福を測る指標として欠点を抱えていることは、経済学者の間で広く認識されています。こうした欠点の多くは、人の健康、食料・水の安全保障、経済にもたらされる関連する便益を織り込んだ環境指標が不足していることに起因しています。

さらに、健全な生態系は、多くの場合で大きな経済的価値をもつサービスを提供しています。例えば、世界の主要な食用作物の四分の三以上は、昆虫または動物による受粉に依存しています。世界の作物生産の5~8%は、年間市場価値が2,350億ドルから5,770億ドルに上り、自然の受粉に直接起因しています。しかし、授粉を担う生物は脅威にさらされており、そのことは大きな経済的損失につながると予想されます。

また、場合によっては、非公式ながらも価値のある経済活動を犠牲にして経済開発が進むこともあります。例えば、森林の商業利用は、薪から伝統的な食料源に至るまでの木材以外の森林資源の採取を犠牲にして行われることがしばしばあります。こうした場合、例えば木材伐採への転換によって正式に測定される経済成長は、社会的に不公正であり、ジェンダーに偏り、先住民族や地域社会に害を与えるだけでなく、木材以外の森林資源の喪失により、幻想にすぎないものになる可能性もあります。

さらに、アマゾン盆地のような重要な森林の価値総額には、炭素吸収源としての重要な役割と、遠く離れた地域での農業やその他の生産を可能にする気象形成における役割の両方を含める必要があります。

また、環境を守りながら人間の福祉を向上させるエコイノベーションから生まれる、経済成長の大きな可能性を認識し、活用する必要もあります。「ビジネスと持続可能な開発委員会」の2017年報告書によれば、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成は、食料・農業、都市、エネルギーと素材、健康と幸福という四つの中核的な経済分野において、12兆ドルの市場機会を生み出します。これらの分野は実体経済の約60%を占めており、自然を基盤とした解決策の開発に関連する大きな経済機会を示しています。

今後の道のりは容易ではなく、代償を伴わないものでもありません。自然と地球のための世界的な新たな取り決めを実現し、グリーン経済へ移行するには、既存の開発経路から離れ、社会の基盤となるインフラのための実行可能な代替案を開発する必要があります。そのためには、先見性のあるリーダーシップ、グリーンイノベーションの解放、そして特に現在の経済開発の形態から最も恩恵を受けてきた人々による、短期的な影響の補填が求められます。

とはいえ、この種の移行は前例のないものではありません。農業時代から工業時代への移行、あるいは工業時代からデジタル時代への移行と同様に、求められているのは、新たな時代の要請に応じた社会の全面的かつ漸進的な再構想と再構築にほかなりません。この課題に応えるだけの力と知恵が私たちにありますように。

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