独自で脆弱な生態系を擁する北極圏は、地球温暖化に特に敏感です。気候変動の影響を抑えることは、何十年にもわたり北欧諸国の北極圏での取り組みの中心課題でした。今、北欧諸国は先頭に立ち、手遅れになる前に各国が気候対策を強化するよう呼びかけています。
気候変動の影響が、世界の他のどの地域よりも北極圏に深刻な打撃を与えていることはよく知られています。北極圏の温暖化の速度は、世界平均のほぼ2倍に達しており、その影響は地域全体のコミュニティで明らかに見られます。
北極圏の隣、あるいはその中で暮らす私たち北欧諸国にとって、これは大きな懸念です。私たちは影響を間近で目にしており、一刻の猶予もないと確信しています。国際社会が気候危機を食い止めるため、断固たる行動を起こすべき時です。
北欧諸国の首相たちはすでに道を示しています。2019年1月に宣言に署名し、北欧5か国でカーボンニュートラルを実現するという揺るぎない決意を表明しました。さらに、パリ協定の目標達成に向け、他国にも意欲を高めるよう求めています。北欧諸国はカーボンニュートラルな社会への移行を主導する決意を示し、世界でも最も野心的な気候目標をいくつか掲げています。
先住民の声に耳を傾ける
温暖化が北極圏の生態系と、先住民の伝統的な生業に大きな影響を及ぼしている明確な兆候が、今日見られます。2018年、グリーンランドのアットゥ天然資源評議会に属する地元の漁師とハンターは、北欧閣僚理事会環境賞を受賞しました。地域の自然環境と生物資源の状況に関する観察が評価されたものです。
漁師とハンターは、水温上昇により海洋生物が北へ移動していることを観察しています。また、狩猟や漁に出る際に利用する海氷が、現在では年間わずか3~4週間しか通行可能でなくなっていることも重要な観察結果です。以前は氷が5、6か月間安定していました。
彼らの声に注意深く耳を傾けるべきです。その観察は、数百年にわたる漁労や狩猟の伝統に基づいています。
脆弱な均衡
地域の生態系や先住民、地域コミュニティの生業を脅かすことなく北極圏で経済成長を実現するという課題は、この地域の将来の開発をめぐる議論の重要な要素です。
特に差し迫った課題の一つは、国際海運とクルーズ観光の拡大への対応です。観光客やビジネス機会をもたらす一方で、深刻な環境問題も引き起こします。
例えば、今年グリーンランドに到着するクルーズ船は、1隻あたり最大3,200人を乗せ、1日に推定150~200トンの重油(HFO)を燃焼させ、地域に深刻な大気汚染をもたらします。すすは氷床の暗色化に大きく寄与し、表面の温暖化を進め、氷の融解を加速させます。
こうした気候への影響とHFOに伴う環境上の危険を踏まえ、すべての北欧諸国とグリーンランド政府は、国際海事機関(IMO)が北極圏で船舶燃料としてのHFO使用を禁止するために講じた初期措置を支持しています。
また、2015年に世界経済フォーラムが北極圏投資プロトコルを発表し、この地域で責任ある投資を行うための指針を示したことにも触れておきたいと思います。このプロトコルは今、北極圏の経済開発と投資が持続可能な形で行われ、先住民や地域コミュニティの利益となるようにするための重要な手段です。
国際的な取り組みが必要
北極圏のより持続可能な未来を築くには、緊急かつ協調的な国際政治の取り組みが必要です。今後の展開がどれほど深刻になるかはまだ不確かですが、北極圏が現在たどっている道は、この地域にとってだけでなく、世界の気候変動緩和の取り組みにとっても厳しいものだと、疑いなく言えます。地域では予防的な姿勢を取り、脆弱な北極圏の環境を尊重してあらゆる決定を行わなければなりません。また、政策や意思決定の基礎として、既存の科学的知見とデータを活用する必要があります。
すべての国に取り組みへの参加を求めます。したがって、北極圏に特化した議論を、COP25 気候サミットの議題に含めるべきです。同サミットは今年後半、サンティアゴで開催されます。
北欧閣僚理事会による北極圏協力プログラム2018~2021は、北極圏の持続可能な開発を促進する幅広いプロジェクト群に資金を提供しています。各プロジェクトの詳細はこちら





