2020年の新型コロナによるロックダウン初期、かつて人間が支配していた場所を多くの動物が占拠した。
『Science Advances』に掲載された研究により、2020年春に北米の都市で鳥の数が大幅に増加したことが確認された。
以下では、都市での人間の活動を減らし、鳥にとってより魅力的な場所にする方法を専門家が解説する。
ウェールズの町で野生化したヤギから、人けのない浜辺に産卵した絶滅危惧種のカメまで、多くの動物が、新型コロナウイルスによるロックダウンの初期に、普段は人間が支配している場所で過ごすようになった。
現在、『Science Advances』に掲載された研究は、パンデミックの影響を受けた北米の都市で、鳥の数が2020年春に実際に増加したことを確認し、都市の科学者に生物多様性について重要な示唆を与えている。
「人間の活動を減らすことで、都市を鳥にとってより魅力的な場所にできます」と、研究の筆頭著者でカナダのマニトバ大学に所属するマイケル・シュリンプフ博士はEcoWatchに語った。
人間活動の一時停止
人間による開発や活動が鳥やほかの動物に影響を与えるのは明らかだが、科学者がそれぞれの影響を切り分ける機会はあまりない。道路や空港は建設時に生息地を破壊するが、使い続ければ騒音や大気汚染が生じ、種への影響がさらに大きくなる可能性がある。
「あれだけの規模で、インフラや設備をすべて残したまま活動だけを減らしたら何が起きるのか、これまで検証する機会はありませんでした」とシュリンプフ博士は述べた。
そこに新型コロナウイルスが登場した。2020年春のロックダウン初期、人間の活動は近代史上かつてないほど減少した。研究者たちはこれを「人間活動の一時停止」と呼び、実世界での実験を行う条件が整った。
北米でロックダウンが最も静かだった時期は、3月から5月にかけての春の渡りの季節と重なった。これにより、カナダと米国を拠点とする研究チームは、この季節に都市部で観察された鳥の数を過去の年の記録と比較できた。
研究者たちは、そのためにeBirdのデータを使用した。eBirdはコーネル大学鳥類学研究所が運営する市民科学プロジェクトで、バードウォッチャーが目撃情報を報告できる。
「基本的には、現地に出かけて歩き回るか、同じ場所にとどまり、目にしたさまざまな鳥の種の数を記録して、『チェックリスト』と呼ばれる形式でプログラムに提出します」とシュリンプフ博士は説明した。
研究者たちは、都市部を含む米国とカナダの93郡についてeBirdのデータを調べ、2020年の数を2017~2019年の春の数と比較した。また、人間の活動の減少を示す次の5つの指標に沿って、パンデミック中に鳥の観察数がどう変化したかを分析した。
1. 交通量の変化
2. ロックダウンのピークと渡りの最盛期の重なり
3. 幹線道路からの距離
4. 国際空港からの距離
5. 都市部と農村部の違い
パンデミック中にバードウォッチングをする人が増えた可能性も考慮した。最終的に、88,846件のチェックリストから、鳥の個体ごとの観察記録4,353,739件を選んだ。
調査対象となった種の80%(全82種のうち66種)で、パンデミック中に数の変化が見られた。変化は都市部、道路や空港の近く、ロックダウンのピークが渡りの最盛期と重なった郡で確認された。通常、数は増加した。実際、すべての指標で、種の数が減るより増える可能性は14倍高かった。この結果は、人間の活動が実際に大きな違いをもたらすことを科学者に示している。
「活動が減ると、こうしたあらゆる場所で鳥が圧倒的に多く見られるようになったという事実から、人間の活動がどれほど広範囲に影響しているかを、以前よりずっとよく把握できるようになりました」とシュリンプフ博士は述べた。
未解決の疑問
この結果は、鳥を都市に呼び込む方法を理解する手がかりを研究者にもたらした。
「今回の結果は、人間の活動が北米の多くの鳥に影響を及ぼすことを示しており、パンデミック後に交通量を減らし、人間の移動による妨げを軽減すれば、都市空間を鳥にとってより魅力的な場所にできる可能性を示唆しています」と研究者たちは記している。
しかし、研究者たちにはまだ分かっていないことが多い。まず、人間の活動が再び活発になったとき、鳥が元の生息地に戻ったかどうかだ。
「今後、過去を振り返って、状況がすぐに元に戻ったのか、それともより長期的な変化があったのかを確かめられることを期待しています」とシュリンプフ博士は述べた。
二つ目の疑問は、鳥の居場所の変化が実際に鳥にとって良かったのかどうかだ。研究者たちは2020年の繁殖期の数を調べるまでは答えを知ることができない。2020年春に静かに見えた場所を繁殖地に選んだ鳥が、その年の後半に交通量と騒音が増えて、思わぬ事態に直面した可能性もある。
また、突然静かになった道路脇や都市公園は、交通量が少ないため適しているように見えても、イエネコに捕食されるなど別の危険が潜む「生態学的なわな」だった可能性もあると、シュリンプフ博士は指摘する。
「渡りの時期にある鳥は多くの脅威にさらされます。道路や空港の近くにある都市部の場所をより多く利用するようになったことが、実際に鳥にとって良かったのかどうかは、私たちには分かりません」とシュリンプフ博士は語った。
市民科学
それでもパンデミックをきっかけに、自分の地域にいる鳥に注意を向け、その鳥たちが生息し続けられるような変化に関心を持つ人が増えた可能性がある。
「人は何かを知り、それを実際に経験すると、一般にそれを守り、大切にしようという気持ちが強まります」とシュリンプフ博士は述べた。
また、パンデミック以前から都市の鳥に注目していた市民科学者たちに感謝の意を示した。彼らがいなければ、この研究は実現しなかったという。そうはいっても、近所の鳥の声に耳を傾け、その姿を観察し、eBirdに自分のチェックリストを提出し始めるのに遅すぎることはない。
「それによって世界を理解するために使えるデータが得られるだけでなく、周囲の世界への人々の理解や関心も深まることを期待しています」と彼は語った。





