推計によると、1950年から2015年までに83億トンのプラスチックが生産されました。
その75%が現在は廃棄物になっており、その79%が埋め立て地または自然環境に蓄積していると予測されています。
現在、世界では機械的なプラスチックリサイクルが主流です。プラスチックを分別して溶かし、再成形して、主に品質の低い製品を作ります。
ケミカルリサイクルには、無限にリサイクルできる可能性があります。
バース大学の研究者2人が、その仕組みを解説します。
プラスチックのない日常生活を想像するのは不可能です。軽量で耐久性があり、安価なプラスチックは、さまざまな幅広い用途で多くの素材を上回る性能を発揮します。
プラスチックは、私たちが見過ごしがちな形で、暮らしに前向きな変化をもたらしてきました。たとえば、この記事を読むために使っているような電子機器にプラスチック部品が使われるようになったことで、私たちはかつてないほど周囲の世界とつながっています。
しかし、プラスチックの恩恵には環境面での代償が伴います。83億トンのプラスチックが1950年から2015年までに生産され、その75%超が現在は廃棄物となり、その79%が埋め立て地または自然環境に蓄積していると推計されています。
規模を比べると、これは地球上のすべての生物を上回る量であり、海はプラスチックに溺れています。こうした状況を受け、近年の研究では深刻化する環境問題への対処に重点が置かれています。その一つがケミカルリサイクルです。
プラスチックの価値
プラスチックが引き起こす深刻な環境問題を克服するには、プラスチック廃棄物を資源として評価し始める必要があります。そもそもプラスチック廃棄物には、安定した化学結合という形で価値が含まれているため、少なくともそのエネルギーを回収する努力をすべきです。実際、プラスチックが環境中に長く残り続けるのは、こうした結合が安定しているためです。
このエネルギーを回収するためにプラスチックを燃やすだけでなく、リサイクルすることもできます。世界で現在主流となっているのは機械的リサイクルです。プラスチックを分別して溶かし、再成形して、主に品質の低いプラスチック製品を作ります。しかし、この方法には限界があります。厳しい処理条件のため、プラスチックはリサイクルされるたびに性能が損なわれます。その結果、リサイクルできる回数が限られます。
プラスチックの価値を長期にわたって保つには、別のリサイクル方法が必要です。ケミカルリサイクルには、無限にリサイクルできる可能性があります。しかし、持続可能かつ経済的な方法で大規模に実現することが課題です。従来の方法は一般にコストが高く、エネルギーや資源を大量に消費するため、広く普及していません。
ケミカルリサイクル
プラスチックは、ポリマーと呼ばれる長鎖分子でできており、ポリマーはモノマーと呼ばれる、より小さな構成単位が繰り返し連なってできています。モノマーにはさまざまな形や大きさがあり、モノマー同士の結合によって、融点や強度などのプラスチックの材料特性が決まり、それが用途に影響します。
機械的リサイクルでは溶融処理を行いますが、ケミカルリサイクルでは化学変換を利用し、モノマー間の結合を切断します。ケミカルリサイクルでは、プラスチックを分子レベルで分解します。これにより、モノマーを回収してクローズドループリサイクルを行うことも、プラスチック廃棄物を別のより価値の高い化学物質に変換してオープンループリサイクルを行うこともできます。多くの種類のプラスチックから、モノマーやその他の有用な物質を回収できます。
ポリエチレン製の袋に使われるポリオレフィンなど、一部のプラスチックはモノマー間の結合が強く、ケミカルリサイクルがより困難です。そのような場合は、熱分解と呼ばれるプロセスを用います。これは燃焼とは異なり、高温で反応させ、一般に燃料やワックスを生成する方法です。
触媒作用
触媒は、工業化学プロセスの約90%で使われています。Googleマップが移動経路を最適化するように、反応に別の経路を与えることでプロセスの効率を高めます。また、生成物を選択し、廃棄物を減らすこともできます。こうした利点は、ケミカルリサイクルを工業規模で持続可能かつ経済的に実施するうえで欠かせません。
食事中に休みなく働く酵素は、消化で重要な役割を果たす、自然界に存在する触媒です。消化を担う酵素については、プラスチックを分解できるものも報告されています。
しかし、こうしたプロセスには生産性の限界があり、酵素の活性を保つために、特定のプロセス条件――適切な温度やpHなど――が必要です。それでも、この分野の急速な進歩を踏まえると、自然界に存在する触媒が将来、商業的に実用化される可能性があります。
私たちは、高効率の金属系触媒を開発し、植物のでんぷんから作られるプラスチック、ポリ乳酸(PLA)のケミカルリサイクルに取り組みました。この研究では、亜鉛やマグネシウムなど安価で豊富な金属を用い、乳酸エステルと呼ばれる化学物質を対象としました。乳酸エステルは、石油由来の溶剤に代わる環境に配慮した選択肢となる可能性があります。
この分野はまだ初期段階にありますが、研究の勢いが増すにつれ、特にプロセスの最適化において大きな進展があると期待しています。従来の方法は一般に強力な化学物質を使用し、資源やエネルギーを大量に消費するため、これは分野全体に共通する課題です。
PLAに加え、プラスチックボトルに使われるポリエチレンテレフタレート(PET)など、ほかのプラスチックを「アップサイクル」できる可能性もあります。最近の例として、PET廃棄物から高性能材料の構成要素や抗生物質、腐食防止剤を作る取り組みがあります。
私たちの最近の研究では、より広く利用されているPETのケミカルリサイクルも調査しました。PETは主にプラスチックボトルや食品容器に使われます。一方、PLAの市場シェアははるかに小さく、主な用途は3Dプリンティング、生物医学機器、特定の包装材です。
今後の展望
社会におけるプラスチックの用途は多様であるため、あらゆる問題を一つの解決策で解決することはできません。既存のプラスチックにも、新たに登場するプラスチックにも、多様で用途に応じたリサイクル方法が必要です。ただし、商業規模のケミカルリサイクル事業はすでに進められています。
将来的には、ケミカルリサイクルが機械的リサイクルを補完し、特に薄膜など、リサイクルが難しい素材に役立つと期待されています。確かなことは、プラスチックが今後も使われ続けるということです。生産量は2050年までに10億トンを超えると予想されており、ケミカルリサイクルは今後の動向が注目される分野です。




